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2011年05月31日

学校経営~課題解決型の組織をつくる

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  学校経営において大切なことは、他校にない特色づくりです。他校がやっているからということで、それをそっくり真似てみてもうまくいきません。何故ならそれぞれの学校における課題は同一ではなく全く異なっているからです。この課題を解決し、特色づくりを進めていくためには、これらの課題を解決していくための組織が必要です。しかし、柔軟に組織運営を行なっている学校は案外少ないように思います。特に、公立の学校においては手当が支給される対象分掌は教務、進路、生徒指導、保健、総務と決められており、新たな課題が発生するとこれらの分掌のどこかに落とし込むというやり方をしてきています。また、私立においても従来どおりの固定化された組織運営をしているところが多いようです。しかし、このようなやり方では、新たなことをやろうとすると、特定の分掌の負担は確実に増えることになるため、なかなか調整がつかないのが現実です。
  新しい学校づくりにあたっては、当然今までにない新たな仕事が発生するため、「効率よく学校経営を推進していくためにはどのような体制が良いのか」を原点に戻って考えていかなければなりません。新たな仕事と従来の仕事をすべて洗い出し再編成する。その上で現行の組織を一旦白紙に戻してどのような組織がよいのかを検討することが必要です。つまり“最初に組織ありき”ではなく“課題解決のために組織がある”ということを基本に学校経営を進めることです。学校を対外にPRするための広報活動、校内のネットワークを構築するための情報活動、進路と一体となったカリキュラムの検討やガイダンス機能の充実等の新たな取り組みを推進していくためにはどのような組織が最適なのかを検討しなければなりません。一般的に組織は固定化すればするほど当初の設置目的が時代の要請に合わなくなるものです。
  本校では、これを防ぐためにさまざまな組織運営を行なっています。課題解決のために組織の壁を取り除きマンパワーを増大させる、また期間を限定した委員会やプロジェクト・チームの設置等、弾力的な組織運営をはかっています。

2011年05月30日

環境フォーラムを終えて

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   ジョン・ギャスライト氏と環境大使       ギャスライト氏、サントリーHDの方と 

  今回の環境フォーラムは大きく分けて2つのプログラムで実施しました。一つは各学年の代表者による環境活動に対する取組みの発表、もう一つはジョン・ギャスライト氏による『未来の森に繋ぐ 小さな一歩が大きな第一歩』というテーマでの基調講演です。
  中学2年生は「三田での里山体験」、中学3年生は「大山での林間学舎」、高校1年生は「沖縄での修学旅行」についての報告、続いて環境大使による活動、エコ弁当作り、生徒会役員による22年度の生徒会活動実績、本年度の活動予定の発表を行ないました。本校では、情報の授業の中でパワーポイントの活用スキルを教えていますが、生徒達のプレゼンテーション能力は確実に向上してきているようです。
  最後に講演いただいたジョン・ギャスライト氏は、アメリカオレゴン州出身で、タレント・コラムニスト・農学博士・エコロジー空間プロデューサーと数々の顔を有しておられます。また、日本にツリークライミングを紹介したツリークライマーの第一人者として、NPO法人ツリークライミングジャパン理事長に就任される一方で、中部大学や中京女子大学の教授として幅広い活動を行ない、現在は愛知県の瀬戸市内の森で味噌樽の廃材を利用したツリーハウスに住んでおられます。
  お話はユーモアを交え、自分の生い立ちを紹介しながら1時間にわたって行なわれました。幼少の頃、海岸に流れ着いたゴミを見て、日本という国に興味を持ち、将来日本で暮らしたいと思うようになったことや両親が離婚して母親に引き取られ、カナダブリティッシュコロンビア州で育つことになったが、母親の再婚相手と上手く行かず、一時は人間不信になり、この時に母方の祖父から受けた言葉が、自然や環境、ツリークライミングに関心を深めるきっかけになったこと等を紹介していただきました。ジョン氏はツリークライミングを通じて自然と触れ合い、環境にやさしい心を育てる活動を開始され、既に200万以上の人達と一緒に木に登ったとのことですが、この中には身体の不自由な人や目の見えない人も含まれているそうです。
  講演の後、日本人の奥様を交えて環境について色々とお話しましたが、水や食べ物、生態系、異常気象等さまざまな課題があります。このフォーラムを機に、生徒達が環境問題について考え、身近なことから行動に移していってくれることを期待しています。

2011年05月29日

OECDの学力調査と日本の国際競争力

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  日本はこれまで物づくりの分野で世界をリードし、経済大国として発展を遂げてきましたが、これを可能にしてきたのは高度な専門能力や質の高い労働力です。言い換えると教育力が日本を支えてきたのです。
  OECD(経済協力開発機構)では、2000年から3年毎に世界の15歳の生徒を対象に学習到達度調査を実施しています。最初に実施された2000年の第1回調査では数学的活用力が1位、科学的活用力が2位、読解力が8位と、世界トップを維持していました。ところが、2003年、2006年の調査では、連続して順位を落とすことになりました。その後、2009年に第4回の学力調査が実施され、日本の高校1年生は前回(第3回)2006年に行なわれた調査に比べて、読解力が15位から8位へ、数学的活用力が10位から9位へ、科学的活用力も6位から5位と、3分野すべての順位を上げるという結果となり、低落傾向に歯止めがかかったようです。
  この調査には65か国・地域(OECD加盟国34、非加盟国・地域31)、約47万人の生徒が参加しました。15歳児に関する国際定義に従って、わが国では、調査を実施する学校(学科)を決定し、各学校(学科)から無作為に調査対象生徒を選定し、調査には全国の185校(学科)、約6000人の生徒が参加しました。この結果だけを見ると、日本の生徒の学力は良い方向に向っていると思われがちですが、決して安心できる状況ではありません。
  近年、グローバル化の進展に伴い、日本のお家芸であった物づくりにかげりが出てきています。そして、日本の国際競争力は長期低落傾向にあります。今回の学力調査でもトップは上海、次いでシンガポール、香港と国際競争力との高い相関が見られます。日本が技術立国、貿易立国として世界に認められていくためには、更なる学力アップが不可欠であると思います。

2011年05月28日

第4回(2011)環境フォーラムの開催

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      環境大使による開会宣言         環境宣言の日について説明
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      各学年による発表             ジョン・ギャスライト氏による講演

  5月28日(土)、中学生と高校1年生を対象に『第4回環境フォーラム』を開催しました。2008年に環境ジャーナリストの枝廣淳子氏を招いて、第1回環境フォーラムを開催し環境宣言を行なってから、実に3年が経過するということになります。
  
  〝冒頭、私からパワーポイントを使って環境フォーラムの趣旨をお話しましたが、その内容は次のとおりです。
  ①私達が住む青い星、地球。この地球が今悲鳴を上げています。
  ②温暖化により南極や氷河の氷が解け、ツバルは水没の危機にさらされ、ハリケーン・カトリーナに代表される異常気象等、さまざまな環境問題が生じてきています。
  ③この大きな原因は急激な人口の増加です。地球の人口は、人類の誕生以来ほとんど増加せず、西暦元年の頃はわずか2.5億人でした。その後1800年には10億人、2000年には65億人となり、現在は約70億人になっています。そして、今後も増え続け、皆さんが50~55歳になる2050年には91億人になることが予測されます。そして、発展途上国の人達が豊かな暮らしを求めるようになってきます。
  ④この結果、食料、水、エネルギーといったものが、不足することになります。また、このままの状況を放置しておくと、地球の環境はますます悪化し、海面が6メートルも上昇し、多くの陸地が水没することになります。
  ⑤我々は〝人間の活動が環境問題を引き起こしている〟ということを認識し、一人ひとりが行動を変えていかなければなりません。
  ⑥個人で」「学校で」「家庭で」皆さんがやれることはいくらでもあります。身近なすぐできることから始めてください。
  ⑦最後に、本校では、3年前に、環境宣言を行ない、5月29日を『環境の日』に制定しました。スローガンは  
  ◇自ら考え身近なことから行動に移そう  
  ◇後の世代に負の遺産を引き継がないようにしよう     
  ◇かけがえのない美しい地球を守ろう  です。
  それでは、全員で力を合わせて、本日の環境フォーラムを盛り上げていきましょう。〟      

