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2011年11月30日

科学の芽賞の受賞

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  続いて、嬉しいニュース第3弾です。  
  この度、雲雀丘学園中学校が昨年に引き続き「科学の芽・学校奨励賞」を受賞することが決定しました。この賞は湯川秀樹博士に続いて日本人二人目となるノーベル賞を受賞された朝永振一郎氏の生誕100年に当たる2006年に筑波大学でスタートした記念事業の一つです。今年で6年目を迎えますが、応募件数は年々増加してきており、今年は昨年の倍近くである2275件に上りました。この中から「科学の芽賞」22件と「科学の芽・奨励賞」49件、「科学の芽・努力賞」106件、「科学の芽・学校奨励賞」16件が選出されました。
  本校では中学2年生の女子生徒1名が「科学の芽賞」に選ばれ、中学2年生の男子生徒5名、女子生徒5名が「科学の芽」努力賞に選ばれました。また学校としても昨年に続き「科学の芽・学校奨励賞」に選出されました。
  この「科学の芽賞」は、青少年プログラムの中に位置づけられており、応募資格は小学3年生から高校3年生となっています。本校では、今年も中学1・2年生の夏休みの宿題として自由研究とレポートを課し、9月上旬にまとめて提出しました。理科の先生に聞くと中学1年生も2年生も普段から「なぜ?」と感じる感覚を養うように指導してきたとのことです。そのため、東日本大震災の影響もあって身近なものを取り扱ったテーマが多く、一見誰もが知っている内容でありながら深く感心させられるものが多かったとのことです。
  朝永博士は次のような言葉を残されています。
  「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です。よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です。そして最後になぞがとける これが科学の花です。」
  近年、日本からもノーベル賞受賞者が出て来ていますし、毎年何人もの受賞候補者の名前がとりあげられています。大切なのは、子ども達が単にテストの点をとる知識だけでなく「なぜ?」と考える鋭い感覚や、自分で答えまでたどり着くプロセスを考え出す知恵を身につけることです。これが将来、子ども達の大きな財産になります。日本が技術立国を目指すためには、このような裾野を広げる取り組みが必要であり、これからもこの行事に積極的に参加していきたいと思っています。 

2011年11月29日

演劇部の活躍

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  昨日に続いて、嬉しいニュースの第2弾を紹介します。
第46回近畿高等学校演劇研究大会・第31回近畿高等学校総合文化祭が11月25日~27日まで、滋賀県南草津の「しが県民芸術創造館」で開催されました。
  これに先立ち、本校の演劇部は阪神支部大会(19校参加)・兵庫県総合文化祭演劇部門発表会(15校参加)において、共に最優秀賞を受賞し、兵庫県代表としてこの近畿大会に臨みました。
  出場校は、開催県の滋賀2校・大阪3校・兵庫2校・京都・奈良・和歌山・三重各1校の計11校の近畿勢と鳥取・福井・徳島の代表各1校の計14校で、それぞれの学校が創意を凝らした熱演を繰り広げました。本校の作品は、高2の男生徒による創作劇で、「虚構奇譚~メタフィクションについての彼此」・・・そこは見たこともないような場所だった。曇った視界、乾いた空気。そして周りにある異様なオブジェ・・・という台詞から始まる物語で、現代を生きる若者たちが感じる閉塞感を描いた作品です。部員達は文化祭終了後、台本作りをスタートし、3か月にわたって舞台美術・照明・音響等すべてにこだわりつつ練習を重ねてきました。その集大成が今回の近畿大会ということになりました。
  そして、この近畿地区から出場した11校の中で、近畿代表として2校が来年8月に富山県で開催される全国大会に出場ということでしたが、本校は残念ながら優秀賞(4位以下)となり、夢をかなえることはできませんでした。部員の中には悔し涙を流した生徒もいたとのことですが、既に、部員達は雪辱を期して来年に臨むという気持ちになっているようです。
  本校には多くのクラブがありますが、部活動を通じて生徒達が大きく成長している姿を見て頼もしく感じています。
 

2011年11月28日

『第2回ひょうご新聞感想文コンクール』で知事賞を受賞

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  最近、生徒の活躍のニュースが次々と飛び込んできており、本当に嬉しく思っています。先日、中学3年生(57期生)のN・Nさんが『第2回ひょうご新聞感想文コンクール』(神戸新聞社主催)において「兵庫県知事賞」を受賞しました。このことは、既に、学年の通信でも紹介されていますが、応募総数8539点の中から見事最終選考会で、この栄誉ある賞を受賞しました。そして、兵庫県民会館のパルテホールで、入賞・入選した40名を超える小中高校生が表彰を受けました。この内容は11月7日(月)付の神戸新聞朝刊にも掲載されましたので、お読みになった方もあったと思います。
  本校では夏休みの宿題として、中学3年生には作文を課しており、その作文を此の感想文コンクールに応募したところ、今回の快挙に繋がりました。この作文のタイトルは『想像力豊かに』というもので、東日本大震災での被災地での厳しい状況を踏まえて、人が今何を必要としているかを「想像力」を豊かに働かせ、相手の立場に立って物事を考えていくことの大切さを訴えています。
  実は、先日の沖縄の研修旅行の際に、今回の受賞についての話題になりました。そして、その後しばらくして表彰状を持って校長室に来てくれましたので、一緒に写真を撮り〝感動は努力の結晶〟という言葉を添えて渡しました。
  最近は活字離れが叫ばれており、本や新聞を読む時間が極端に少なくなってきています。この結果、以前に比べると自分の考えを文章にまとめる力も落ちてきているように感じています。しかし、昔から「読み」「書き」「そろばん(計算)」と言われるように、これらは学力の基礎であることは間違いありません。色々な機会を通じて、生徒達の書く力を高めていきたいものです。

