« 2008年10月 | メイン | 2008年12月 »

2008年11月30日

これからの地球規模での課題~人口爆発

人口爆発.jpg
 先日の日能研の特別セミナーで話した「これからの地球規模での課題」について紹介します。現在、我々の生活に直結したさまざまな課題がありますが、これらの底流にあるのは人口爆発と言われる人口の増加です。〝これから世界の人口は増えるか、減るか〟という質問をすると、かなりの割合で〝減る〟という答えが返ってきますが、これは日本の人口が減少するから世界も同じ状況にあると考えている人が多いということではないかと思います。確かに先進諸国では人口が減少するという傾向にありますが、発展途上国ではこれからも人口は増え続けていきます。
  現在、世界一の人口保有国は中国、二位はインドですが、この両国で既に約25億の人口を有しています。中国は一人っ子政策をとっているためある程度の人口抑制は可能となりますが、インドは今後益々人口が増加し、今世紀半ばには世界一の人口保有国になることが予想されます。そして、この両国で世界の人口の三分の一を占めることになります。参考までに、世界各国の中で1億人以上の人口保有国は11ヶ国であり、その順位は中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリア、ロシア、日本、メキシコということになります。
そして、発展途上国の経済成長の結果、地球の温暖化、食料や水の不足、資源の枯渇といった問題が深刻化してくるのです。

2008年11月29日

安部 司氏による講演会の開催

食品の裏側
安部 司 著(東洋経済新報社)
  12月12日(金)の11時~12時30分、中学・高等学校PTAの主催で日本の食品添加物の評論家で、『食品の裏側―知れば怖くて食べられない』の著者である安部 司氏にお越しいただき講演していただくことになりました。現在、安部氏は自然海塩「最進の塩」を販売する株式会社「最進」の研究技術部長を務めながら食品添加物に関する啓蒙活動を行なっておられます。テーマは『本当の食の安全とは』ですが、食の現状を知る、添加物が日本の食文化を壊していく、これからの食生活をどうするかという興味深い内容のお話になるようです。なおこの校長通信においても〝家庭での食育〟というテーマで25回(2008年2月7日~3月31日)にわたって掲載しましたが、この中の7回目(2月17日)に安部氏の食品の裏側を紹介させていただいています。
  本校では生徒だけではなく保護者も教員も全員が学ぶという〝共学〟を教育方針に掲げており、本年度からスタートした環境教育についても「共に学び、考え、行動する」ことを基本にしています。環境問題の切り口としては、地球の温暖化、食料、水、資源、ゴミ等がありますが、とりわけ食糧問題についてはわれわれの日常生活と密接な関係にあるため、環境教育の大きな柱にしていくことが大切です。 食の安全や自給率向上が叫ばれる昨今、今回の講演は食について見つめ直す良い機会になると思いますので、是非出席していただきたいと思っています。
  この講演は、学園の小学校、幼稚園の保護者をはじめ本校への受験を考えておられる保護者や近隣の皆さんにも参加いただけるようになっていますので、お誘い合わせの上学園講堂までお越しください。

2008年11月28日

先生・本気ですか~上甲晃氏の講演

志.jpg
  先日、『志ネットワーク』を主催されている上甲晃(じょうこう あきら)氏に講演をお願いしたところ快くお引き受けいただき、12月2日に学園の教職員を対象に講演していただくことになりました。テーマは『先生・本気ですか』。上甲氏は、松下電器(現、パナソニック)で広報や電子レンジの営業を担当された後、昭和56年松下政経塾に出向、塾頭、常務理事、副塾長を歴任され、平成8年4月に松下電器を退職されました。そして、同年5月、〝21世紀に向けて「志の高い日本」は「志の高い日本人」によってこそ実現する〟との思いで、有限会社志ネットワークを設立され、現在日本全国で青年塾の開催や講演等実に幅広い活動を行なっておられます。
  上甲氏は松下政経塾の勤務を通じて、松下電器の創業者である松下幸之助氏から数々の薫陶を受けられましたが、ゆるぎない志と凡事徹底の姿勢には心から敬服しています。そのひとつの例が政経塾在職中の平成4年4月から始められた『デイリーメッセージ』です。当初は自分の思いとするところを塾生に伝えたいということでパソコン通信の形で始められたようですが、政経塾を離れてからも継続を勧める人達の要請に応えて、現在まで17年間一日も休むことなく日々のメッセージを書き続けておられます。
  ご本人の言によれば〝一日生きていたら、ひとつぐらいは感動ある生き方をしたい、一つぐらいは学びのある生き方をしたい。そんな思いから毎日取り組んでいます。どうせなら、一日も休まず継続してみよう、そんなささやかな挑戦でもあります。〟とのことです。
私の家でも毎月デイリーメッセージが届くのを家族全員心待ちにしていますが、読むたびに志が凝縮された内容に感動を覚えています。

志ネットワーク青年塾 http://www.kokorozashi.net/

2008年11月27日

社会科 税の作文表彰式

H20.11.26 西宮税務署005a.jpg H20.11.26 西宮税務署011a.jpg 
  11月26日(水)の昼、税の作文の表彰式が本校応接室で行われました。
社会科では中3・高1・高2の3学年の生徒を対象に、夏休みの宿題として「人権」「税」「年金」「国際協力」等のテーマの中から一つを選んで課題作文を書いてもらうことにしています。この取り組みは実に20年以上にわたって継続されており、本校の伝統になっていますが、今年も、それぞれのコンテストで入賞するという嬉しい報告が届いています。
  現在、人権作文では、宝塚市主催のコンテストで最優秀・優秀・佳作各1名、法務局伊丹支局主催のコンテストで入選3名、宝塚市の障害者に関するコンテストで佳作2名、外国人問題のコンテストで入選1名、金融・経済に関する小論文で入選1名佳作1名という結果が来ています。
  昨日は、西宮税務署から大津副署長等3名の方々が来校され、高2の3名・高1の2名・中3の2名に賞状を、更に本校には、租税教育推進に関する感謝状を頂きました。大津副署長様からは、この作文にとどまらず、これからも税について考えていって欲しいとのお話がありました。
  12月上旬には高3国際科で租税教室を実施し、また来年1月には中3の選択社会でも開催する予定です。現在、日本は国と地方を合わせると1000兆円を超える借金を抱えるという極めて厳しい財政状況下にあり、予算の不足分を国債発行によって賄っているため年々借金が増え続けています。
  国民生活の維持向上をはかっていくためには税収が確保されていることが前提となります。納付した税金がどのように使われているのか、そしてこれからの日本全体の財政状況がどうなっていくのかをしっかりと認識しておくことが大切であると思っています。