  
  忘れてはならないのは、すべての環境問題は人間が作り出しているということです。環境教育においては、単に環境についての知識を持っていることでは不十分であり、勉強すればそれで終わりということではありません。自ら学ぶ、自ら考える、そして自ら行動することが大切です。本校においては、6月、7月は環境月間としてさまざまな環境活動を行なうことにしていますが、是非、ご家庭においても環境活動を推進していって欲しいと思っています。また、この期間には環境に対するさまざまな話題を取り上げていく予定です。

2011年05月27日

新年度初の定期考査を終えて

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   5月27日(金)、本日で定期(中間)考査が終了しました。今回は新年度初ということで、生徒達がどのような姿勢で考査に臨んでいるのかを注視してきましたが、個人差は大きいようです。高校生の中にはその日のテストが終了した後も、学校に残って翌日に備えている者、熱心に先生に質問している者も数多くいました。本日も通常通り、朝の登校指導を行ないましたが、数年前と比べると教科書やノートを手にしている生徒が随分増えてきたようです。
  しかし、中学生特に1年生については、まだ定期考査というものに慣れていないということもあって、十分な準備ができていない生徒も散見されます。1時間目の定期考査が始まる直前でも、騒いでいたり座席についていない者も見受けられたため、教室を巡回して指導するということもありました。現在、先生方はテストの採点に入っていますが、個々人の成績もバラツキが見られるようです。
  どのようなことも原因があって、結果が生じます。能力がないためにできないということもありますが、本校のように、全員が入試を経て入学してきた場合には、能力不足というより、学習の姿勢や生活習慣に問題のあるケースが大半であると思います。学校は〝社会で役立つ力を育てるトレーニングの場〟です。学習に対する姿勢は将来の仕事に対する姿勢に繋がりますし、生活習慣が乱れていては絶対にしっかりした仕事はできません。
  〝鉄は熱いうちに打て〟という言葉がありますが、最初の定期考査の反省をキッチリと行ない、対策を講じていきたいと思っています。

2011年05月26日

平成23年5月 理事会の開催

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  5月25日(水)、5月度の理事会が開催され、最初に平成22年度の事業報告と決算案の説明があり、承認されました。消費収支については、収入増と経費減により、当初計画に比べて良化し、改善額は将来の施設整備のための基本金に組み入れることができることになりました。今回の震災で東日本の多くの学校は大きな被害を受けましたが、何と言っても安全を確保し、生徒達が快適な学習環境の下で、学校生活を送ることができるようにしてあげることが大切です。本校は、現在、耐震補強はすべて完了し、新校舎も建設することができましたが、更に学園として小学校校舎や体育施設等の建設準備を進めていきたいと考えています。
  その後、各校種から近況報告を行ないました。私からは最終の大学進学結果、入学者を含めた生徒の在籍状況、本年度の生徒育成の重点課題、行事や被災地への支援活動等についてお話しました。出席者の皆さんからは、学園が更なる発展を遂げるためのさまざまな提言をいただき、活発な意見交換が行なわれました。現在、学園の経営は比較的順調に推移していますが、〝得意は失敗の芽を育て、失意は成功の芽を育てる〟という言葉があります。気を緩めることなく、しっかりと中期的な視点に立って経営を考えていかなければならないと思っています。
  理事、評議員の皆様には、ご多用中にもかかわりませず、ご出席いただき、いつも建設的なご意見をいただき心より感謝しております。これからも大所高所からのご指導をお願いします。。
  

2011年05月25日

開かれた学校づくりを目指す~大阪高校との交流

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  昨日(5月24日)午後、大阪学園大阪高等学校において、約80名の教職員を対象に『21世紀を生きる子どもたち~高校教育の重点課題』というテーマで講演を行ないました。
  本校は大阪府と隣接する兵庫県の宝塚市にあり、これまで大阪府から多くの生徒を受け入れています。しかし、大阪府の私学に対する助成制度が大きく変更されたため、生徒募集に関しては大きな影響を受けることになりました。そのため大阪府の動向をしっかりと把握すると共に、私学の方とは多くの機会を通じて情報交換するようにしています。この日は丁度、定期考査日にあたっており、午後を利用して教職員研修を開催することにされたようです。今回の講演では、世の中の動きや社会で求められる力、教育をめぐる課題とこれからの学校づくり、最後に本校の取り組みについて紹介しました。その後、幹部の皆さんと意見交換をしましたが、私にとっても参考になることが多くありました。
  学校は〝閉じられた社会である〟とよく言われますが、これは決して褒められることではありません。この大きな原因は一人ひとりの教員が、常に社会の動きに目を向けていないからだと思います。また、ビジネスの世界では、日本経済新聞を読むのは常識になっていますが、学校では日経を読んでいる人は少ないようです。生徒達の中には現在学習していることが、将来何の役に立つのかを疑問に感じている人も多いようです。従って、教員の大きな役割の一つは社会の動向を生徒達にしっかりと伝えることにより、学んだことが社会とどのように繋がっているかを理解させることであると思います。
  特に、私学の教員は転勤がないということもあり、余程努力しないと独善的な考え方に陥いりがちです。そして、どんどん視野が狭くなってしまいます。これを防ぐためには、これからも全教員が外部に目を向けることにより、開かれた学校づくりを目指していくことが大切であると思っています。

2011年05月24日

高大の連携を強化する~香川大学を訪問

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  本校の生徒達はほとんどが大学進学を目指していますが、進路実現のためには、できるだけ早く志望校と学部を決め目標に向って学習するということが大切です。そのため本校では高校入学時より職業体験談を聞く「職業人に学ぶ」講演、卒業生による講話、高大連携講座、大学の先生による「1 Day College-出前講義」等を実施しています。この中でも全国の30を越える大学の先生に来校いただいて開催する「1 Day College」は業者の方を一切入れず、すべて教員の手づくりで実施している本校独自の取組みです。窓口は進路指導部となっており、各大学に校内オープンキャンパスへの参加をお願いし、それぞれの講師の先生方は高校生向けに講義内容を変更してお話いただくことになっています。
  本校では、本年、中学改革初年度の生徒が高校に入学したのを機に、高校のコース制を「一貫選抜」「選抜特進」「特進」の3コースに再編するのと同時に従来のカリキュラムの見直しを行ない「国公立大学対応型」に変更しました。これは将来社会で役立つ力を習得させるために、生徒達がより幅広い学習をすることにし、国公立大学の受験を目指すようにしていこうとするものです。
  このため1 Day Collegeについても、できるだけ国公立大学からの出前講義を増やす方向で調整していくことにしました。この考え方に立って、先週末、香川大学を訪問し、一井学長に直接お会いして講師の派遣をお願いしたところ、快く了解していただきました。そして、早速工学部の安全システム建築工学科の先生をご紹介していただきました。どのようなお話をしていただけるのか今から楽しみにしています。
  これまでも、生徒達はまず興味、関心のある大学を選び、オープンキャンパス等に参加した上で、志望校を絞り込むというパターンがほとんどです。本校ではこれからも多くの大学との連携強化をはかり、パイプを太くしていきたいと考えています。
  大変ご多用中にもかかわりませず、貴重なお時間をお取りいただいた一井学長はじめ、1 Day Collegeにご協力していただくことになった香川大学の皆様に心より感謝申し上げます。