2011年11月27日

スピードを上げる

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  民間企業から公立高校に着任して、感じたのはあまりにも変化を好まない風土であるということです。民間企業の場合には前年やったことを見直し、更に改善しようとします。仮に、新製品がヒットしたとしても、次の年には更にこれを上回る商品を発売しようとします。しかし、学校では原則として、前年踏襲型の業務の進め方になっており、余程問題がない限り、変えようとはしません。
  昨今の世の中は、これまで徐々に変化してきたことが短期間で大きく変わるようになってきました。このような時代にあっては何事もスピードが要求されます。学校も例外ではありません。学校においては4月の入学式・始業式から3月の卒業式・終業式までの間に日々の授業、定期考査、体育大会・文化祭・修学旅行等の学校行事が行なわれます。この他に、私学の場合には生徒募集のための広報活動や入学試験がありますが、あらかじめ年間スケジュールが決まっています。また、生徒が毎年入れ替わることもあって、課題があっても新たな検討がなされないまま、従来どおりの学校運営が行なわれることになります。
  そのため、いつまで経っても課題は解決されず、新しい学校づくりはできません。これを防ぐには、早急に検討案をまとめ上げ、円滑に導入をはかっていかなければなりません。学校では全員の意見を聞き多数決で物事を進めていこうとする傾向がありますが、この方法をとる限り、ひとつのことを決めていくのに時間がかかり過ぎますし、無難な結果に陥ってしまいます。そしてうまくいかなくても「全員で決めたのだから」とか、「あれだけの時間をかけたのだから」という言い訳に繋がってしまいます。また、すべての関係者に意見を聞いてまとめようとしても全員の意見が一致することはまずありえません。
  本校は現在新しい学校づくりを進めていますが、これからも環境の変化に即したスピードある学校経営を目指していきたいと思っています。

2011年11月26日

戦略を構築する

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 本校では学校経営を進めるにあたって『4つのS』というキイ・ワードを掲げています。これは、戦略・スピード・シンプル・システムです。最近のさまざまな業界を見ても極端な二極化が進展しており、最高益を上げているところがある一方で、大きな赤字を計上するところも散見されます。よく経営がうまくいかなかった時には、外部原因を求めがちですが、あくまで内部に責任があると考えることが大切です。昔から〝戦略の失敗は戦術では補えない〟という言葉がありますが、まさに今は戦略が極めて重要になってきています。
 世の中の変化が小さく、すべての物事が安定的に流れている場合には従来のやり方を踏襲し、部分的な修正を加えていくだけで大きな問題は生じません。しかし、この状態が長く続くと次第に安易な方向に流れ、将来大変な状況になることが予想されてもそのまま放置しておくことが多くなってきます。
 教育現場においても「生徒数が激減する」「情報化やグローバル化が進展する」「企業の求める人材が変わってきている」「キャリア教育がより重要になってくる」「人間力をつけなければならない」といったことが分かっていたのにもかかわらず、これまで思い切った手を打ってこなかったというのが現状です。
 本校においては、平成25年を最終目標到達年として「あるべき姿」を設定し、高校のコース制(平成19年)、中学のコース制(平成20年)、環境教育(平成20年)、新校舎建設(平成22年)、国公立対応型カリキュラム(平成23年)等の導入をはかってきました。また、これらを経営の柱にして、「入口」「校内」「出口」の3つを固めるということで取り組んできました。
  どのような組織においても、新たなことをやろうとすれば、“難しい”とか“大変だ”とか“やらされている”という言葉が発せられることがありますが、これは危機感が薄いからです。今、大切なことは、〝自分達の学校は自らつくる〟という強い思いを持って学校独自の戦略を打ち立てることであると思います。そして、この様な組織風土を作り出していくことが経営トップの姿勢です。生徒や保護者にとって役に立たない学校は存在価値がないと言っても過言ではありません。そして、他校にない差別化(特色づくり)をいかにはかっていくかがポイントになります。そのためには、学校を取り巻く環境とライバル校の動向をしっかりと把握し、独自の戦略を構築していかなければなりません。
 また、本校は雲雀丘学園に属していますが、これからは幼稚園、小学校を含めた学園としての強みを生かす総合戦略を打ち出していくことが何よりも必要であると思っています。

2011年11月25日

24年度学校経営計画の策定に向けて

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 本年も残り少なくなってきましたが、私立の中学・高校においては、これから来年3月末までの4か月間は1年のうちでも極めて重要な期間になります。本校においても入試広報活動のつめ、高校入試の教育相談、中学入試、大学センター試験と個別大学試験、高校入試、高校卒業式、中学卒業式、教職員の人事等を次々と推進していくことになります。しかし、これらの他に今、絶対にやっておかなくてはならないのが、次年度の学校経営計画の策定です。この経営計画のためには、今年の反省をキッチリと行ない、課題を明確にした上で来年度につないでいくことが大切です。そして、学校経営を円滑に進めるために明確な方針を打ち出していかなければなりません。これは組織で仕事を進めていく際の基本です。
  分かりやすいように企業の例を取り上げると、個人商店の場合にはその日の仕入れや売り上げをきっちり管理しておけば十分ですが、事業の規模が大きくなり従業員の数も増えて仕事が分担されてくるとそれだけでは円滑な経営はできません。ひとつの目標に向かってそれぞれの仕事が繋がり協力体制が築かれていなければなりません。個人から組織で動くということが必要になってくるのです。そのために多くの企業では経営の管理レベルを高めるためのしっかりとした枠組みをつくり上げ、常に改善を加えてきています。
  一方、学校においては前年踏襲型の仕事の進め方を続けてきたため、こういった取り組みが弱いという傾向があります。言い換えると『経営計画』が十分出来上がっていないということです。
  私はこれまで公立高校も含めて校長の仕事を10年間行なってきましたが、校長の勤務は卒業式・入学式・修学旅行・体育祭・文化祭といった学校行事、生徒に対する生活・進路指導、校長だよりの掲載、学校説明会や相談会・塾対象の広報活動、PTA・保護者との対応、地域交流、授業見学、教職員との面談、さまざまな機関との調整等実に多忙を極めています。このため、ともすると落ち着いて考える時間がとれないということになリがちです。そして気がつくと今年一年間は本当に忙しかったという感想だけが残ることになります。これでは、いつまで経っても良い学校づくりは進みません。  
  現在、本校は学校改革を進めていますが、環境の変化の激しい中にあって、立ち止まるわけにはいきません。あるべき姿に向けて、来年度(平成24年度)の計画をしっかりと固めるというのが、学校のトップである校長の最大の責務であると思っています。
  なお、これまでの経験を踏まえ、学校経営についての考え方をこの校長通信で順次取り上げていく予定です。