2008年11月26日

全校朝礼~グローバル化を目指す企業

081126chourei.jpg  
  11月26日(水)、高校の全校朝礼でマクドナルドの話をしました。
〝前回、靴のセールスマンの話(発展途上国で靴が売れるかどうかという話)をしましたが、事業を伸ばしていくためにはグローバルな展開が必要です。
  ところで、今世界の120を超える国で販売されているものがありますが、何かわかりますか。それはマクドナルドのハンバーガーです。今ではハンバーガーと言えばマクドナルドというように、マクドナルドはハンバーガーの代名詞になっていますが、この成り立ちを紹介します。1940年、今から実に68年前になりますが、カリフォルニアでマクドナルド兄弟が店を開いていました。そこにミルク・シェイクのミキサーを販売するセールスマンのクロック氏が訪れました。二人の仕事ぶりを見ていると実に手際がよく短時間で多くのお客様を捌いています。クロック氏は感心して、このシステムをフランチャイズ方式にしてはどうかと相談を持ちかけました。そして、売り上げの0.5%を支払うという契約をしました。その後、クロック氏はマクドナルド兄弟から全ての権利を譲りうけチェーン店を広げていきました。この契約を続けていれば今では年間180億円の収入があることになります。マクドナルドは色々な戦略を立てています。子どもを含め家族をターゲットにする。待ち時間を極力短くする。そのために工場で集中的にハンバーグを作り、店では焼いたり揚げたりという簡単な作業をするだけにし、マニュアルに従って誰でも出来るようにする。また、アメリカでは低所得者が食べる低級な食品というイメージが定着してきたため、海外での販売を伸ばすことを目指す。そのためには牛肉を食べないインドではチキン・バーガーやベジタブル・バーガーを、フィリピンではトマトケチャップの代わりにバナナケチャップを使ったバーガーを、その他豚肉や魚を使ったバーガーを作る等国や地域にあった商品開発を行ないました。
  このように事業を伸ばしていくためにはグローバルな視点が必要ですが、日本には世界に誇れるさまざまなものがあります。これらをグローバル展開していけば大いなるビジネスチャンスがあります。やり方次第ではドキドキ、ワクワクする時代になると思います。大きい目標を持って取り組んで欲しいものです。〟

2008年11月25日

日能研特別セミナーの内容~日本の将来は?

ktsunrise.jpg

  このブログで日能研特別セミナーでの講演の様子を掲載したところ、何人かの方からどのような内容の話だったのか詳しく教えて欲しいというメールが届きました。また、今回は約70枚に及ぶパワーポイントのスライドを60分という短い時間で説明しましたので、舌足らずの点もあったと思います。出席された方の中にもわかりにくい点が多々あったかも知れませんので、これから何回かにわたって紹介したいと思います。
  最初に出席者の皆さんにいくつかの質問をしました。
    ◇世界の中で日本は恵まれているか ◇日本の将来は明るいか、暗いか
    ◇学校教育に満足しているか ◇家庭教育は十分できているか
    ◇地域が一体となって子どもを育てているか 
  この質問に対する大部分の答えは、「世界の中で日本は恵まれているが、日本の将来は暗い。学校教育には満足していない。また家庭教育は十分できていないし、地域での教育も十分行なわれていない。」というものです。私はこれと同様の質問を色々な講演会ですることにしていますが、校長先生や教頭先生、教職員、保護者からほとんど例外なく同じ答えが返ってきます。そして、当然のことながら生徒達も日本の将来は暗いというように思っています。また、数々のアンケートでも世界各国の生徒の中で将来に対する夢や希望を持つ比率の最も低いのが日本の子ども達であるということが指摘されていますが、このことは我々大人に大きな問題があるように思います。大人が志を持って生き生きと生活している後姿を見て元気な子ども達が育つのではないでしょうか。多くの世界の人達から見れば日本は憧れの国であるのは間違いありません。
  イギリスの詩人で『失楽園』の著書で知られるジョン・ミルトンは〝心が天国をつくり地獄をつくる〟という言葉を残していますが、それぞれの人生においては積極的な心の持ち方が大切であると思っています。

2008年11月24日

日能研特別セミナーを終えて

ktnichinouken1.jpg

  11月24日(月)、本校において日能研の模試が行なわれ300名を超える小学生が朝9時から受験しました。試験は昼過ぎまで実施されるため、この間を利用して付き添いで来られた保護者を対象に「日能研特別セミナー」が開催されることになり、約1時間にわたりパワーポイントを使って〝社会で役立つ力〟というテーマで講演を行ないました。
  講演は「この10年~20年に世界で起こったこと」「世界の現状」「これからの地球規模での課題と日本社会」「日本の進むべき方向」「松下幸之助氏に学んだこと」「注目すべき会社や新技術」に触れた後、「社会で求められる力」と「教育を取り巻く課題と学校の役割」「家庭との連携による子どもの育成」「日本が更なる発展を遂げるための人材育成」を中心にお話しました。また、現在人類共通の課題となっている「地球環境問題」について保護者の理解を深めるため「環境クイズ」を配布させていただきました。参加者は通常の説明会とは異なり約90名という少人数であったため、私から質問を投げかけ答えていただく等一体となった講演会となりました。その後、本校の入試広報部長から入試に対する説明を行ない、無事に特別セミナーは終了しました。
  入試までの日は残り少なくなってきましたが、『鶏口牛後』という言葉もあるように、是非子どもの水に合った学校を選んでいただきたいものです。また、これから受験までの間はどうしても子どもが精神的に不安定になりがちですので、子どもを暖かく見守っていただきたいと思っています。

2008年11月23日

勤労感謝の日~志を持って傍を楽にする

ktmjkrks01.jpg

  本日(11月23日)は『勤労感謝の日』です。
この日は戦後国民の祝日が定められた際(1948年)に「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」という趣旨で定められましたが、この記念日が制定される以前は『新嘗祭(にいなめさい)が行われていました。「新嘗」とはその年収穫された新しい穀物のことを指し、新嘗祭は天皇が国民を代表して農作物の恵みに感謝する式典として古くから国家の重要な儀式でした。勤労感謝の日はアメリカのLabor Day (9月の第1月曜)に相当するものと言われていますが、アメリカにはこの他に「Thanks Giving Day(感謝の日・11月最後の木曜日)」があります。日付や新嘗祭との関係、現在の産業構造を考えると、日本の勤労感謝の日はあくまでも収穫を祝うだけではなく、「日々の勤労に感謝する日」と考えるべきであり、むしろThanks Giving Dayに近いといえるのではないかと思います。しかし、今の世の中を見ると世界同時不況により働きたくても働くことができないという人が増加する等、憂慮すべき状況が現出しつつあります。
  祝日が日曜の場合にはその翌日が休日になるため連休を過ごされている人も多いと思いますが、本来、働くには〝傍(はた)を楽にする〟仕事には〝志事(しごと)〟という意味がこめられています。この勤労感謝の日にあたって、単に生活のために労働するということではなく、志を持って世の中のために役立つという視点で勤労の目的を再認識していきたいものです。