2011年05月23日

教育実習がスタート

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  5月23日(月)、本日より3週間にわたる教育実習がスタートすることになりました。本校では毎年この時期に教育実習生の受け入れを行なっていますが、全員が本校の卒業生で、教員への道を志望しているようです。教科の内訳は国語科1名、社会科6名、数学科1名、理科2名、保健体育科1名、芸術科4名、英語科1名の計16名です。最初に職員朝礼で、代表者から実習の決意をこめて挨拶していただいた後、私からオリエンテーションで、約30分間パワーポイントを使って〝社会で役立つ力を育てる〟というテーマでお話しました。この実現のためには、先生自らが社会の動きをしっかりと把握しておくことが重要であり、まずしっかりと新聞を読むことから始めて欲しいということをお願いしました。
  また、卒業生であるということは、学校の事情が分かっているというメリットがある反面、中学・高校時代に教えてもらった先生方が数多くおられるということで緊張感が薄らいでしまうというディメリットもあります。教壇に立つと年齢にかかわらず、生徒の前では先生であり、甘えは許されません。教職を希望する理由は色々あると思いますが、〝単に生徒が好きだから〟とか〝職業として安定しているから〟といったことだけでは不十分です。〝人を教えることを生涯の仕事と考え、将来の日本を背負って立つ人材を育てる〟という強い志が何よりも大切です。この後、実習生達は各々熱心に授業見学を行なっていましたが、これからは人に言われて受身でやるのではなく、さまざまなことを貪欲に学ぶという姿勢を貫いて欲しいものです。
  なお、参考までに、本日実習生にお渡ししたレジュメを紹介します。
《実習に当たっての心構え》
  皆さんはこの度母校で教育実習されることになりましたが、実習にあたって次のことを心がけて欲しいと思います。
  ①学校の役割は〝生徒を育てる〟ということです。生徒が主体であり、皆さんではありません。これまでは、小学校、中学校、高校、大学とずっと皆さんが主体でした。このことをしっかりと認識しておくこと。
  ②生徒にとって、教壇に立つ人は〝すべて先生〟です。この期間は、皆さんは一人の先生であるということを自覚し行動すること。
  ③生徒達はあまり年の離れていない先輩の姿を大いなる関心を持って見つめています。本学園の創立の精神(孝道)や本校の校是(高志・自律・努力)、人間教育の持つ意味を今一度思い浮かべ、実践すること。
  ④〝教えることは学ぶこと〟です。教えるためには、何倍も勉強しなければなりません。教員はどうしても視野が狭くなり、人間的な幅も広がりません。社会の動きに疎くなりがちです。学校の常識は社会の非常識ということにならないようにしなければなりません。これを機に、必死になって勉強すること。
  ⑤雲雀丘学園中学・高校は特殊な学校(良い意味で)です。日本の一般的な学校と思っては間違います。このことを知っておかないと教師はつとまらないという事実を心しておくこと。                     

2011年05月22日

学校経営~教育界の現状

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  昨今の教育界を取り巻く環境は激変してきていますが、最大の特徴を一言で表すと「少子化による児童・生徒数の減少」ということになります。これは、パイの大きさが一定という〝ゼロサム〟よりも厳しい状況であり、パイが〝シュリンク(縮小)〟するということです。このような状況下では当然のことながら競争が激化することになり、過去の延長戦上の取り組みを続けていれば生き残りが難しくなってきます。
  そのため大学を持つ学校法人による中・高の系列化や小学校の設置、男子校・女子高の共学化、入試制度の見直し等さまざまな動きが出てきています。また、公立高校の無償化や大阪府における新たな私学助成施策の導入、進学特色校の設置等も個々の学校にとっては大きな影響を与えることになりました。この結果、本年度の私立小学校、中学校、高校、大学の入試においても従来以上に二極化が進みました。また、先日の大手学習塾の決算発表の結果も非常に厳しい内容でしたが、これは生徒獲得のために多大のコストがかかったということです。これは学習塾に限ったことではなく、学校や予備校や幼稚園においても同様です。
  かつての児童・生徒の急増期には私立学校には多くの生徒が入学し、多額の納付金収入によって学校経営は安定していました。そして、待っていても生徒が来てくれるという状況でした。これは高度成長期に企業が数量や台数を見ておけば販売高が伸びたのと全く同じです。また、日本経済も好調で、各家庭の家計にも余裕があり、納付金の増額も容認されてきました。しかし、バブル崩壊後、日本経済は20年間にわたって、大きな成長が期待できない状況が続いています。そして、児童・生徒数が減少し、私学にとっては入学者の確保が難しい状況になってきています。一方で、ほとんどの学校において、教職員の給与体系は年功序列型になっているため、経費の大半を占める人件費は退職者が出ない限り年々増加していくことになります。この結果、既に経常収支が赤字になるケースも出てきており、教育活動そのものに対する積極的な投資や耐震補強・校舎建設といった施設整備にお金が回らなくなってしまいます。しかし、過去の蓄えを取り崩しながら何とか経営をしていくという状態は長続きしません。幸い本校はこれまでの努力により健全な学校経営が行なわれてきていますが、常に経営課題を明確にし、適切な手を打っておくことが大切であると思っています。

2011年05月21日

複雑化する経営の舵取り

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  昨今、国内におけるデフレや急速なグローバル化に伴う激烈な競争に加え、今回の東北大震災の影響を受けて、企業経営はますま厳しさを増しています。振り返ると、日本の高度成長期には、売上げも利益も右肩上がりという状況が続き、ただがむしゃらに前を向いて走るという経営スタイルで十分だったように感じます。メーカーを例にとれば前年に比べて数量や台数が何パーセントアップしているかという指標を管理しておけば増収・増益が達成されていました。そして、よりコストを下げるために、大型の設備投資を行なってきたのです。この結果、製品の単価が大幅に下がり、販売台数も増加することになりました。しかし、価格競争が激化すると、販売台数が増えても売上げが増えないということになってしまいます。このままでは利益が確保できないため、更にコストダウンをはかろうとしますが、ついにはコストダウンが製品単価のダウンに追いつかないということになり、赤字経営に陥ります。この赤字を解消するために製品の値上げをすれば、たちまち販売が減少することになります。そして、大量に作っても利益が出ない、逆に作らなければもっと大きな赤字が出るという状況に陥ってしまいます。この泥沼の状態になると体力のない企業は市場からの撤退を余儀なくされてしまうことになります。現在の薄型テレビの事業などは全くこのパターンに陥ってきているのです。
  このことから解るように、数量や台数だけでなく販売高、利益額、製品単価、コスト等さまざまな項目にわたって、きめ細かい管理をしておくことが必要となってきており、それだけ経営が複雑化してきていると言えます。
  何故、このような話題を持ち出したかと言うと、さまざまな分野でこれと同様の動きが出てきているからです。製造業だけではなく流通業も金融業も同様であり、教育界も例外ではありません。まさに、これからの学校経営はいかにあるべきかをしっかりと考えて舵取りをしていかなければならないと思っています。