2011年11月24日

平成23年 勤労感謝の日にあたって

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  昨今、学校で日本の祝日について教えることがなくなってしまいました。また家庭でも祝日に日の丸を揚げることもなくなりました。そのため子ども達は何故学校が休みなのかも分からないまま、休んでいるというのが現状の姿です。これでは日本の伝統や文化、歴史を知らない人が増えてくるのは当然です。従って、このブログでは極力祝日についての意味を掲載するようにしてきました。
  昨日(11月23日)は『勤労感謝の日』でした。この日は戦後国民の祝日が定められた際(1948年)に「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」ということで制定されました。戦前、この日は「新嘗祭(にいなめさい/しんじょうさい)」が行なわれていました。「新嘗」とはその年収穫された新しい穀物のことを指し、新嘗祭は天皇が国民を代表して農作物の恵みに感謝する式典として古くから国家の重要な儀式でした。そのため、勤労感謝の日を設定する際には、「新嘗祭」として祝いたいという意見もありました。しかし、働くというのは農業に限ったことではなく、二次産業や三次産業等も含めた幅広い意味を持つということから、最終的に勤労感謝の日ということになったのです。
  働くということは〝傍を楽にする〟と言われるように、世の中のためになるということが大切です。しかし、最近は働きたくても働くことができない人が増える一方で、農業や漁業や水産業に従事するする人が少なくなり、高齢化が進んでいます。とりわけ日本では農業に従事する人は年々減少し、約260万人で平均年齢は65.8歳になっています。現在、わが国は先進国の中でも極端に低い食料自給率になっており、このまま放置することはできません。今一度、働くという意義を考えていきたいものです。

2011年11月23日

日能研特別公開セミナーの開催

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  11月23日(水)、勤労感謝の日の休日を利用して、本校において朝9時から日能研の模試が行なわれました。今は私立中学の入試まで残り52日となり、ラストスパートの時期にあたっています。本日、本校の模試会場では315名の小学生が受験しました。試験は昼過ぎまで実施されるため、この間を利用して付き添いの保護者の皆さんを対象に日能研の協力をいただき『特別公開セミナー』を開催しました。
  開会までの時間を利用してギター・マンドリン部による演奏を行ないましたが、このやり方もすっかり定着してきました。ギター・マンドリン部は本校を代表するクラブで、県大会で4年連続最優秀賞を受賞し全国大会出場を決定する等の成果をあげています。セミナーに参加された保護者の皆さんは熱心に耳を傾け、演奏が終了すると大きな拍手を送っておられました。
  開会の後、私から約40分間にわたってパワーポイントを使って『これからの社会で生き抜く力を育てる』というテーマで講演を行ないました。講演は〝子どもさんは11年後には社会人になる〟ということから、社会のトレンドをしっかりつかむ、社会で役立つ力を育てる、どの分野に進みたいのかを決める、ということが大切であることを説明しました。そして、「この25年間に世界で起こったこと」「世界の現状と日本の現状」「日本の進むべき方向」「社会で活躍している人の共通点」「新しい技術や注目すべき会社」「伸びる企業と衰退する企業」について触れた後、「社会で求められる力」「教育を取り巻く現状と課題」「学校と家庭の役割と連携」についてお話しました。
  〝子どもは親の鏡〟という言葉がありますが、本当にその通りだと思います。正しい物の考え方や生活習慣は家庭がベースになっているのは間違いありません。講演に続いて本校中学の放送部員による学校紹介を行ない、その後、入試広報部長から入試に対する説明を行ないました。参加者は通常の入試説明会とは異なり80数名という人数でしたが、ほぼ本校の受験を考えておられる方が多いようです。
  これから入試が近づくにつれて、どうしても子どもさんが精神的に不安定になりがちですので、親が神経質にならずに暖かく見守っていただきたいと思っています。

2011年11月22日

環境学習の開催~きずきの森で学ぶ

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  11月22日(火)午後、中学1・2年生を対象に兵庫県立大学自然環境科学研究所の黒田有寿茂(あすも)先生による環境学習を開催しました。今回のテーマは〝森と里山ーきずきの森(本学園の近くにある)で学ぶ〟です。
  本校では人間力を育てるための大きな柱として、環境教育に注力しています。この基本の考え方は、単に環境に関する知識を習得するだけではなく自ら調べ考え行動するということです。
  黒田先生は最初に森の働きや常緑樹林・落葉樹林・針葉樹林などの森の多様性について触れられ、続いて人間の生活の変化によって原生林が里山に変わったこと、更に生活様式の変化によって、人間の手が入らなくなって、現在は里山放置林になっていることを説明されました。昔は燃料の主流は薪や炭でしたが、石油やガスや電気の普及によって、今はほとんど使われなくなってしまいました。そして、柴刈りや輪伐が行なわれなくなった結果、森は荒れ放題になり、里山放置林では常緑樹・ササ類・コシダ・ウラジロ・蔓植物が繁茂し、松枯れや鹿の食害が拡大しています。更に深刻なのは、絶滅の恐れのある動植物が増加し、日本の生物多様性が崩壊しつつあるとのことです。
  生徒達は来月、きずきの森で環境活動を行なうことになっています。自ら行動することによって、環境の大切さを体得して欲しいと思っています。お忙しい中、生徒達に環境についての有意義なお話をいただいた黒田先生に心より感謝申し上げます。

2011年11月21日

研究授業の参観を終えて

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  11月21日(月)、化学の先生の研究授業を参観しました。本校では年2回、〝授業を磨く〟ということで、公開授業旬間を設けており、この間にはお互いの授業を見学するようにしています。
  先生にとって授業は命であり自らの教科指導力を磨いておくことは何よりも大切です。毎日の授業は真剣勝負であるという気概で臨まなければなりません。しかし、永年教壇に立って同じ内容のことを教えていると、どうしても授業が固定化し、創意工夫を凝らすという取り組みができなくなってしまいます。これを防ぐためには、他の人の授業を見てよいところをとり入れる、また、他の人から自分の授業に対する意見やアドバイスを受ける、実際に授業を受けた生徒の感想を聞くということが必要です。
  本校では、この公開授業旬間には新しく本校に来ていただいた先生に研究授業をしていただき、できるだけ多くの先生に見学するようお願いしています。そのため、本日は理科の先生だけではなく他教科の先生も多数見学され、熱心に授業に聞き入っておられました。授業の後、研究授業をされた先生が早速校長室に来られたため、授業の感想をお伝えすると共に意見交換を行ないました。
  当初は、本校においても自分の授業を積極的に公開したり、他の先生の授業を見たり、生徒からのアンケートをとるといったことには多少抵抗があったことも事実ですが、今では教科毎に積極的に授業の質を高めていこうとするようになってきています。
  私学の場合は転勤がないため、どうしても人が固定化する結果、マンネリ化に陥りがちですが、これを防ぐためには常に新たな刺激が必要です。先生方が更に自主的に授業の質を高めていって欲しいと思っています。