2008年11月22日

新入生を迎えるために

DSC02380.jpg DSC02387.jpg
  入学式の日に色とりどりのチューリップとパンジーで中央棟玄関を飾り新入生を迎えるのが本校の恒例となっています。これは、今から9年前、47期生が中学1年生の時に始めた行事が代々引き継がれてきているものです。本年も中学1年生が本学園のOBである翠龍園の阪上さんにご指導いただきながら、いくつかのグループに分かれてチューリップの球根とパンジーの苗を丁寧にプランターに植えつけました。その後、それぞれプランターを運びクラス毎に整列させました。例年、これらのプランターは高校校舎の前に並べていますが、今年度は来年の2月末から新校舎の建設が始まるため、校庭につながる階段に置き世話をすることになりました。そして、来週からは生徒達が交替でパンジーの花殻摘みや水やりなどの世話を行なうことになっています。
IMG_0056.jpg 植栽.jpg
  〝植物の最大の肥やしは人の吐く息である〟という言葉がありますが、植物も人手をかける回数が多いほど元気に育ち、世話をする人の思いが通じて綺麗な花を咲かすと言われています。このように日々植物を育てることを通じて命の大切さを知ることは、子ども達の心の成長にも大きな糧になるのは間違いありません。やがて土の中からチューリップが新しい芽を出し、日々成長し、立派な花を咲かせてくれることでしょう。現在の1年生も新入生を迎える来春には先輩になりますが、これから健やかに成長してくれることを心より祈っています。
  最後になりましたが、この度お世話になった阪上さんに心よりお礼を申し上げます。

2008年11月21日

探求の授業を参観して

探求授業.jpg 探求授業01.jpg
  今年から導入した中学の一貫選抜コースには「探求」という授業がありますが、9月からは『世界を知ろう』という内容での取り組みを行なっています。先日、学年主任から「生徒達がパワーポイントを使った発表をするので、是非見て欲しい」という話があり、今週この授業を参観しました。今回は各人があらかじめ世界各地の文化や衣食住、言語等のテーマを決めP-Call(パソコン)教室と図書館で調べ学習をした後、国立民族学博物館に赴き、興味のある内容を6枚のパワーポイントのスライドにまとめ、最後にプレゼンテーションするというものです。
  幸いなことに、本年新たにプロジェクターを選択教室に設置したことにより、クラス毎に2ヶ所に分かれてこのような授業を行なうことができるようになりました。既に11月6日に第1回が終了しているため、今回は残りの半分ということになりました。テーマは「オセアニア」「アメリカ」「ヨーロッパ」「アフリカ」「西アジア」「南アジア」「東南アジア」「中央・北アジア」「中国」「朝鮮半島」「アイヌ文化」「日本文化」「音楽・言語」の13のジャンルに分かれており、料理や文化・儀式・祭場・民族衣装,機織り・楽器・衣装等実に多彩です。
  生徒達は発表が終わる毎に、声の大きさ・話すスピード、視線の配り方(棒読みになっていないか)、内容(わかりやすく伝わったか)、オリジナリティー(印象に残るものだったか)という4つの要素で採点を行ない、上位5人を選び出していました。これらを集計して、最終的には12月11日(木)に全体発表を行なうことになっているようです。感心したのは、全員がそれぞれ創意工夫を凝らしながらパワーポイントのスライドを作り上げていたことです。発表の仕方はまだ物足りないところもありますが、場慣れすることによってこれからうまくなっていくことでしょう。生徒達の潜在能力の高さを目の当たりにし、頼もしく感じました。

2008年11月20日

逞しく生き抜く力を身につける

kt_img0441.jpg
  11月19日(水)、真冬並みの寒気が日本列島を覆う中、中学校の全校朝礼を行ない、前回に続いてインドネシアでの生活体験をもとに次のような話をしました。〝発展途上国に赴任した人は気候や食事、衛生面で日本との余りの違いに驚くことが多いようです。皆さんの中にはこれまで海外に行った人もあると思いますが、ほとんどがホテルに宿泊するためその国の本当の姿は見えません。しかし、実際に生活してみると色々な苦労があります。食べ物には蝿が群がってくる、椰子油を使った激辛料理が多い、シャワーはお湯と水が交互に出てくる、水が悪いため気をつけていても月に2~3回は激しい下痢に襲われる、トイレに飛び込むと水がめと柄杓(ひしゃく)があるだけで紙がない、家の中には何匹も大きなヤモリが住み着いている等さまざまなことを経験しました。しかし、このようなことに慣れていかないと暮らしていけません。これからますますグローバル化が進展する中で、皆さんは将来色々な国に出張したり、生活することになります。当然先進国だけではなく発展途上国で暮らすこともあるでしょう。どのような環境下でも逞しく生き抜く力を身につけていくことが大切です。私もインドネシアでの生活体験が後の仕事に大いに役立ちました。このことは次回以降に紹介していく予定です〟
  日本は世界の中では最も恵まれた国の一つであるのは間違いありませんが、今の子ども達は概してこれがあたり前であると思っているようです。また、さまざまな意識調査を見ても他の国の生徒に比べて将来に対する大きな夢や希望を持つ比率が極端に低いという結果になっています。これは学校や家庭、地域社会、マスコミ等子どもを取り巻く我々大人にも大きな責任があるのではないかと思っています。

2008年11月19日

PTA学級委員会を終えて

第3回PTA学級委員会.jpg
  11月17日には中学、18日には高校のそれぞれ本年3回目となるPTA学級委員会を開催しました。本校では年4回、各クラスの学級委員の皆さんに出席していただき、学校からの教育活動の報告と保護者の皆さんからの学年懇談会の報告や要望、ご意見をお聞きすることにしています。両委員会とも冒頭の挨拶をすることになっていますが、中学では現在建設中の仮校舎、先日実施したベネッセの模試、服装指導、家庭での学習等について、また高校ではAO・公募推薦・指定校推薦・センター入試、環境の取り組みについてお話しました。懇談では女子のボウ(制服のリボン・タイ)や今夏に実施した勉強合宿、今冬に実施するマラソン合宿、家庭での環境の取り組み、ホームページ等の話題が出されました。
  本校では保護者の皆さんから忌憚のない意見をお伺いするために、このような学級委員会をはじめ、学年懇談会や「保護者アンケート」を実施しています。また、本校のホームページを利用していただくこともできます。生徒の育成には家庭と学校との連携が大切ですが、その前提として円滑なコミュニケーションが不可欠です。これからも更に開かれた学校づくりを目指していきたいと思っています。