2011年05月20日

学校経営~経営理念の浸透をはかる

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  最近、経営ということに対して色々と考えることが多くなり、松下幸之助氏や稲盛和夫氏、ピータードラッガー氏、ジャック・ウェルチ氏等の著書に目を通しています。これらの書物には、著者の幾多の経験に基づく思想が示されており、参考になることが非常に多くありますが、共通しているのは「確固たる経営理念」を持ち、その浸透をはかるということです。
  今、すべての分野において、環境の変化が大きいため、経営の舵取りが難しくなってきているように思います。日本の企業を取り上げて見ても、1980年代の最盛期が信じられないくらい厳しい状況下に置かれてきており、優良企業と言われていたところですら大きなリストラを余儀なくされてきています。振り返ると、バブルの崩壊、急激なグローバル化、リーマン・ショックによる金融恐慌、今回の大震災と次々と新たな課題が生じてきており、この対応に忙殺されてきているというのが実態です。このように経営が対応型になってしまうと、企業としての存在意義が不明確になってしまいます。そして、気がつくと当初予想もしていなかった方向に進んでいるということになりかねません。こういう混迷の時に大切なことは、原点に立って〝自分達の企業は何のためにあるのか〟を従業員が自覚し、行動することです。これは学校についても同じです。私学の良いところは、それぞれしっかりとした「創立の精神」があることです。本校については〝親孝行な人は立派になれる〟という『孝道』であり、将来社会で役立つ人材を育てることを基本にしています。
  現在、私学を取り巻く環境は大きく変化してきていますし、これから少子化の影響と厳しい経済情勢のため、生徒の確保が難しくなってくることが予想されます。今一度、創立の精神に立ち戻って学校経営のあり方を考えていきたいと思っています。


2011年05月19日

経営の根幹は人~教員採用広告の掲載

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  優良経営を推進していくためには、「人」「物」「金」「情報」「技術」といった経営資源を有効に活用していくことが不可欠です。これらの中でも、経営の掌にある方であれば人の重要性については例外なく痛感されていると思います。産業界においては“経営の根幹は人である”とか“企業は人なり”といった有名な言葉がありますが、すべての経営活動は人によって行われており、その成果は担当する人によって大きく異なるということを考えれば当然のことではないかと思います。
  かつて勤務していた松下電器(現、パナソニック)の創業者である松下幸之助氏は、創業間もない頃から、いつも従業員に「松下電器は何を作っているのか」と聞かれたら、『松下電器は人をつくっています。あわせて電気製品を作っています』と答えるように言っていたようです。そして、「どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入しても、それを生かす人を得なければ成果もあがらず企業の使命も果たせない」とも述べています。
  このことは教育の世界にも当てはまりますが、とりわけ「生徒の育成」という使命を有する学校現場における人の重要性については議論の余地がありません。私も教育の仕事に就いて10年目を迎えますが〝先生によって生徒達は確実に変わる〟と思っています。このように考えると学校経営を円滑に行なうためにはいかに人材を確保するかがポイントということになります。本校も現在、学校改革を進めていますが、この数年で多くの先生が定年を迎えられることになり、新たな教員が必要になってきています。
  そこで、本日(5月19日)の朝日新聞の朝刊に〝雲雀丘学園は、より高い飛躍を目指し、新しい力を募ります〟という教員の採用広告を掲載させていただきました。そして、6月25日(土)14時から16時、学園講堂において「教員採用説明会」を開催させていただく予定です。

2011年05月18日

高校全校朝礼の開催~社会で役立つために~

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   5月18日(水)、学園講堂で高校全校朝礼を開催し、次のような話をしました。
〝感動溢れる体育大会が終了しました。そして、来週からは、新学年になって初めての中間テストが始まります。皆さんの中には“テストは嫌だなぁ”と思っている人もいるはずです。このような人は、自分から勉強したいと考えているのではなく、他人から言われて、仕方なく勉強している人ではないでしょうか。しかし、勉強というのは、本来「自学自習」、つまり解らないところは、自分で調べて解るようにするというのが基本です。
  地球には多くの動物がいますが、これらの中で学校があるのは、人間社会だけです。そして、他の動物はすべて親が子に独り立ちするまで生き方を教え、育てていきます。それでは、何のために学校はあるのでしょうか。それは“社会で役立つ力を育てる”ためにあるのです。
  皆さんは、ほとんど全員が大学への進学を考えていると思います。しかし大学に進学するということが、最終目的ではありません。この朝礼の後、高校3年生は進路検討会が開催されると聞いています。まだ将来の明確な目標が決まっていない人もあると思いますが、できる限り“こういう分野に進みたい”ということを考えて、学部を決め大学を選ぶようにして下さい。
  弁護士、薬剤師、看護師、医師、漁業や農業関係、保育士、学校の教師、開発技術者等々、さまざまな仕事がありますが、将来の仕事については、是非“人のためになるか、社会のためになるか ”という視点で考えて下さい。今回の震災で、皆さんは“色々な仕事がある。多くの人に支えられて生活している。”ということがわかったと思います。この仕事は“楽だから”“お金儲けができるから”という自分中心考え方では、必ずどこかでゆきづまってしまいます。常に、相手の立場に立って物事を考え行動するという姿勢が大切なのです。そうすれば、必ず社会で役に立つ人材になれると思います。〟

  学校は〝生徒にとっては人生の生き方を学ぶ場〟です。このような見方をすると、教師の役割は単に知識を教えるのではなく〝生徒に人間としての生きざまを教える〟ことであると思います。本校は「人間教育の充実」と「学力の向上」の両立をはかることを目指していますが、教師が人間力についても学力についても一層の研鑽を続けていかなければならないと感じています。

2011年05月17日

学校経営~PDCA(大きな歯車)とD-CAP(小さな歯車)

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                     小さな歯車

  5月17日(火)、生徒達は昨日ゆっくりと休養をとり、日焼けした顔で元気に登校してきました。来週からは新年度になって初めての中間テストが始まります。気持ちを切り替えて、キッチリとテストに備えて欲しいものです。
  ところで、このブログにおいては、これまでも何回かにわたり、学校経営について紹介してきていますが、今回は2つのマネジメントの仕組みについて取り上げたいと思います。
  学校における仕事の進め方の基本はP(Plan)-D(Do)-C(CHECK)-A(Action)というマネジメント・サイクルを回していくことです。このサイクルが円滑に回転しないと、さまざまな問題点が解消されないまま、同じ失敗を繰り返すことになります。しかし、最近もう一つのサイクルが重要であることに気づきました。それは、実施した後に、すぐに問題点を洗い出して対策を立てておくということです。特に入学式や卒業式、修学旅行や文化祭、体育大会といった学校行事については、発生した問題点をただちに洗い出して、解決策を考え来年度への申し送りをしておかなければなりません。そうしないと、来年の行事を企画する段階で、昨年はどうだったかということを再確認する作業が発生してしまいます。これはPDCAに対してD-CAPということになりますが、PDCAが大きい歯車であるのに対して、D-CAPは小さい歯車と言えるかも知れません。
  学校というのは時計のように、さまざまな大きさの歯車が回っていると考えられます。そして、これらの歯車が円滑に回っているかどうかを常にチェックしておくことが必要です。
  今回の体育大会についてもD-CAPの歯車を回すことによって、来年度に備えていきたいと思っています。
  