2011年11月20日

沖縄研修旅行後記~伊江島タッチュー

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  今回の研修旅行で生徒達が2日間滞在した伊江島のシンボルと言えば、島の中央に位置する城山(グスクやま)です。この山は〝伊江島タッチュー〟と呼ばれており、標高はわずか172.2メートルですが、塔のように聳(そび)え立っているため、山頂まで急勾配の石段が続いています。石段を登り切るとエメラルド色の海に囲まれた島全体を見渡すことができます。眼下には生徒達が宿泊している家々や米軍基地、ホテル、学校、港が広がっています。多くの生徒達もホストファミリーの方に案内してもらって、登頂したようです。
  この一見何の変哲もないタッチューは地質学から見ると極めて珍しいものだそうです。伊江島周辺の地質は島が乗っかっている白亜紀(1億4000万~6500万年前)の岩盤の下に三畳紀(2億5000万~2億1000年前)の古い岩盤が潜り込んでいます。ところが、この三畳紀の岩盤が滑り込む際に岩盤の一部がはがれ、白亜紀の岩盤に乗り上げ堆積物となりました。そして、今から4000万~3000万年前に隆起し、その後堆積物が永年にわたって侵食され続け、やがて現在のタッチューの姿になったようです。つまり、古い岩盤の間に新しい岩盤がサンドイッチ状になっているのです。
  このように、ある地盤が潜り込む際に一部が剥がれ落ちて別の岩盤に乗り上げる動きは地質学的には「オフスクレープ現象」と呼ばれており、極めて珍しいものであり、実際に目に見える形で確認された例は地球上で他にはないようです。
  この驚くべき事実は、琉球大学の海洋学科の氏家教授を中心とするグループが地層のサンプルを採取し、この中に含まれている放散虫(海の原生動物で年代決定の目安となる)を調べることによって判明しました。従って、現在の伊江島から突き出した形のタッチューは、実は島とは別の時代のもので7千万年も古いということになります。同じように見える沖縄の島々もその生い立ちを調べるとなかなか興味深いものがあるようです。
  我々が住む地球は人間の想像を絶する悠久の歴史を有していることを再認識することができ、大いに勉強になりました。

2011年11月19日

教育実習希望者に対する事前指導

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  11月19日(土)、来年度教育実習を希望する学生に対する事前指導を行ないました。本校では毎年、卒業生の中で将来教職を目指す学生に対する教育実習の受け入れを行なっていますが、以前は一部甘い考えのまま実習に来る学生も散見されました。そのため、事前にこのような機会を設けることにしました。冒頭、私から次のようなレジメを配布し、話をしました。
  〝皆さんは、将来教職に就くことを目指し、この度教育実習をされることになりましたが、立派な教師になるためには、これから次のことを心がけて欲しいと思います。
 ①広い国土もなく大した資源にも恵まれない日本が、国際社会で生き残っていくためには、グローバルな視野で行動できる人財(材)の育成しかありません。皆さんは〝将来の日本を背負って立つ人財(材)を育てる〟というゆるぎない志を持つこと。
 ②学校の役割は〝生徒を育てる〟ということです。生徒が主体であり、皆さんではありません。常に生徒のためになっているのかどうか、という視点に立って取り組むこと。
 ③生徒にとって、教職30年のベテランの先生もいれば大学を卒業したばかりの先生もいますが、教壇に立つ人は〝すべて先生〟です。若いからという甘えは許されません。ベテランの先生には経験では絶対に勝てませんが、これをカバーする新たな試みを行なうこと。
 ④生徒達はあまり年の離れていない皆さんの姿を大いなる関心を持って見つめています。若さは皆さんの最大の武器ですが、決して友達先生になってはいけません。生徒に対しては毅然とした態度でのぞむこと。
 ⑤生徒に指導するためには、まず自分の身のまわりをしっかりと固めることが必要です。挨拶、服装、整理整頓、清掃、時間厳守、正しい言葉づかい等の凡事徹底をはかること。
 ⑥「教えることは学ぶこと」です。教えるためには、何倍も勉強しなければなりません。常に授業を磨くというという気持ちで、新たなことを取り入れて行くこと。
 ⑦教員はどうしても視野が狭くなり、人間的な幅も広がりません。社会の動きにも疎くなりがちです。〝学校の常識は社会の非常識〟〝社会の常識は学校の非常識〟ということにならないようにしなければなりません。そのためには極力多くの人達との交流をはかりこと。
 ⑧本学園の創立の精神(孝道)や本校の校是(高志・自律・努力)、人間教育の持つ意味を今一度、自分なりに考え、自分の言葉で語り、実践すること。
 ⑨雲雀丘学園中学・高校は特殊な学校(良い意味で)です。日本の一般的な学校と思っては間違います。このことを知っておかないと教師はつとまらないという事実を心しておくこと。
 ⑩先生の呼び方には「教師」「教諭」「教員」という三つがありますが、皆さんは是非「教師」を目指して努力すること。   以上〟
  来年の教育実習のスタートまではあと半年間あります。この間にしっかりと自己研鑽をはかって教育実習に臨んで欲しいと思っています。

2011年11月18日

沖縄研修旅行後記~人と人との心の交流

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  沖縄研修旅行における最大のテーマは伊江島における2泊の民泊です。沖縄本島の本部港からフェリーに約30分乗船して伊江島港に着くと、伊江島観光協会やお世話になる各民家の方々が〝歓迎雲雀丘学園中学校〟の幕を持って出迎えていただいていました。その後、入村式を行ない、4人~6人のグループに分かれ、それぞれの民家に向っていきました。この伊江島には高等学校がないため、この島では中学を卒業すると沖縄本島の高等学校に行き、下宿生活を送るそうです。
  わずか2日間の民泊でしたが、生徒達はさまざまなコミュニケーションをはかり、家族の一員になりきって充実した時間を過ごしたようです。私達も分担して、いくつかのご家庭を訪問させていただきましたが、まるで自分達の実の子どもや孫のような気持ちで接していただいていたようです。嬉しかったのは、ホストファミリーの方々から異口同音に本校の生徒達に対するお褒めの言葉をいただいたことです。また、今回は本校の生徒達の民泊の様子をビデオに収録したい旨の申し出がありました。
  また、出発にあたってはホストファミリーの方と記念撮影をしたり、抱き合ったり、泣きじゃくるといった感動的な光景が随所で繰り広げられました。そして、〝さようなら〟ではなく〝行ってらっしゃい〟という言葉で送っていただきました。
  毎年、この民泊を通じて人間の心の暖かさに触れ、家族のありがたさを感じる生徒が数多くいるようですが、今回も素晴らしい経験を積んでくれたのは間違いありません。このたびの民泊にあたっては、伊江島の皆さんに大変お世話になりました。心から感謝申し上げると共にこれからもこの縁を大切にしていきたいと思っています。