2008年11月18日

伝統を引き継ぐギター・マンドリン部の活躍

hyofes2008_11_16_1[1].jpg

  11月16日(日曜日),たつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホールにおいて第32回兵庫県高等学校総合文化祭・第15回器楽・管弦楽部門演奏会(兼第32回兵庫県高等学校ギター・マンドリンフェスティバル)が開催されました。
  この大会の趣旨は「生徒相互の交流と研鑽を深める」というものですが、本年度は15団体・544名がエントリーし、日頃の練習の成果を余すところなく発揮しました。本校のギター・マンドリン部は、森龍彦さん指揮による「喜歌劇『愛の悪戯』第一幻想曲(U.ボッタキアリ作曲)」を演奏し、美しい音色は大いに観客を魅了しました。高校3年生が引退した後の初めての大会でしたが、最も輝かしい“最優秀賞”を受賞しました。これは昨年・一昨年の朝日新聞社賞に続いての大賞受賞であり、本校ギター・マンドリン部の素晴らしい伝統をしっかりと受け継ぐということになりました。
 また、この結果、来年7月19日,20日に吹田文化会館・メイシアターホールで行われる第39回全国高校ギター・マンドリンフェスティバル参加の推薦もいただきました。
  これからも全員が日々の練習を積み重ねることにより、感動や感激を与える演奏を目指していって欲しいと思っています。

2008年11月17日

近畿高等学校総合文化祭での囲碁部の快挙

~1日目~
igoshougi0050.jpg igoshougi0051.jpg

~2日目~
igoshougi20057.jpg igoshougi20059.jpg igoshougi20064.jpg igoshougi20068.jpg
  11月14日(金)から23日(日)までの予定で近畿高等学校総合文化祭(以下、近畿総文)が開催されています。今年で28回を迎える近畿総文は毎年各府県が持ち回りで会場・運営を行なっており、今回の担当は徳島県です。近畿といってもこれまでは大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀・三重の2府5県に加えて福井・徳島が参加していましたが、更に今年から鳥取も加わり2府8県で行なわれることになり、一層盛大な大会になってきました。この近畿総文では合唱、吹奏楽、日本音楽、演劇、書道、茶道等16の部門に分かれて日頃の活動の成果を競うことになっており、囲碁部門に本校の女子3名と男子1名の生徒が出場しました。1日目(15日)の団体戦には125名が、2日目の個人戦には107名の生徒が参加しました。
  1日目の女子団体戦(2位以内が全国大会に出場)では1回戦の徳島の城ノ内高校に3:0で快勝、2回戦の大阪の大商大堺にも2:1で勝利しました。続く3回戦は今夏の全国大会の準決勝で負けた京都代表の洛北高校と雪辱を期して対戦。主将が勝ち三将が負け、勝負は最後の副将戦に持ち越されましたが惜敗し準優勝という結果になりました。
  2日目(16日)の女子個人選手権戦には小原さんと荻田さんの2名が出場し、小原さんが4戦全勝で優勝、荻田さんも2勝2敗で9位という素晴らしい成績を残しました。この結果、女子は団体・個人とも3月の全国大会へ出場することになりました。
  同時に行なわれた男子個人選手権戦には百田君が出場しました。2回戦で優勝した大阪の亀川君に僅差で負け非常に落ち込んでいましたが、気を取り直し3,4回戦に勝ち3勝1敗で4位になりました。全国大会への出場は3名となっていますが、3位の前田君が福井県のため、百田君が近畿代表として全国大会への出場が決定しました。また女子個人戦Aに出場した妹尾さんも善戦し2勝2敗で8位になりました。女子個人の小原さんは昨年に引き続いての優勝、女子団体の準優勝での表彰は20回大会に優勝して以来の快挙ということになりました。

2008年11月16日

日能研特別セミナーの開催

nichinouken.jpg

  私立中学の入試まで残り二ヶ月になりましたが、受験生の皆さんは志望校の絞り込みもほぼ終了し、合格に向けて連日追い込みに入っておられることと思います。これから寒さも増してきますので、体調管理には十分留意してしっかりと勉強していただきたいものです。
  さて、11月24日(月)は振替休日になっていますが、本校において日能研の模擬試験が実施されます。この時には多くの保護者が付き添いで来校されるため、お待ちになっている時間を利用して「特別セミナー」が開催されることになりました。この中で、私が受験生をお持ちの保護者の皆さんを対象に約1時間の講演を行なうことになりました。テーマはこれから調整しますが、「社会で役立つ力」ということにしたいと考えています。これまで民間企業での勤務を通じて痛感しているのは、必ずしも学校での学力がそのまま社会では通用しないということです。私立中学への進学を希望している人は大半が将来大学進学を目指していると思いますが、これからの中学・高校の6年間、更には大学での4年間にどのような生活を送るかは社会人になるための基礎づくりという点で極めて大切です。
また、社会の変化が大きく今後グローバル化のスピードはますます加速されてくるため、世界のトレンドをしっかりと把握しておかなければなりません。
  本日は、朝からこの講演に備えて「日本のおかれている状況」や「企業の動向」「点数ではかれない能力」等についてパワーポインによるレジュメを作成しました。
  当日のセミナーは9時から開始の予定ですので、お時間の許す方は是非ご参加ください。

2008年11月15日

東洋食品工業短期大学創立70周年記念式典に出席して

tusin066_toyo1.jpg
  11月15日(土)、東洋食品工業短期大学創立70周年記念式典に出席しました。同学は現在の東洋製罐株式会社を創業され、わが国の缶詰業界の発展に大きな貢献をされた故・高碕達之助氏によって1938年(昭和13年)に東洋製罐詰専修学校として開学されました。その後、1961年(昭和36年)に東洋食品工業短期大学に改編され今日に至っていますが、本学園とはJR宝塚線を挟んで隣接したところに位置しています。
  高碕達之助氏は〝食料は人の命に関わるものであり、食品の仕事に従事する者は、心の正しい人でなければならない〟という言葉を残しておられますが、これが普遍の教育理念として継承されています。同校はこれまで、70年にわたり包装容器及び包装食品を専門に教える短期大学として、生産者と消費者を結ぶ「包みと食のエキスパート」を育成し輩出してこられました。また、創立70周年という節目を前に『包装食品工学科』に名称変更、「密封技術コース」と「食品製造技術コース」を設置されると共に70周年を機に施設の改築や共学化に踏み切る等の改革を進めておられます。
  今、日本には世界各国からあらゆる食材が集まってきていますが、食品の産地偽装や残留農薬・有害物質の混入等の問題が多数顕在化し、国民の間に〝食の安心・安全〟に対する関心が高まってきています。同学の〝誠実と勤労の精神を根底においた人間教育〟は本学園の教育理念と一脈相通じるものがあるように感じました。本校もまさに食育に注力しようとしており、これから多くの面で連携を蜜にしていきたいと思っています。