2011年05月16日

被災地復興の願いを込めて

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  本校ではこれまで東日本大震災で被災された方々に対する支援活動を行なってきています。震災直後は被災地での受け入れ体制が整っていないため、主として、校内での生徒による募金をはじめ、卒業式や入学式、また宝塚駅前での街頭募金など義援金の募集を中心に行ないました。
  その後、志ネットワーク代表の上甲晃氏から〝宮城県名取市〟の小・中学校で文房具が不足しているという連絡を受け、学園小学校や地域の皆さんの協力をいただきながら、文房具を送る運動を推進しました。この結果、ダンボール23箱分のノートや消しゴム、シャープペンシル、鉛筆削りが集まりました。これらに手紙を添えて、東北大学の Iさんを窓口としてお届けすることにしましたが、これだけでは心が十分伝わりません。そこで、生徒会が中心となって、大きな白布に励ましのメッセージを書き込みました。
  そして、昨日体育大会の来場者の皆さんに激励の言葉を書いていただくようお願いしたところ、実に多くの皆さんにご協力いただきました。中には、まだ〝ひら仮名〟もしっかりと書けない小さなお子さんもお父さんやお母さんと一緒にハートの形や絵を描いてくれました。お蔭様で体育大会の終了時には何枚かのメッセージを書き込んだ白布が完成しました。
  これらの激励の言葉は、皆さんから支援いただいた募金とPTA保護者による飲物販売の収益金と合わせて、被災地にお届けする予定です。皆さんの暖かい気持や元気が被災地の皆さんに勇気と希望を与えてくれることを心より願っています。

2011年05月15日

震災復興支援体育大会の開催

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  5月15日(日)、素晴らしい天気の下、8時30分丁度に、全校生がクラス毎にプラカードと工夫を凝らした旗を先頭に元気よく入場行進を行ない、34クラス、約1300名の生徒達が運動場一杯に整列しました。昨日の予行時には若干不揃いなところも見られましたが、予行の後も行進の練習をしていたこともあり、本日の本番では随所に改善が加えられており、引き締まった見事な入場行進になりました。
  開会式では〝今回の東日本大震災では死者・行方不明者合わせて、約2万5千人もの尊い命が失われ、2カ月たった今も避難所生活を送っている人が13万人もおられる。すべての日本人が力を合わせて、この震災の悲しみを乗り越え、一日も早い復興を図っていかなければならない。そのために今年の体育大会は〝今回の大地震で被災された東日本の皆さんに元気を送る〟というテーマで実施することになった。どうか、一人ひとりがこれまで取り組んできた練習の成果を大いに発揮して、この大会を盛り上げていこう〟という趣旨の話をしました。
  その後、準備体操を行ない、中学1年生全員によるフレッシュマンレースから競技がスタートしました。続いて、スプリンターレースの予選、大玉はこび、大縄跳び、スウェーデンリレー、大玉流し、1500m走等の競技が行なわれました。そして、午前の部の最後には、高校3年生による恒例のエンカレッジメントパフォーマンスが演じられました。午後からはクラブ行進、スプリンターレースの決勝、綱引き、玉入れ、棒倒し、棒引き、騎馬戦、中高男女によるクラス対抗リレー決勝等の熱戦が次々と繰り広げられました。そして最後に、全員で被災地の皆さんを励ます『FIGHT』の人文字をつくり、感動の体育大会は幕を閉じました。
  いつも感じることですが、このような行事を通じて生徒達は急速に成長していきます。これを機に、クラスが一つになり、より一層の飛躍をはかっていって欲しいと思っています。

2011年05月14日

体育大会の予行を終えて

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  5月14日(土)、数日来のぐずついた天気のため順延になっていた体育大会の予行を実施しました。生徒達は8時過ぎから順次体操服姿でグランドに集合し、放送部員による司会の指示に従い、8時30分より中学3年~中学1年、高校1年~高校3年の順にプラカードを先頭にクラス別の入場行進を行ないました。
  行進のスタイルやクラス紹介は各クラスの特色が出ており、なかなかユニークです。最後のクラスが入場し、整列するとグランドは34クラス、1300名に近い生徒で一杯になり、壮観そのものです。続いて「前に進め」という合図に従って一斉に前進し、開会式の隊列をつくりあげ、全員で準備体操をした後、明日のプログラムに沿って集合と退場を中心に各種競技のリハーサルを行ないました。こうして午前中で予行は終了しましたが、多くの生徒は午後から学校に残って引き続き、クラス単位での行進やリレーのバトン受け渡し等、明日に備えて練習していました。 
  今回の体育大会は、東日本の被災地に元気を送るということをテーマにしており、大会の最後には人文字による激励を行ないます。また、来場いただいた保護者や近隣の皆さんにも激励のメッセージを書いていただくことを計画しています。
  体育大会は文化祭と共に学校における大きな行事です。本校では、毎年、新しいクラスがスタートして一ヶ月経過したこの時期に体育大会を実施していますが、この行事を通じて、生徒達が一層クラスの絆を強めると共に一人ひとりが大きな感動を味わって欲しいと思っています。
  明日は幸い良い天気にも恵まれそうです。日曜日でもありますので、保護者の皆様には是非ご来場の上、逞しく成長した子どもさんの姿を見てあげてください。

2011年05月13日

巨大地震に備える

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  今回の東日本大震災においては、何度となく〝想定外〟という言葉が使われましたが、これまで万全であると思われていた震災対策についても、今一度根本から見直していくことが必要です。この中でも、とりわけ留意しておかなくてはならないのは、近い将来発生すると言われている東海・東南海・南海地震です。この地震は2030年までに40~50パーセントの確率で発生するとされており、マグニチュード8クラスの巨大地震(海溝型地震)であると考えられ、強い揺れや津波が来襲する地域も広範囲にわたると予想されています。
  この根拠としては地質調査や文献資料を基に地震の研究が進み、過去の発生状況が約90年~150年(中世以前の発生記録では200年以上)の間隔であるということが判ってきたからなのです。このため、今後も同じような発生パターンをとると推測されています。明確な記述がないものもありますが、これまで判明しているものをあげると次のとおりとなります。

◇684年白鳳地震:11月29日にM8.0~8.3の白鳳南海地震が発生。同時期に東海地震と東南海地震が発生したと推定。
◇887年 仁和地震:8月26日にM8.0~8.3の仁和南海地震が発生。同時期に東海地震と東南海地震が発生したと地質調査により推定。
◇950~1000年頃、東海、東南海、南海地震のいずれかまたは複数が発生したと推定。
◇1096年~1099年 永長・康和地震:1096年1月24日にM 8.0~8.5の永長東海地震が発生。3年後の同日にM8.0~8.5の康和南海地震が発生。
◇1200年ごろ、東海、東南海、南海地震のいずれかまたは複数が発生したと推定。
◇1361年 正平地震:8月3日にM8.0~8.5の正平南海地震が発生。
◇1498年9月11日 明応地震(東海・東南海地震):M8.2~8.4。その2ヶ月前の6月30日に九州から東海にかけて地震被害の記録がある南海地震ではないかと推定。
◇1605年2月3日 慶長地震:M7.9~8.0の東海・東南海地震と南海地震が同時に発生。死者5千人以上
◇1707年10月28日 宝永地震:M8.6(これまで日本史上最大とされている)の東海・東南海地震と南海地震が同時に発生。この地震の49日後に富士山が噴火し宝永山(火口)ができる(宝永大噴火)。倒壊家屋6万戸余。土佐を中心に大津波が襲った。
◇1854年12月23日 安政地震:安政東海・東南海地震が発生。
◇1944年12月7日 M7.9の昭和東南海地震、1946年12月21日 M8.0の昭和南海地震が発生。