2011年11月17日

沖縄研修旅行を終えて

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 11月17日(木)、月曜日からスタートした3泊4日の沖縄研修旅行も無事終了しました。短い期間でしたが、この研修旅行を通じて生徒達は平和や人の命、環境、人と人との心の交流等の大切さを学びました。
  午後9時少し前に大阪伊丹空港に到着し、解散式を行ないましたが、出発時と比べて生徒達の顔の表情が随分変わってきているように感じました。〝経験に勝る宝なし〟という言葉がありますが、今回の研修旅行でのさまざまな経験を通して、生徒達は確実に成長したと思います。
  この解散式の中でも話しましたが、戦争や自然環境の破壊は、すべて人間の行為がもたらしたものです。これらを防ぐためには、一人ひとりが平和な世の中をつくる、かけがえのない命を守る、環境を保護する、という強い思いを持って行動しなければなりません。月日の経つのは早いもので、生徒達の中学生活も残すところ4ヵ月になりました。この研修旅行で学んだことをベースに、是非自ら考え身近なできることから行動していって欲しいものです。そして、この経験をバネにして、更なる飛躍をはかってくれることを願っています。
  最後に、今回の研修旅行にあたっては、多くの皆さんに大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。

  

2011年11月16日

沖縄の自然にふれる

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  研修地である沖縄は、エメラルドグリーンに輝く美しい海とサンゴ礁に代表される素晴らしい自然環境を有しています。今回の研修旅行では、この自然にふれあう様々なプログラムが盛り込まれています。その一つが”やんばる自然塾”でのカヌー体験、ビーチコーミング、マングローブの観察です。生徒たちは3つの班に分かれて、マングローブの林に囲まれた川で二人乗りのカヌーこぎを楽しみ、海岸で思い思いにサンゴや貝殻を拾ってペンダントを作りました。そして、マングローブ林の観察を行いました。
  沖繩の河口や湾奥には「マングローブ」と呼ばれている植物のグループが群生しています。最初は私もマングローブという名前の植物だと思っていましたが、実はいくつもの植物の総称なのです。(このことは琉球大学の土屋先生の事前講義で明らかになりました)。マングローブは潮が満ちると体の一部が水に浸かってしまいますが、潮が引くと根の部分が現われます。この代表的なものがオヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギですが、この林には、シオマネキ(カニ)やイボウミニナ(巻貝)等が無数に生息しており、、これらを間近で観察することができました。マングローブが、これらの小動物のすみ家になっており、これらの小動物は、マングローブ林の堆積物や懸濁物を食べます。つまり、海水のろ過と堆積物の浄化という二つの役割を果たしているのです。このようにして生態系が維持され、環境が保たれている実態を目のあたりにし、興味深く感じました。

2011年11月15日

沖縄研修旅行~平和の尊さを知る

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  沖縄に到着し、最初に訪問したのは「平和祈念資料館」です。生徒達はここに残されている貴重な資料を見学した後、平和の礎に準備してきた千羽鶴を提げ、沖縄戦線で亡くなられた方のご冥福をお祈りしました。 
  既に太平洋戦争後66年が経過し、戦争体験をした人は年々少なくなり、当時の悲惨な状況を直接語り伝えることが次第にできなくなってきました。とりわけ、この戦争の末期に繰り広げられ民間人を巻き込んだ沖縄戦線においては実に多くの人が尊い命をなくしました。
  現在、恵まれた生活を享受している生徒達は当時の状況を目の当たりにし、別世界の出来事のように感じたのではないかと思います。しかし、今の恵まれた生活は過去の人たちの犠牲のうえに成り立っているのです。振り返れば、この戦争によって最愛の夫や子ども、兄弟等を失い、戦火によって焼け野が原になった大地を見つめ絶望感を味わいながらも先人達は懸命な努力を続けてきました。その結果、日本は敗戦国でありながら世界の国々から〝奇跡〟と言われるような経済発展を遂げたのです。
  わが国は平和憲法を持ち、軍隊を持たず、兵器の輸出もしない世界でも稀な国です。しかし、国の防衛はアメリカに依存しているため、現在米軍の普天間基地の移転についての調整に頭を痛めており、日米間の大きな問題になっています。日本の役割は世界の国々に平和を訴えることですが、一方〝自らの国は自らで守る〟という防衛に対する基本の考え方が欠落しています。この軸がぶれると領土問題はじめ多くのことに対する歯止めが効かなくなってしまいます。過去の歴史を見ても自分の国を犠牲にして他国のために戦うということはありえません。今の日本は国民の命や財産を守るための方策を模索していかなければならない極めて難しい状況にあることを認識しておかなければなりません。
  今回の経験を機に、生徒達が平和の大切さや国の防衛ということについてしっかりと考えるようになって欲しいと思っています。

2011年11月14日

沖縄研修旅行しおり

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  11月14日(月)、本日より17日までの予定で、中学3年生が沖縄への研修旅行に出発しました。今回の旅行にあたって、しおりを作成しましたが、その巻頭言を紹介します。

  〝いよいよ皆さんは中学時代の最大のイベントである「研修旅行」に出発します。 今回の研修旅行の舞台は、日本の最南端に位置する沖縄です。沖縄といえば、青い海と美しいサンゴ礁に囲まれた素晴らしい景観を有するリゾート地である一方で、先の大戦で悲惨な経験を有し、日本にある米軍基地の70%以上が集中する基地としてのイメージを併せ持っています。しかし、これはあくまで近代以降の沖縄の顔であり、江戸時代までは、独自の文化をもつ琉球王国という別の国でした。
  この研修を通じて、皆さんは「平和」と「環境」の大切さを学びます。
  「平和」の面で見ると、太平洋戦争末期の沖縄戦で多くの方が尊い命を落とされ、戦後66年経った今もその心の傷を抱えて生きておられる方もたくさんおられます。〝平和の心を世界へ〟という願いでつくられた平和祈念資料館で、戦争に至った経緯や戦争の不条理と残酷さ等、多くのことを学んでください。そして、今日の日本の繁栄と平和は、多くの人の犠牲の上で成り立っていることを、今一度見つめ直してほしいと思います。
  「環境」の面で見ると、沖縄は世界でも有数の多様な生物が生息する地域です。マングローブの観察や美ら海水族館への訪問等の体験を通じて、私たちが住む地球上には、実に多くの種類の生物がいて、生態系を形づくっていることを再認識してほしいと思います。
  また、ホームステイでお世話になる伊江島では水資源が乏しいため、さまざまな工夫を凝らしておられます。これらの取り組みを自分の目でしっかりと確認し、水の大切さを学んでください。
  最後に、雲雀丘学園中学校の生徒としての自覚と誇りを持って、沖縄の人、自然、平和とふれあうことによって、皆さんの心に残る有意義な研修旅行になることを願ってやみません。〟