2008年11月14日

学力推移調査を終えて

ktchousa.jpg

  今週、中学1年生と2年生を対象にベネッセによる学力推移調査を実施しました。本校では毎年2回、4月と11月に生徒の学力状況と学習実態を見るためにこの調査を実施していますが、全国での受験生は年々増加しており、今春は中学1年生が約36500名、中学2年生が約40500名となっています。
  今回行なったのは国語・数学・英語の3教科と学習実態調査でしたが、4月との違いはマーク式が記述式になった点です。全体の集計がまとまるのは12月初旬になるようですが、個人にとっては各学校の学年内順位だけではなく全国での順位も判ることになりますし、学校にとってはコース別・クラス別・教科別にどの分野に課題があるのかも明確になります。
  また、学習実態調査については「生活・学習全般」「教科共通の学習」「国語・数学・英語の学習」の項目ごとに質問が準備されています。特に、起床や就寝時間、朝食の摂り方、部活動と学習の両立、学習時間等の基本的な生活習慣に関するものや、勉強の仕方について生徒達の実態を知ることは非常に大切であると思います。ともすると点数として表われた結果のみに目を奪われがちですが、生活面や学習の仕方との関連があるのは間違いありません。
  今回の調査を個人別の課題やコース・教科別の課題を明確にし、今後の教育に活かしていきたいと考えています。

2008年11月13日

世界の動きを知る

global.jpg

  これから日本が避けて通れないトレンドとして「情報化」「グローバル化」「少子高齢化」といったことがあげられます。このうち、少子高齢化というのは日本独自の問題ですが、情報化とグローバル化は表裏一体のものとして、今後ますます加速されてきます。しかし、気になるのは国民全体が内向きになり、自分の回りのことに目を奪われすぎて、これから世界がどのように動いていくのかについては関心が薄くなっているということです。
  現在の政治を見ていても、お互いに批判の応酬に終始し、協力して日本をどのような方向に導いていくかという道筋は見えてきません。このままではますます世界の流れに乗り遅れ、気がついた時には取り返しがつかないという結果になりかねません。
  日本はかつて世界の中で一人勝ちと言われるくらいの経済発展を遂げましたが、バブル崩壊とグローバル化への対応遅れのため国際的な地位が低下してきました。そして、もがき苦しみながらやっと経済を立て直し、ほっとしたのも束の間、再びアメリカに端を発した金融危機により、実体経済まで影響が広がりつつあります。それでも世界の国々の中では日本の経済・金融の状況は比較的打撃が少ないのです。今、世界全体を見るとアイスランドやセルビア、ウクライナ、ハンガリー等、国家そのもの破綻や欧米の巨大企業が相次いで倒産の危機に直面しています。14日からはワシントンで世界の首脳が集まり、金融サミットが開催されますが、是非この成り行きを注目しておいて欲しいと思っています。

2008年11月12日

高等学校全校朝礼~誰もやらないことをやる

ktimg_0421.jpg

  11月12日(水)、外部の模擬試験等のため開催できていなかった高校の全校朝礼を4週間ぶりに行ない次のような話をしました。
  〝日本では全労働者のうち約8割が企業に勤めているので、皆さんの中の大半は将来企業で働くことになりますが、今日は靴を製造している企業での興味あるエピソードを紹介します。この企業のトップは何とか売り上げを伸ばしたいと考え、ある発展途上国で靴が売れるかどうかを調査するように二人のセールスマンに指示しました。一人は「靴は売れません。この国で靴をはいている人は誰もいません」と答えました。ところが、もう一人は「絶対に売れます。潜在需要は実に大きいものがあります。わが社の製品であればきっとこの国に受け入れらます」と全く逆の答えをしました。最終的には、この国で靴を販売するということになりましたが、人々の所得が増えるにつれて大きく売り上げを伸ばすことができるようになったそうです。
  今、世界の人口は1日に約20万人ずつ増えてきていますが、特にBRICsといわれる国々が注目を集めています。この中のインドはこれまで人口は多いけれども貧富の差が激しく経済力という点では今一歩であると見られていました。しかし、最近の成長ぶりは目を見張るものがあります。このインド市場に早くから着目して手を打ってきたのがスズキ自動車です。インドにおける自動車の占有率は50パーセントを越えており、トヨタも日産もホンダも及びません。スズキの鈴木修会長の口癖は「人と同じことはやらない。やるなら世界一を目指す」というものです。また、ロシアでは日本のメーカーの中で三菱自動車が健闘しています。皆さんは、自分達の将来は暗いと思っていませんか。これからはやり方次第でいくらでも事業を伸ばすことができますが、そのベースとなるのは確かな基礎学力です。どうか皆さんは目標を達成するための勉強をしっかりとやって欲しいものです。〟
  高校生になると、徐々に自分の将来の進路についても考えるようになってきます。今後、高校の朝礼では少しでも進路選択のヒントになるような話をしていきたいと思っています。

2008年11月11日

悠久の地球~伊江島タッチュー

伊江島.jpg
  現在、中学3年生が研修旅行で宿泊している伊江島の中央東寄りに位置する標高172.2メートルの城山(グスクやま)は伊江島タッチューとも呼ばれていますが、地質学から見ても極めて珍しいものです。
  伊江島の周辺では島が乗る白亜紀(1億4000万~6500万年前)の岩盤の下に三畳紀(2億5000万~2億1000年前)の岩盤が潜り込んでいます。ところがこの際に潜り込んだ岩盤の一部がはがれ、白亜紀の岩盤に乗り上げ堆積物となったようです。その後、今から4000万~3000万年前に隆起し、堆積物が永年にわたって侵食された続けた結果、現在のタッチューになったようです。このように、ある地盤が潜り込む際に一部が剥がれ落ちて別の岩盤に乗り上げる動きは「オフスクレープ現象」と呼ばれ、実際に目に見える形で確認された例は他にはないようです。
  このように伊江島から突き出した形のタッチューは、実は島とは別の時代のもので7千万年も古いということになります。このことは琉球大学の海洋学科の氏家教授を中心とするグループが地層のサンプルを採取し、この中に含まれている放散虫(海の原生動物で年代決定の目安となる)を調べることによって確認したようです。
  そして、今日はこのタッチューを眺めながら生徒達は伊江島での生活を楽しんだことでしょう。 地球が生まれてから46億年が経過していますが、この地球の誕生を元旦とする地球カレンダーでは人類の誕生は12月31日の午後10時46分です。この間に想像を絶する色々な変化が起こってきていることを知り興味深く感じました。