  これらの地震を見ると単一の震源で同時刻に発生するものだけではなく、3つの地震が起こった時間が非常に近いということが分かります。いたずらに不安をあおるものではありませんが、この3つの地震が一挙に起きた場合、また安政地震のように短い間隔で起きた場合は、太平洋ベルト全域に地震動による被害が及ぶことになるため、地域相互の救援・支援は実質不可能となると見られています。
  2010年の防災の日には初めて3地震の連動発生を想定した訓練が実施され、今後これらは強化されていくと思います。しかし、この活動にも限界があります。行政に頼っているだけではなく、「自助」という考え方に立って自分達ができる身近なことから行動に移していきたいものです。

2011年05月12日

体育大会に向けて

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  5月12日(木)、体育大会が目前に迫ってきました。例年、この時期には生徒達は本番に備えてリレーや大縄跳び、また高3生についてはエンカレの練習をしていますが、今年は不順な天候が続いているため、なかなか思い通りにはなっていないようです。当初の予定では、本日は午後から準備を行ない、明日大会の予行をする予定でしたが、生憎の雨のため本日は平常どおりの授業を行ない、明日(金)の午後から準備、明後日(土)に予行を行なうことにしました。
  今回の体育大会は、生徒会の役員が中心となって、『東日本大震災復興支援』をテーマに取り組むことにしています。学校にはさまざまな行事がありますが、これらを円滑に行なうためには規律正しい集団行動が不可欠です。これらの経験は間違いなく、将来社会で活躍する力につながっていくのです。雲雀丘の元気が被災地に届くように全力を尽くして欲しいと思っています。
  また、当日に事故や怪我を防ぐためにも、次の点に留意してください。
    ①就寝時間を守り、睡眠時間を十分にとること 
    ②通常通りの授業・自宅学習時間を大切にすること。 
    ③「朝ごはん」をしっかり摂り、寝る前の暴飲暴食を慎むこと。 
    ④運動前後にはストレッチ等の筋肉ほぐしを行なうこと。 
    ⑤寒暖差の大きい日が続くため、体温管理に気をつけること。
  
  最後に、先日被災地から本校に転入した2人の高校生にもこの体育大会に参加していただくことになりました。各人にとって、思い出に残る体育大会にして欲しいものです。


2011年05月11日

全校朝礼~原子力発電の現状

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  5月11日(水)、雨天のため、体育館で全校朝礼を行ない、次のような話をしました。

  〝今日で東北・関東大震災から丁度2ヶ月になります。しかし、今もなお避難所生活を送っておられる人が数多くおられます。今回の震災は、地震・津波・原発事故・風評(うわさ)という4つの大きな被害をもたらしましたが、今日はこの原子力発電についてお話ししたいと思います。
  皆さんは、今回原子力発電所の危険性ということについて再認識したのではないかと思います。そして、原発は直ちに廃止した方が良いと感じている人も多いと思います。しかし、一方で、夏にはエアコンがなければやっていけない、また冷蔵庫もTV、照明器具、炊飯器、お風呂もなくては困るということになっているのではないでしょうか。このように、今、皆さんの生活は電気のない生活など考えられないようになってきているのです。電気の供給ができなくなれば、当然のことながら今の生活は維持できないということになります。
  そのためには、日本における電力事情について理解しておくことが大切です。現在の日本の電力供給の内訳は、火力発電が全体の約3分の2で、原子力発電は約4分の1、残りは水力発電と新エネルギーです。このうち、火力発電所は、石油・石炭・天然ガスを原料に発電しますが、原料はすべて輸入しており、これらの原料はどんどん高騰しています。これを避けるために、日本は火力発電のウエイトを下げ、原子力のウエイトを高めるというエネルギー政策を選択してきました。そして、将来的には原子力発電のウエイトを50パーセント以上にするということにしたのです。
  皆さんは、原子力発電所がどのようなものか想像できますか。私は四国で勤務していた時に、愛媛県の西端にある四国電力の伊方原発をたびたび訪問しました。厳しい入門チェックを受け、防護服を着て、施設の中に入っていくのですが、一口で言うと膨大な水を使用している大きなドームという印象です。原発では電気を得るために大量の熱が出ますが、この熱を冷ますために大量の水が必要なのです。どれ位の水を使うのかというと、1秒間に70tの海水を引き込んで、温度を7度暖めて、再び海に戻しています。70tというのは、大阪で一番大きい淀川の1秒間の流量のほぼ半分位です。
さて、日本に54基ある原発のうち、停止しているものと現在点検中で稼動できないものを含めると42基、実に約80パーセントということになります。
  それでは、私達ができることは何でしょうか。まずは電気を無駄遣いしないという「節電」です。そして、新しいエネルギーを何とか創出していかなければなりません。日本は第二次世界大戦で、全土が現在の震災地のような焼野が原になりました。しかし、それから20年も経たない間に東京オリンピックを開催し、新幹線を走らせることになりました。これから20年先ということになると、皆さんは30歳台になっていますが、日本は素晴らしい数多くの技術を有しており、立派に立ち直っていると思います。頑張りましょう。〟

2011年05月10日

平成,23年度大学入試合格者数《最終》

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  大学の進学実績については、受験生や保護者をはじめ塾や学校等からも強い関心が寄せられています。特に本校のように学校改革を進めている場合には、大学進学の実績がそのまま学校改革の評価に結び付けられることが多いようです。そのため、本校の先生も何とか生徒達の進路実現をはかるために、懸命な指導を行なってくれています。
  先日、発売されたサンデー毎日(GW合併号5.8-5.15)には『難関大合格者が伸びている全国400高校』が掲載され、本校はこの10年間で公立・難関私立大の合格実績が伸びた西日本地区141校中で40位になりました。詳細は早稲田・慶應・上智・東京理科・南山・同志社・立命・関西・関学・大阪市立の合格者の増加数によるランキングとなっており、本校は128名増ということになっています。
  これまで、何度も本校の学校改革についての基本の考え方を取り上げていますが、本校が目指しているのは〝創立の精神の体現〟であり、「社会で活躍できる人材の育成」です。そのために、あくまで将来の進路を考えた上で学部を選び、次に学校を選ぶということを指導しています。そして、高い目標を掲げて努力し、最後まで諦めないことを徹底するようにしてきています。
  この結果、昨年度、高校のコース制導入の年に入学した生徒が大学受験に臨み、進学実績は大きく伸長しました。本年度は2年目ということでしたが、更に昨年を上回る進学実績を上げることができました。
  最終結果は、上記の表のとおりですが、赤字が過去最高となっています。サンデー毎日は10年のスパンでとらまえていますが、本校についてはこの2年間での大学進学実績の伸びが顕著であるということです。

2011年05月09日

世界の電源別発電電力量

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  20世紀は先進国を中心に工業化が急速に進展しましたが、これを支えてきたのは豊富な石油です。これまで石油の残存年数は常に30年しかないと言われ続けてきましたが、次々と新しい油田が開発されてきたため、現在でも石油がエネルギーの主役になっています。しかし、この石油については近年の新興国の経済成長に伴い、今のままだと30~40年で枯渇し、その後10年で天然ガスもなくなりそうです。
  一方、電気は使いやすいエネルギーとして、消費量は毎年着実に伸びています。そのため、電力のエネルギー源をどのように確保していくかは、日本だけでなくどこの国にとっても重要な課題です。前回は日本の電力事情について取り上げましたが、電力を得るための電源としては、石炭火力、石油火力、ガス火力、原子力、水力、風力、太陽光等があります。そして、各国における資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等の個別事情によって、これらが選択されています。一例をあげると、カナダは水力、フランスは原子力、中国は石炭火力が主流になっています。
  世界の発電量という観点では、火力が約3分の2、水力と電子力、その他を合わせて約3分の1となっており、依然として火力が主流になっています。しかし、各国共地球温暖化防止のための動きを加速させ、低炭素社会を目指してきているのです。風力、太陽光等の新エネルギーは今後ますます注目を集めることになるでしょう。各国の動きを注視していきたいものです。