                         

2011年11月13日

漢字の成り立ちを知る

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  最近、テレビでも漢字に関する番組が増えてきており、その影響もあって書店でも漢字に関する本が数多く並んでいます。この中で、是非一度読んでいただきたいのが、『白川静さんに学ぶ~漢字は楽しい』です。この本は著者である文字文化研究所の小山鉄郎氏が共同通信社の企画として、白川氏から漢字の成り立ちや体系を一つ一つ教えてもらい、全国の新聞に連載されたものをまとめたものです。
  白川静氏は漢字が持つ体系的なつながりを明らかにして文化勲章を受章された漢字学の第一人者ですが、〝漢字という文字は、その成り立ちをきちんと学べば、これらのすべてがお互いに繋がって関連性を持ち、一貫した体系で構成されている。従って、難しい漢字を一つ一つ暗記しなくても容易に漢字を理解することができる〟と書かれています。この続編として『白川静さんに学ぶ~漢字は怖い』も出版されており、興味深い内容が盛り込まれています。私も普段使っている漢字について、知らないことがあまりにも多くあることが分かりました。
  現在の漢字教育は、学年が上がるにつれて、画数の少ない漢字から多い漢字へ習得するシステムになっています。また、戦後、複雑な漢字の簡略化が行なわれた結果、本来の漢字が持つ意味がわからなくなってきています。そのため、学校では漢字を丸暗記させるということになりがちですが、これが子どもたちの漢字嫌いに繋がっているのではないかと思っています。
  また、漢字というと、どうしても中国から借りてきたものという意識がありますが、日本人は借りてきた漢字をそのまま使ったのではなく、数々の言葉を作り出しています。一度、漢字を違った角度から見直していただきたいものです。

2011年11月12日

漢字検定試験の実施

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  読書週間が終了した2日後の11日(金)、生徒達が漢字のプリントや練習帳を手にしながら登校、恒例の漢字検定試験を実施しました。
  近年、活字離れが進み、新聞や本を読む人が極端に少なくなってきました。また、パソコンや携帯メールの漢字変換機能が充実してきたため、辞書を引く機会も少なくなってきたようです。この結果、手紙を書く、自分の考えをまとめるといった文章表現力も低下してきています。また、企業の人事担当者からも最近、社員の書く力の不足と共に誤字や脱字の多さが指摘されています。
  一般的に、大学や社会で必要なレベルは漢字検定2級以上ということになっているようです。最近、グローバル化の進展に伴い、あまりにも英語の重要性のみが取り上げられ、日本語が軽視されるケースが散見されますが、日本語とこの核である漢字はわが国にとっては重要な文化です。そのため、本校においては中学1年から高校3年生まで学校あげての行事として「漢字テスト」を創立以来続けています。そして、これに連動して「漢字検定」組織が全国組織として立ち上げられてからは全学年生が検定受験をすることにしており、高校卒業までに「2級取得」を目指しています。
  現状においては、高校1年生で2級を受験する生徒が増えてきていますし、在校中に準1級を取得する人も出てきています。
  今一度、漢字検定を通じて、日本語や日本文化のすばらしさを再認識して欲しいと思っています。

2011年11月11日

多様化する大学入試への対応

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  近年、大学入試は多様化しているため、これらの情報をしっかりと把握したうえで進路指導をしていくことが重要です。このうち、私立大学については半数以上が大学センター試験を受験せずに入学者を決定するAO入試や指定校推薦入試を採用しています。また、国公立大学についてもAO入試や公募推薦入試を行なうところが増えてきており、本校においても20名を超える生徒がチャレンジしようとしています。これらの入試については、学校毎に小論文や面接、実技、筆記が課せられることになっています。そのため、現在、担任はもとより進路指導部の先生方が分担して個々の大学に対応した指導に当たっています。私も昼休みや放課後を利用して指導しており、今週は来週の土曜日(19日)に受験する3名の生徒と面談しました。これらの入試にあたっては、一般入試と違って、将来の目標が明確になっていることと何故その学部・学科を選んだかという理由をしっかりと訴えることが必要です。生徒達にとっては、これまでこの様な機会はあまりないようですが、自分の考えをまとめて相手に伝えるということは、これからの人生においても非常に大切なことです。今回の経験を通じて大きく成長していって欲しいと思っています。
  また、今年の高校3年生は陸上自衛隊の看護学生選考や防衛医科大学・防衛大学の入試にも多数がチャレンジしています。今年は東日本大震災の影響もあって、全国的に医学や看護を目指す生徒が増加しているようです。先日、陸上自衛隊の看護学生選考の結果が発表になりましたが、兵庫県での受験者は167名で合格者は12名、そのうち本校から3名の生徒が合格(11名受験)しました。間もなく、防衛医科大学・防衛大学の合格発表もある予定ですが、生徒達の進路意識は着実に高まってきているようで心強く感じています。

2011年11月10日

読書の習慣を取り戻す

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  11月10日(木)、昨日で2週間にわたる読書週間も終了しました。本校においても〝全学年の担任が生徒に薦める本〟を一覧表にして配布する等の啓蒙活動を行ないました。子どもの言語能力を高めるためには、読書が最も効果的であると言われています。それは本を読めば読むほど色々な文章に接することになり、新しい言語をどんどん覚えることになるからです。
  しかし、年々「子どもたちの読書離れ」という傾向が強くなってきています。特に、小中高と学年が上がるほど本を読まない割合が高くなってきているのは憂うべき状況です。何故なら国語力はすべての学力の基礎になるからです。最近、気になるのは数学や理科等のテストの際に、設問の意味が理解できていないというケースも散見されます。また、大人の読書離れも顕著になってきています。これは携帯端末やパソコンの普及により、活字よりも安易で刺激的な情報メディアへの興味関心が強まったことやゲーム等に時間が奪われていることによるものだと思います。
  昔から『読書万巻を破す』という言葉もありますが、これは多くの本を読破することによってさまざまなことを知ることができるという意味です。人生の生き方をはじめ、芸術、哲学、科学、地理、歴史などあらゆる分野で楽しみを知ることになります。また、読書は心の健康に役立つと言われていますが、軽いスポーツや散歩が、身体の健康を支えるように、本を読むことが頭の体操になるのです。読書というのも「良い習慣」の一つです。燈火親しむ秋、今一度読書の習慣を取り戻していきたいものです。