2008年11月10日

沖縄への研修旅行

伊江島01.jpg

  11月10日(月)、中学三年生が伊丹空港から3泊4日の沖縄への研修旅行に旅立ちました。
  この研修のテーマは「平和」と「環境」です。今回のスケジュールは伊江島において各民泊での家業体験やマリンスポーツを行なった後、沖縄本島に渡り「美ら海水族館」「平和祈念資料館」「首里城」を見学することになっています。
  事前に学習したように伊江島は水資源の極端に少ないところであり、地下ダムを建設することによって農業の生産性を高めようとしておられます。生徒達は民家で家業体験と宿泊をさせていただくことになっていますが、このホームステイを通じて素晴らしい人との出会いや新たな体験をすることでしょう。沖縄のイメージは青い海と美しいさんご礁に代表される素晴らしい自然ですが、近年地球温暖化の影響でこれらが徐々に姿を消しつつある現状もしっかりと確認してきて欲しいと思っています。
  また、既に太平洋戦争後63年が経過し戦争体験をした人は次第に少なくなり、当時の悲惨な状況を直接語り伝えることはできなくなってきました。最愛の夫や子ども、兄弟等の肉親を亡くした悲しみや戦火によって焼け野が原になった大地を見つめ絶望感を味わいながらも復興に向けての懸命な努力を続けてきました。そして、これらの先人達のお陰で日本は世界でも有数の経済力を有するようになり、今ではほとんどの子ども達は恵まれた状況が当たり前であると感じているように思います。現在の日本は軍隊を持たず兵器の輸出も行なわないという世界でも稀な国家ですが、太平洋戦争末期、筆舌に尽くしがたい悲惨な経験をした沖縄戦線の状況を知ることによって、平和を願う気持ちを育てて欲しいものです。
  この研修旅行をバネにして、生徒達が大きく飛躍してくれることをこころより願っています。

2008年11月09日

租税教室の開催

租税教室02.jpg 租税教室03.jpg
  先日、高校3年生の国際科の生徒を対象に「租税教室」を開催しました。講師は西宮税務署から委嘱された税理士の藤原和哉氏です。内容は最初に税の概要を説明していただいた後、理解を深めるために身近な所得税の医療費控除を取り上げて実際の申告用紙を用いて丁寧に教えていただきました。残念ながらこの租税教室を参観することができませんでしたが、終了後、藤原さんに感想をお伺いしたところ、生徒達も税金に対しての関心は深く色々な発言があったとのことでした。
  日本国憲法第30条には「国民は法律の定めるところにより納税の義務を負う」と規定されており、現在国や地方公共団体が公共サービスを実施するために税金を徴収しています。しかし、どのような種類の税金があり、これらが何に使われており、財政状況がどうなっているのかをきっちり把握している人は少ないように思います。大きくは納税者と納税が同一である直接税と異なる間接税があります。直接税には「所得税」「法人税」「道府県民税」「事業税」等があり、間接税には「消費税」「酒税」「タバコ税」等があります。
  直接税の代表である所得税は〝個人の収入から必要経費を引いた所得をベースに各種の所得控除を加味して課税対象額が算出される〟ことになっています。今回学習した「医療費控除」は〝自分や家族のために支払った医療費から保険金等で補填された金額を引いた残額が10万円を超える場合〟に適応されるものです。
  また、現在話題になっている消費税は1989年に導入(3%)され、1997年に現在の5%に引き上げられていますが、世界各国と比較すると極端に低い水準です。因みにヨーロッパ諸国は20%前後であり、スウェーデンやデンマークは25%になっています。高福祉の維持には高負担が不可欠なのです。一度、税金についての理解を深めておいて下さい。

2008年11月08日

幼稚園での体験実習

実習00.jpg 実習01.jpg
  本学園は幼稚園・小学校・中学・高等学校を有する総合学園ですが、今回はこの特徴を活かした取り組みの一つを紹介します。それは高等学校における家庭科の保育の授業に取り入れた幼稚園実習であり、例年この時期に実施しています。
  近年、女性の合計特殊出生(しゅっしょう)率の低下に伴い、生徒達の兄弟・姉妹の数も非常に少なくなり、乳幼児との交流が難しい状況になってきています。このような状況の中で保育の授業を行なっても、子どもの個性や成長の個人差・発達段階などの明確なイメージを把握することはできません。この座学での限界を打破し、子どもの成長過程を自ら学ばせることを目的として、平成7年に本校に隣接している幼稚園にお願いし、高校生が幼稚園に赴き園児達の中に入って実習するということを始めました。その後、12年が経過しましたが、当初予想していた以上の教育効果を生み出しています。
  高校生が子どもに対して抱いているイメージは非常に乏しく、全く想像もつかないのが現実です。日頃テレビや自分達の生活空間の中で見る断片的なイメージを表現させると、良い面では〝かわいい〟〝素直〟といったことがあげられますが、悪い面では、〝手がかかる〟〝うるさい〟〝面倒である〟〝生意気である〟といったもので、どちらかといえばあまり良いイメージを持っていないようです。しかし、この実習の体験後は、子どもの発達段階の違いや個性があることを認識するだけでなく、子どもがかわいいと思う気持ちや癒される気持ちが出てくるようです。また、自分が将来大人(親)になった時に必要な資質についても考えたり、自分達の成長過程において親だけでなく周りや地域の方など様々な人に支えられて成長したことを振り返る良い機会にもなるようです。
  このように、幼稚園実習は本校の創立の精神に立脚した人間教育に大きく貢献する伝統的な体験学習の一つになっています。