2011年05月08日

日本の電源別発電電力量

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  現在の日本の電源別発電電力量を見ると、石炭、石油、天然ガスの占める割合が全体の3分の2(66.1%)となっており、原子力はほぼ4分の1(24%)、水力その他は10%にも達していません。このことから解るように、わが国の電力は石炭、石油、天然ガスによる火力発電が主力になっているのです。これらの化石燃料は、ほとんど海外からの輸入に頼っているため、最近、新興国の需要の増大による国際価格高騰の影響を受けることになってきました。また、火力発電ではCO2を発生させるため、地球の温暖化防止という視点に立つと、徐々に削減していかなければなりません。
  このような背景の下、わが国ではクリーンエネルギーへの転換をはかるための基本政策として、原子力を柱にした取り組みを推進することとし、将来は発電電力量の50%を原子力でまかなうことを目指してきました。この結論にいたるまでには、チェルノブイリやスリーマイルド島の事故の経験から、原発の安全性については激しい論議がかわされてきました。そして、地震が頻発する日本においては、他国よりも堅牢な原発の建設が求められてきたのです。しかし、今回の震災では大津波による電源喪失という事態を招くことになり、原発の安全神話が崩れてしまいました。
 
  これから日本におけるエネルギー問題は“海外依存度を減らす” “安全性を確保する” “地球温暖化を防ぐ”という三つの切り口で取り組まなければなりません。
  現在、火力と原子力以外の発電電力量はわずかですが、このうちダムの建設が必要となる水力発電は期待できません。そうすると、現在2.8%しかない「その他のクリーンエネルギー」をいかに伸ばしていくかがポイントになります。どのようなクリーンエネルギーがあるのかを順次取り上げていきたいと思っています。

2011年05月07日

日本における電力事情を知る

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  東京電力福島原子力発電所の事故が起きて、間もなく2カ月が経過しようとしていますが、なお予断を許さない状況が続いています。原子力発電に対する安全神話が崩れてしまった今、日本のエネルギー政策については抜本的な見直しが必要になってきました。この度、最も危険度の高いと言われている中部電力・浜岡原発の全停止の方針が打ち出されましたが、このような局所的な対応では解決には至りません。
  大震災以降、原子力発電は危険だから即刻廃止すべきであるという声が高まってきていますが、これによって代替エネルギーが容易に確保できるかというと答えは「否」です。これまで、日本においては夏場における電力不足の懸念はあったものの、基本的には電力は安定的に供給されるという前提で、国民生活が成り立ってきました。私達の家庭においても、エアコン、冷蔵庫、テレビ、照明器具、調理器具等数多くの電気製品の使用は当たり前になっていますし、24時間営業のコンビニ、いたるところにある自動販売機、電車などの交通機関、スポーツや娯楽施設等、生活が豊かになるにつれて電力使用量が増大してきました。また、日本経済を支える産業分野においては、電力の供給は不可欠であり、特に大型設備を有するメーカーにあっては安定的な電力供給がなければ、たちまち生産に支障をきたすことになります。
  仮に、電力が不足するということになれば、多くの分野でさまざまな支障が生じてくるのは間違いありません。現在、発展途上国では停電することは珍しくありませんし、日本でも以前はよく停電が起き、各家庭には大きなローソクや懐中電灯が常備されていました。しかし、最近では停電するということはほとんどなくなってきました。これは増大する電力需要に対して、電力各社が積極的に発電所の建設を進めてきたからです。そして、地球温暖化防止のためのCO2削減という課題をクリアするために、政府として原子力発電所の建設をエネルギー政策の柱として進めてきたのです。
  今回の原発事故を契機に、現在の日本における電力事情をしっかりと理解した上で、今後の電力のあり方について考えていくことが大切であると思っています。

2011年05月06日

連休を終えて

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  5月6日(金)、昨日で連休が終わり、生徒達は元気に登校してきました。企業の中には、一週間以上の長期休暇をとって、帰省、家族旅行、行楽、ボランティア活動等、それぞれ有意義に過ごされた人もあったようです。
  本校は暦日どおりになっており、4月30日(土)と5月2日(月)が授業日だったため、3連休となりました。各人がそれぞれ有意義な休日を過ごしたようですが、中には部活動の対外試合等のため、ほとんど休養することができなかった生徒や先生もいます。
  私は外出せずに、部屋の片付けやプライベートな書類の整理、書物や新聞からの参考資料の収集、庭木の手入れ等を行ないました。振り返ると、年が明けてからゴールデン・ウィークまでの4ヵ月は本校にとって、全く気の抜けない状況が続き、全教職員にとって精神的な余裕がなかったように感じています。
  この間の主要な業務には、3回の中学入試と2回の高校入試、大学のセンターと前期・後期入試、高校と中学の卒業式、新入生の入学ガイダンス、成績の判定、学校経営計画・予算計画の検討、経営方針の発表、新年度の教職員人事の検討、分掌長や学年主任からのヒアリング、新入教職員の受け入れ、理事会の開催、経営方針の発表、高校と中学の入学式、新入生のオリエンテーション合宿、PTA総会等があります。これらは本校にとっては恒例の業務や行事であり、来年以降も継続していくことになります。今年はさまざまな課題を抱えながらも比較的スムーズに乗り切ることができましたが、今後に繋ぐためには、しっかりと反省を行ない、対策を立てておくことが必要です。
  〝仕事は段取り八分〟という言葉がありますが、比較的余裕のある時期に課題を明確にし、キッチリと進捗表を作成しておきたいと思っています。

2011年05月05日

ゴールデンウィークの祝日~『こどもの日』にあたって

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   『こどもの日』は昭和23年(1948年)に〝こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日〟ということで定められましたが、もともとは中国の暦法で定められていた五節句の一つであり、「端午の節句」・「菖蒲〔しょうぶ〕の節句」とも言われます。  
  端午の節句は、もともと奈良時代から続く古い行事でした。端午というのは〝月の端(はじめ)の午(うま)の日〟という意味で5月に限ったものではありませんでした。やがて午(ご)と五(ご)の音が同じなので毎月5日を指すようになり、ついには5月5日になったと言われています。その後、鎌倉時代頃から「菖蒲」が「尚武」と同じ読みであること、また菖蒲の葉が剣の形を連想させることなどから、端午は男の子の節句とされ、男の子の成長を祝い健康を祈るようになりました。更に江戸時代には鎧、兜、刀、武者人形や金太郎を模した五月人形などを室内の飾り段に飾るようになり、〝登竜という激流(登竜門)を鯉が登ると竜になって天をかける〟という中国の故事を受け立身出世を願って庭前に鯉幟(こいのぼり)を立てるようになったのです。
  端午の節句には、今でも地方によって無病息災を祈って香気を持つ菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を軒に吊るしたり、田の神を迎えるための禊(みそぎ)の名残として菖蒲湯に入るという風習があります。更にこの日に柏餅を食べる習は日本独自のもので、柏は新芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が絶えない」縁起物として広まっていったようです。
  なお、五節句というのは暦の中で陽である奇数が重なると陰になるため、邪気を祓うということで、人日(じんじつ・1月7日)、上巳(じょうし・3月3日)、端午(たんご・5月5日)、七夕(たなばた・7月7日)、重陽(ちょうよう・9月9日)の五つを指しますが、1月だけは例外の扱いになっています。この他にもわが国の暦には、常に身の回りを清めておくというさまざまな行事が取り入れられているのです。今一度、日本の伝統や文化について認識しておきたいものです。