2011年11月09日

高等学校全校朝礼~歯・口を中心とした健康管理

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  11月9日(水)、高等学校の全校朝礼で次のような話をしました。
〝社会で活躍するためには、健康であるということが不可欠です。どれだけ優れた能力を有していても、いざという時に体調を崩していては十分な働きはできません。自分の健康は自分で守るという気持ちで、良い習慣を身につけていくことが大切です。
  ところで、昨日(11月8日)は11(いい)と8(は=歯)の語呂あわせで『いい歯の日』でした。以前は6月4日が『むし歯予防デー』ということで、子どものむし歯を対象にした活動が中心でした。しかし、歯周病罹患率の高い大人やお年寄りを対象にした取り組みがより必要であるということで、この『いい歯の日』が制定されることになりました。また、同時に4月18日を『よい歯の日』に制定し、4月、6月、11月の年3回、自分の歯を守ることを提唱することにしたのです。
  そして、本年8月には懸案であった『歯科口腔保険法』が成立・施行されることになりました。この狙いは国を挙げて歯・口の健康を支えていこうということです。つまり、このポイントの一つは「歯と口のケア」が全身の健康につながるということです。食べ物をよく噛むという『カミング30運動』や「一生自分の歯で食べること」を目指し、〝80歳になっても20本の歯を残そう〟という『8020(ハチマルニイマル)運動』が全国的に提唱されています。
  人間の歯は左右対称に生えており、永久歯は28~32本ですが、人間の歯にはそれぞれの役割があります。つまり、前歯は8本で薄くて先が鋭くなっていて、食べ物を噛み切る役目を持っています。前歯の隣の犬歯は4本で先のとがった円錐形をしていて、食べ物を食いちぎったり、引き裂いたりする役目です。そして、奥歯は16本~20本で臼のような形をしており、食べ物をすりつぶす役目を持っています。前歯は果物や野菜、犬歯は肉、臼歯は穀物を食べるのに適しています。従って、歯の数の割合で食物をとる、つまり穀物が50%~62.5%、果物や野菜が25%、肉が12.5%の割合が良いとされています。
  最近、柔らかい食べ物やファーストフードを摂る人が増えてきていますが、今一度自分の歯の状態や食事方法、食事内容を見直し、しっかりと健康管理をして欲しいと思っています。〟

2011年11月08日

注目すべき新技術~iPS細胞

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  今、わが国においては〝将来は暗い〟と思っている人が多いようですが、日本には注目すべき新技術が続々と生まれてきており、これらを活用することによって、限りない可能性が広がってくるのは間違いありません。しかし、これらの新技術については、あまり知られていないため、これから何回かにわたって紹介していきたいと思います。
  最初に取り上げたいのはiPS細胞です。すべての生き物は、色々な細胞で構成されていますが、元をただすと1つの細胞です。例えば人間は約60兆個の細胞からできていますが、細胞がどんどん分かれていって、多くの細かい細胞が手や足、頭、目、心臓、肝臓などの臓器を作り出し、次第に人の形になっていきます。言い換えると、赤ん坊になる前は、色々なものになる可能性をもった細胞のかたまりということができます。そこで、皮膚の細胞を取り出して、その細胞がまだ色々なものになる可能性があった時のような状態にもどすことのできる遺伝子を見つければ、色々な細胞を作り出すことができるということになります。これは時計の針を戻すという全く逆転の発想ですが、これまでは受精卵が細胞になってしまうと、時間と同様、元には戻せないと考えられていました。
  しかし、5年前に京都大の山中伸弥教授がその常識を覆し、あらゆる種類の細胞になる能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成に成功し米科学誌「セル」に発表したのです。山中教授はまず、マウスを使った実験で、マウスのしっぽの皮膚の細胞を、4種類の遺伝子を加えてiPS細胞に成長させ、色々なものになる可能性を持った細胞に変化させることに成功しました。そして、その細胞をマウスの体に入れて成長させることにより、神経や消化管組織、やわらかい骨が入り混じったかたまりに変化することを確認しました。次いで、人間の皮膚からもマウスのものと同じような細胞を作り出すことに成功したのです。
  この技術が実用化されると、これまで困難であると思われていた再生治療が可能になります。但し、現時点ではこれらの細胞はガン化する可能性が高いため、世界各国の研究者が競って研究を進めています。先日の新聞には、山中教授が実用化に向けての新たな解決策を発見したとの記事が紹介されていました。医学の進歩というのは本当に凄いと感じると共にこの技術の実用化に向けて多くの研究がなされることを期待しています。

2011年11月07日

PTA文化教養委員会主催 講演会の開催

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  11月7日(月)、PTA文化教養委員会主催の秋の講演会を開催しました。この催しは毎年、この時期に学園PTA協議会、両幼稚園と小学校の教養委員会の共催で実施してきており、今年の講師は人間性脳科学研究所所長の澤口俊之氏です。同氏は北海道大学理学部生物学科を卒業された後、京都大学大学院の博士課程を修了され、京都大学、北海道大学で勤務され、本年9月からは武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部教授に就任、現在多くのテレビ番組にも出演されています。
  講演のテーマは『子どもの脳をいかに育むか~人間性知能HQを中心として』です。HQというのはHumanity Quotientの略です。
  アメリカの学校教育の指導理念としては、言語、空間、論理数字、音楽、絵画、身体運動、記憶(知識・経験)があり、それぞれの教科の学習を通じて、大脳のそれぞれの部分(複数知能)を鍛えるということが基本になっています。しかし、人間の大脳には15%を占める空白部分があります。これが前頭前野と言われるところで、学校教育ではほとんど無視されていますが、動物の中で人間だけが極端に発達しており、主体性・独創性、好奇心・探究心、やる気・集中力等の未来志向的行動力をつかさどっています。また、理性や思いやり、協調性、高度な言語といった社会関係力とも深い繋がりがあることがわかっています。つまり、社会性(自我)や感情(人格)といった人間らしさの源泉であり、あらゆる知能を統括する実に重要な部分なのです。
  今、社会で問題になっているのはHQの低い若者の増加であり、同氏の研究では一流大学を出て一流企業に就職しても1年以内に30~40%の人間が退職して、ニート化するとのことです。また、HQの高い人は概して高度な職に就き、人生においても成功して幸福になっているようです。
  更に、HQは学力や学習習慣とも深くかかわっており、HQが高い人ほどIQ(知能指数)が高いという相関関係があるようです。脳の成長は8歳で95%に達するため、幼児教育が極めて重要であるとのことですが、10代のIQは数年で大きく変化するとも言われています。
  これからの激動の時代を乗り切るためには、人間として最も重要な知能であるHQ(人間性知能)を鍛えることが必要です。本日の講演をお聴きして、社会で役立つためには〝人間としての根っ子〟を育てることが大切であるということを再確認しました。
  大変な過密スケジュールの中、ご講演いただきました澤口先生に心よりお礼を申し上げます。
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2011年11月06日