2008年11月07日

読書の大切さ

読書週間.jpg  
  読書週間(10月27日~11月9日)も残り少なくなってきましたが、既に多くの本を読まれた方もおられると思います。この読書週間が制定されたのは、戦火の傷跡がいたるところに残る昭和22年ですから今年は実に第62回ということになります。ルーツを紐解くと戦前にも図書週間や図書館週間という名称のものがあったようですが、戦争により中止されていました。戦後《読書の力によって平和な文化国家をつくろう》という決意のもとに出版社、書店、公共図書館、新聞・放送等のマスコミが中心となって第1回の読書週間が開催されたのが昭和22年です。その時の反響は素晴らしいものがあり、翌年からは文化の日を中心とした2週間と定められ全国的に広がり今日に至っています。
  これまで日本は〝世界有数の本を読む国民である〟と言われてきましたが、昨今の状況を見るとこの言葉は全く当てはまらないように思います。私は毎日片道1時間以上の電車通勤をしていますが、車内の光景は10年前とは隔世の感があります。幸いなことに乗換えの必要がないため、日々の新聞に目を通し、本を読み、業務整理をする、また帰りにはこの校長通信の原稿を書くということを習慣にしており、極めて密度の高い時間を過ごしています。しかし、通勤電車の中では、朝は一部新聞を読んでいる人の姿も見られますがほとんどの人が目を閉じて眠っていますし、夜は携帯を手にしてメールをしている人が目に付きます。そして、残念なことに最近では新聞や本を読んでいる人の姿は極端に少なくなってきました。よく「子どもが本を読まなくなった」と言われますが、大人についても急速に活字離れが進んでいるように感じています。この結果、書く力が急速に低下してきているのは間違いないでしょう。
  今年の読書週間の標語は『おもわぬ出会いがありました』です。この週末には是非家族で本を読みその中から新たな発見をして欲しいものです。

2008年11月06日

秋の文化講演会の開催

津軽三味線01.jpg 津軽三味線02.jpg
  11月5日(水)学園記念講堂において、秋の文化講演会が開催されました。この催しは学園PTA協議会と教養委員会が主催し、例年この時期に著名な文化人をお招きし、幼・小・中・高の児童・生徒の保護者を対象に開かれています。今回は『津軽情韻』と題して津軽三味線と心の歌を楽しむという趣旨で竹山流津軽三味線の第一人者である高橋栄山さんと津軽民謡の正統派歌手である須藤雲栄さんと若手歌手の二代目須藤雲栄さんをはじめ多くの方にお越しいただきました。高橋栄山さんは津軽民謡の巨星と言われた高橋竹山氏に弟子入りされ、その後プロの三味線奏者として全国で演奏活動をしながら各地に教室を持ち、後進の指導にあたっておられます。演奏曲目は「三味線じょんから」「津軽よされ節(旧節)」「津軽じょんから節」「三味線よされ」「津軽よされ節」「古調あいや節」でしたが、素晴らしい音声が会場一杯に鳴り響き、聴衆を魅了しました。
  津軽三味線は今でこそ日本国内だけではなく南アフリカ共和国の日本人大使館をはじめ国際的にも認められる存在ですが、かつては厳しい自然の中で「坊様の三味線」として差別される等苦難の道が続いていたようです。津軽三味線の根底にあるものは喜び、悲しみ、苦しみ、憤り等日常の心から発する「うたの心」であると言われています。
  なお、本校は地域に開かれた学校づくりを進めているため、学校行事には極力近隣の皆様にもご参加いただけるようにしています。今回も数多くの地域の方がお見えになりましたが、一流の演奏をお聴きになって日本文化の奥深さを感じる良い機会になったのではないかと思っています。

2008年11月05日

中学生対象の全校朝礼

IMGnn0416.jpg

  毎週水曜日は全校朝礼の日にあたっており、仮校舎の建設の関係で高校と中学を交互に実施することにしていますが、本日(11月5日)は高校1年生と2年生が模擬試験のため、先週に続いて中学の朝礼を行ないました。本日は前回話をした世界の人口爆発が環境問題の底流にあることに触れた後、世界の水事情について次のような話をしました。
  〝環境問題を考える場合には大きく食糧・水・エネルギー・資源の4つの切り口があるが、今日はこの中の水に関する話をします。人間の体は大半が水でできており、赤ちゃんは実に体重の85%、皆さんはおそらく70%くらいが水で占められています。人間は一週間食べなくても生きていけますが、水がなければ生きていくことはできません。ところが地球上で使える水は地球を直径1mの球体と考えると、わずか小さじ一杯分しかありません。そして今、水に困っている人が世界人口の実に3分の2も存在しています。日本では水は安心して飲むことができますが、発展途上国では生水を飲むことは絶対に避けなければなりませんし、ジュースの中に入れられた氷にも細心の注意を払うことが大切です。私も以前生活していたインドネシアでは激しい下痢に見舞われることもありましたし、シャワーも水圧が安定せずお湯になったり水になったりするため大変苦労した経験があります。日本は台風に伴う降雨などの影響で水は豊富にあると思いがちですが、実は大量の食糧輸入を通じて海外の国々に依存しているのです。そして、今後人口の増加に伴い、ますます水不足が深刻化してきます。
どうか、皆さんはこのような世界の水事情を理解し、これからも水を大切にしてください。〟
  現在、本校においては環境教育に注力しているため、これからfは校長訓話も環境問題を中心にしていきたいと考えています。

2008年11月04日

学校改革にあたって~学業と部活動の両立

クラブ.jpg
 昨年度の高校改革に続いて本年度より中学校に「一貫選抜」と「発展」という2つのコース制を導入したところ、一部の人から「雲雀丘は進学だけを目指す学校になるのですか?」「部活動はできなくなるのですか?」というような声が寄せられ驚きました。最近の風潮として何か新たなことを始めようとすると、残念なことに必ずこのような穿った見方が出てくる傾向があるようですが、絶対にこのようなことはありません。
  これまで何度も説明していますが、改革の基本の考え方は創立の精神であり、“将来社会で活躍する人材を育てる”ということなのです。私がこれまで一緒に仕事をしてきた人の中には、さまざまな学歴の方がおられましたが、単なる学歴と仕事ができるということは必ずしも一致しないということを実感してきました。実社会においては実践するという力が何よりも必要であり、いくら優秀で豊富な知識を有していても思いがなければ知恵に変わることはありません。また何でも自分ひとりでやるという考え方ではうまくいかないケースが多いのです。色々な力を借りる、異なる個性を持つ人と協力し合って仕事を進めていくというチームワークが必要なのです。そのためには他人に対する思いやりや人を動かす熱意、苦しい時にもへこたれない忍耐力といったものがベースになければなりません。そしてこれらはまさに教室における授業よりも部活動や学校行事によって養成される力なのです。私も学生時代はバレーボールに明け暮れていましたが、今振り返って見ると社会に出て一番役立ったのは“部活動”であったと自信を持って言えるのではないかと思っています。
  現在、中学では80%以上の生徒が何らかのクラブに加入していますし、高校の選抜特進クラスでも数多くの生徒が部活動で活躍しています。朝から晩まで知識を詰め込むような教育では決して人間としての根っ子を育てるということができず、結局社会で役立たない人間になってしまいます。昔から文武両道という言葉がありますが、部活動によって学業がおろそかになるということではなく、是非〝学業と部活動の両立〟をはかって欲しいものです。