2011年05月04日

ゴールデン・ウィークの祝日~『みどりの日』にあたって

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  本日(5月4日)は〝自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ〝という「みどりの日」に定められていますが、このように決定されるまでには色々な経緯がありました。
  1948年の祝日法施行以来、昭和天皇の誕生日である4月29日は、国民の祝日である「天皇誕生日」とされていました。その後1989年(昭和64年)1月7日に昭和天皇の崩御に伴い今上天皇が即位され、天皇誕生日は今上天皇の誕生日である12月23日に改められることとなりました。しかし、ゴールデン・ウィークの一角を構成する祝日を廃止することによる国民生活への影響が懸念されたことから、4月29日を「みどりの日」と改めた上で祝日として存続させることとなりました。この「みどりの日」という名前の由来は、「昭和天皇は植物に造詣が深く、自然をこよなく愛されたことから『緑』にちなんだ名がふさわしい」という主旨です。その後、4月29日を「昭和の日」として制定しようという動きが生じ、2005年に正式決定になりましたが、同時にみどりの日を5月4日に移行させることになったのです。

  わが家の庭や菜園もこの数ヶ月放置したままの状態でしたが、雑草が生い茂る中に気がつくと色々な野草が花をつけ、バラの蕾も膨らみ始めてきています。今日は、みどりの日ということもあって、久しぶりに手入れをし、茄子、キュウリ、シシトウ、ゴーヤの苗を植えつけました。私も毎日、慌しい生活を送っていますが、自然に親しみ、自然に感謝するという気持ちを持つことの大切さを実感しました。

  また、この日は”みどり”という名称からも『植物園の日』にも設定され、植物や森林へ親しみや関心を持ってもらうことを目的として、多くの植物園や庭園などが無料開放されたり、全国各地で苗木の配布等のイベントが実施されているようです。

2011年05月03日

ゴールデン・ウィークの祝日~『憲法記念日』にあたって

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  5月3日から5日までは『憲法記念日』『みどりの日』『こどもの日』と祝日が3日続きます。
  本日は〝日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する〟という『憲法記念日』です。現在の日本国憲法は、第二次世界大戦で敗戦し、その後アメリカによる占領が続いていた1946年(昭和21年)11月3日に大日本帝国憲法の改正手続を経て公布され、1947年(昭和22年)5月3日に施行されたものです。そして、新しい憲法が施行された日こそ「祝日」にふさわしいということで、1948年に国民の祝日に制定されました。
  それから現在まで64年にわたってこの憲法は全く改正を加えられることなく継続しています。そのため日本国憲法の原本の漢字表記は、当用漢字以前の旧漢字体になっており、その前文には『われらは平和を維持し専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと務めてゐる国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ』と記載されています。
  現行の日本国憲法は十一章、百三条から構成されています。日本国民の中でこの詳細を知っている人は少ないと思いますが、特色として三つの柱を持っています。
  ◇一つ目は〝天皇は象徴であり国を治める主権は国民にあるという「国民主権」〟
  ◇二つ目は〝人間が生まれながらにして持っている、人間らしく生きる権利を永久に保障する「基本的人権の尊重」〟
  ◇三つ目は〝世界の平和を永久に守るため、外国との争いが起きても戦争をしないで平和的に解決するという「平和主義」〟です。
  現在最大の討論の的になっているのは「平和主義」に基づく憲法9条の問題ですが、自分の国は自分で守るという自衛の姿勢は不可欠です。いつも自衛隊のあり方が論議されますが、今回のような自然災害やテロといったことがいつ起こるかも知れません。この時に自分達の命や財産、生活をどのようにして守るのかは真剣に考えておかなければならないと思います。
  憲法の改正手続きについては第96条において〝この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。〟と定められています。
  憲法は日本の国にとってはすべての法律の基礎となる最も重要なものです。内容についてしっかりとした理解をしておきたいものです。

2011年05月02日

血の滲むような努力~イチロー選手の偉業

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(http://www.s-hoshino.com/f_photo/reja/re_017.htmlより)


  今年は大震災の影響で、プロ野球の開幕は大幅に遅れることになりましたが、選手達は被災された方に何とか勇気を与えたいという気持で、例年以上に気合を込めて試合に臨んでいるようです。毎年、多くの新人がプロ野球の世界に飛び込んできますが、大きく期待されながら活躍できずにユニフォームを脱ぐ者がいる一方で、大して注目されなかったのにもかかわらず大活躍している者もいます。人間ですから当然のことながら好不調の波がありますが、常に好調を持続していくためには「日々の地道な努力」が不可欠です。
   「今、プロ野球界で最も活躍している人は誰ですか」という質問をすれば、ほとんどの人がイチロー選手の名をあげるのではないかと思います。イチローは昨年200安打を記録し、自らの記録を更新すると共に100年以上の歴史を持つ大リーグにおいて「10年連続」という回数でピート・ローズに並びました。この試合の後、イチローは「200安打が簡単ではないことは僕が一番知っている」と安堵(あんど)感を漂わせながら答えていましたが、単に1年間だけではなく10年間続けるということは日々の体調管理が万全でなければ達成できないことです。
  また、今シーズン、イチロー選手は37歳となりましたが、4月が終了した時点で、チーム唯一の全試合に出場、月間の自己タイとなる39安打と、14回の複数安打、10盗塁を記録し、今年の活躍も大いに期待できます。イチロー選手の偉大さは、 以前、マリナーズで同僚であった阪神タイガースの城島選手の「記録の更新は凄いが、これを達成するための努力はもっと凄い」という言葉に端的に表わされているように感じます。
  このように社会で注目を集めている人は誰も見ていないところで、血の滲むような努力を継続しているのです。私達は活躍している華やかな姿だけを見がちですが、その陰に隠れた努力を見逃してはいけないと思います。

2011年05月01日

東北・関東大震災支援物資 受け渡し式

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  雲雀丘学園中・高では今回の大震災に対する義援金の募集を校内や校外で行なってきました。しかし、お金や物を授受するだけではお互いの顔が全く見えません。お金や物だけではなく心を伝えることが大切です。そこで、本校では卒業生で東北大学に在籍している学生(Iさん)を窓口にして、現地の要望を受け支援活動を行なうことにしました。そして、今回大きな被害を受けた宮城県の名取市で、学校に対する救援活動を行なっておられる方からの要請を受けて、生徒会の役員が中心となって、同市の小・中学校に文房具を送る活動をスタートさせました。ノートについては大学ノートではなく小学生用のものが要るということで、学園小学校にも協力をお願いしたところ、実に多くの文房具を提供していただきました。また、近隣の皆さんからも心温まる品物を届けていただきました。この結果、実にダンボール箱22個分の文房具が集まりました。そこで昨日の午後、Iさんに来校いただき、受け渡し式を行ないました。皆さんのご厚情に対して心よりお礼を申し上げます。
  本校では間もなく恒例の体育大会が開催されますが、これを『大震災復興体育大会』と位置づけて、大きな布を準備し、当日の来場者の皆さんに激励のメッセージを書いていただき被災地にお届けすることにしています。また、パンや飲み物の販売の一部を義援金に加えることも検討しています。
  今回の震災復興は短期間で終了できるものではありません。これからも被災地との連絡をしっかりと行ないながら支援活動を続けていきたいと思っています。