2008年11月03日

隗(かい)より始める

tusin065_nouen3.jpg tusin064_nouen2.jpg
  本校では、本年度より環境教育を始めましたが、この基本は〝学び 考え 行動する〟ことです。『隗より始めよ』という言葉がありますが、私の家庭でも家族が話し合ってできるだけ環境に優しい取り組みをしようということにしています。この半年間でマイバッグの持参や水道水・電気の節約、生ゴミの削減についてはかなり改善ができました。特に野菜くずや魚の骨、茶葉、卵の殻等については捨てずに生ゴミ処理機で肥料化することにし、庭に植えた胡瓜やトマト、ゴーヤに施したところ驚くほど多くの収穫がありました。お蔭で、今年の夏は毎日自家製の新鮮な野菜を食べることができました。また、米の磨ぎ汁も流さずに野菜の水遣りに使うようにしています。以前キューバでは家の周りの小さな土地を利用して、野菜を作っているということを紹介しましたが、実際に自分自身でやってみると結構効果があがるということを実感しました。
  更に、先月近くにある貸し農園に応募したところ当選したため、これから家庭の生ゴミ肥料を活用して色々な野菜を育てていくことにしました。これまで時間がなくなかなかスタートできませんでしたが、今日は文化の日で半月ぶりに休みが取れたので草を刈り取り、植え付けの準備をしました。広さは30㎡ですが、150を超える区画はすべて借り手が決まっており、多くの人がそれぞれ作業をされていました。どのような野菜を植えるかは検討中ですが、少しでも地産地消を実践していきたいと思っています。また、11月3日はほとんど雨が降らないため「晴れの特異日」とも言われていますが、今日は小雨が降りうす曇の一日でした。

≪隗より始めよ≫
中国の戦国時代に郭隗(かくかい)が燕の昭王に対して、賢者を招くためにはまず自分のようにさほど優秀でない者を優遇せよ、と進言した故事から〝遠大な事をなす時は、まず卑近なことから始めよ。転じて物事は、まず言い出した者が着手すべきである〟という意味です。

2008年11月02日

第三回中学校入学説明会の開催

中学11月入説 00211.02.jpg マンドリン演奏 001a.jpg
  11月2日(日)、本校において「五ツ木・駸々堂のテスト」が実施されることもあって、早朝から多くの生徒と保護者が一緒に来校されました。このテストに併せて、10時半から本年第三回目で最終となる中学校の入試説明会を開催し 294組、341名の方に参加いただきました。
  これまで校外の多くの会場でブース形式による入試相談会を実施しているため、何度も説明会に足を運んでいただいている保護者の方もおられたようです。まず開会の前に入場された皆さんに、本校のギター・マンドリン部員による演奏で出迎えました。司会の紹介の後、私はパワーポイントを使って「社会で役立つ力を育てる」というテーマで、これからの世の中の変化や社会で求められる人材について触れた後、学校改革に対する基本の考え方や中学校におけるコース制の概要、新たに始めた環境教育等について説明しました。続いて、運動部を代表して剣道部員による練習の実演と文化部を代表して放送部員による学校紹介、学校生活の概要をコンパクトにまとめたビデオを見ていただき、最後に入試広報部長から本年度の入試結果と来年度入試の変更点について説明を行ないました。約一時間半にわたる説明会の後、学校の校舎と本日練習しているクラブ活動を見学していただきましたが、ギター・マンドリン部は引き続いて校舎前で演奏を続けてくれました。よく中学入試は親の入試と言われていますが、自分の子どもの将来については例外なく自分のこと以上に心配されておられます。何人かの保護者の方から個別の相談をお受けしましたが、受験にあたっては大きな心でお子様を包み込んでいただきたいと感じました。
  本日の説明会でもお話しましたが、世界は大きく変わろうとしています。現在66~7億の世界の人口は、10年後には73~75億人になります。その時には、子ども達は就職や将来の進路のことで頭を悩ましていることでしょう。是非、中学・高校という最も多感な時期に人間としてのしっかりとした基礎を作りあげ欲しいものです。
  これで、本年度の三回の中学校入試説明会は終了しましたが、お解りにくい点があればいつでもお問い合わせください。本校ではこれからも個別の進学相談や学校見学にはいつでも応じていますので、事前にご一報の上お気軽にお越しください。また、ホームページには入試に関するQ&Aを掲載しておりますので、是非参考にしていただきと思っています。

2008年11月01日

学校改革にあたって~グローバル化への対応

国際化.jpg 国際化01.jpg
 本校では高校のコース制の導入に伴い「国際科」の生徒募集を停止しましたが、これからますますグローバル化が進展する中で、時代の流れに逆行すると思われる方もあるかも知れません。しかし、これは全くの誤解であり、むしろこれまで国際科で培ってきた海外留学や語学研修、JICAとの交流等のさまざまなノウハウを新たなコースに取り入れ、将来世界に羽ばたくグローバル人材を育てるという積極的な狙いなのです。
  〝グローバルな視野と豊かな国際人の養成をはかる〟という趣旨で国際科が設置されたのは1985年(昭和60年)ですが、当時の日本経済は絶好調で、世界で一人勝ちと言われるくらいの状況でした。二度にわたる石油ショックを乗り切り、卓越した生産技術力を駆使して大量生産、大量販売方式のビジネス・モデルを確立し、国内の需要を喚起しつつ輸出の増大をはかっていったのです。この過程においては海外での販売を伸ばすことが企業にとっての重要課題であり、そのために語学力を有する人材が必要とされたのです。しかし、世界各国にとっては自動車や電機をはじめとする大量の工業製品の流入は現地の産業に大きな打撃を与え、貿易摩擦という問題を生じさせることになったのです。この事態を解消するために、多くの日本企業は相次いで技術移転を伴う現地生産に踏み切ることになりましたが、これが最終の姿ではありません。これからは、金融、流通、製薬、食品、情報通信、電機、自動車等あらゆる業界においてグローバル・ワン・マーケット(世界単一市場)が形成され、国を超えた企業の合掌連衡(がっしょうれんこう)が進むことになります。今回のアメリカに端を発した金融問題は世界各国に波及し、実体:経済にも深刻な影響が出はじめており、これを引き金にして更にこの動きが加速されることになるでしょう。そして、人・モノ・カネ・技術の流れは国境を超えて激しく動くことになります。この結果、日本国内の国際化という新たな局面を迎えることになるのは間違いありません。これからの時代には全ての人が国際感覚を身につけておかなければならないということになるのです。
 今回の新たなコース制はこのような時代背景を考慮しグローバル化への積極的な対応をはかることを目指しているのです。