第3回中学入試説明会の開催

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   《マンドリン部による演奏 》  

  11月6日(日)、本校の高校校舎を使って「五ツ木・駸々堂の模擬テスト」が実施され、早朝から多くの生徒と保護者が一緒に来校されました。 
  このテストと並行して、10時半から本年第3回目で最終となる中学校の入試説明会を開催しました。日曜日ということもあって540組・726名の方が参加され、昨年を大幅に上回る47%増という結果になりました。参加者の中には、これまで本校の説明会や校外での相談会等に何度も足を運んでいただいている保護者も数多くおられました。心より感謝申し上げると共に是非入試の関門を見事に突破して入学していただきたいと思っています。また、早くこられた方には講堂でお待ちいただくことになるため、開会までの時間を活用して、ギターマンドリン部による演奏をお届けしました。このように、生徒達の協力も得て入試説明会を開催することができました。
  私は冒頭の挨拶でパワーポイントを使って、次のような話をしました。
  〝子どもさんは11年後には社会人になりますが、社会で役立つ力をつけるためには、現在の世界や日本の状況を的確にとらえると共にこれからの世の中の動きをしっかりと認識しておくことが大切です。他の国の人から見ると、日本は奇跡的な経済発展を遂げ、注目されている新技術やノウハウ、日本食や文化や伝統等が数多くあり、素晴らしい国であると思われています。これから、グローバル化がますます進展し、世界の人口は増え続け、途上国が目覚ましい経済成長を遂げることになります。そして、世界が多極化することを考えると、人々のために貢献できる仕事は限りなく広がっていきます。
  現在取り組んでいる学校改革の基本の考え方は、単に進学実績を上げることではありません。創立の精神の体現であり、社会で役立つ骨太の人材育成です。言い換えると、現在本校においては人間力と学力を兼ね備えた人材の育成を目指して、さまざまな教育活動に取り組んでいます。〟
  続いて、学校生活の概要をコンパクトにまとめたDVDを見ていただいた後、教頭から現在の学校改革の取り組みや学力伸張の状況、最後に入試広報部長から本年度の入試結果と来年度の募集の留意点について説明を行ないました。
  説明会は12時少し前に終了しましたが、その後、多くの人から個別の質問をお受けしました。また一方で、希望される皆さんに校舎見学をしていただきました。新校舎を見学された参加者からは口々に〝素晴らしい校舎ですね。掃除が行き届いていますね。こういう施設で勉強できる子ども達は幸せですね。〟といった感想をいただきました。
  これで、本年度の中学校入試説明会はすべて終了しましたが、本校ではこれからも個別の進学相談や学校見学にはいつでも応じていますので、ご一報いただき気軽にご来校ください。また、ホームページを通じて学校の教育活動の様子をお知らせしていますので、是非ご覧下さい。

2011年11月05日

中1・高1 学年懇談会

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      < 中1 講堂 >         < 高1 社会科教室 >

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                < 高1 文化館視聴覚室 >
 
  本校では先週から土曜日を利用して、学年毎に保護者懇談会を開催しています。11月5日(土)、午後1時半から講堂で中学1年の保護者懇談会、3時から文化館視聴覚室で高校1年選抜特進・一貫選抜コースの保護者懇談会が開催され、それぞれ冒頭の挨拶を行ないました。
  各学年の現状については、随時把握するようにしていますが、それぞれ課題が異なっています。そのため、よりきめ細かい内容をお伝えしていくことが必要であるという考え方に立って、高校についてはコース別開催にしています。本日の午後には、高校1年の特進コース、高校2年の選抜特進コースの懇談会も開催されました。
  私はできる限り、保護者の皆さんと懇談の場を持ちたいと思っていますが、すべての懇談会に出席することができないため、本日は教頭と分担して出席することになりました。
  中学1年では入学後7ヶ月が経過した現在の印象として、クラスとしてのまとまりも出てきており概ね元気で学校生活を楽しんでいること、挨拶や頭髪、服装等は個人差はあるものの良好であること、一方で落ち着きという点では今一歩であり、学力面では次第に個人差が拡大しつつあること等をお話しました。そして、次第に要領だけではこなせない段階に入ってきているため、生活習慣・学習習慣を身につけることが何よりも大切であり、家庭においてもしっかりと指導して欲しいということを伝えました。
  高校1年生では、大学進学に向けて文理選択の時期になっているが、大学進学が最終目的ではないこと、将来どういう分野に進みたいかをしっかりと考えた上で学部(学科)・大学を選択すること、絶対に目標を切り下げないこと、本年より国公立大学対応型のカリキュラムに切り替えていること、学校改革も第二ステージに入っていること等を話しました。
  また、2つの学年に共通する内容として、これからの社会が大きく変わり、新しい仕事や仕組みやシステムが生まれ、世界で活躍する場が広がってくること、社会で役立つ力のベースは中学や高校時代に養成されることをお伝えしました。
  家庭と学校とが連携して子ども達を育てていくという『共育』、すべての者が学習していくという『共学』が何よりも大切であると思っています。生徒達が逞しく成長してくれることを心より願っています。

2011年11月04日

読書のすすめ~日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか

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  東日本大震災後の被災者の立ち振る舞いを見て世界中から賞賛の声が寄せられました。海外に行って外から日本を見ると、日本という国は本当に素晴らしいと感じる人も多いと思います。また、世界の人達からもこれまで日本は高く評価されてきています。しかし、今の日本では残念なことに、あまりにも日本人としての誇りを持たず、国の将来についても悲観的な考え方をしている人が増えてきているようです。
  このような中で、世界の人達が日本のことをどのように見ているのかを解りやすく紹介しているのが『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』ー竹田恒泰著ーです。
  本書の冒頭には、平成18年(2006年)、英国のBBC放送が33カ国で約4万人を対象に行なった世論調査の結果が取り上げられています。これによると、最も高く評価されたのが日本であり、実に33カ国中31の国で、肯定が否定を上回り、うち20カ国で肯定が50%を上回っています。そして、全体では肯定が実に55%(否定は18%)を占めています。否定が肯定を上回ったのは中国と韓国の2カ国、逆に日本を最も高く評価したのはインドネシア(85%)、次いでフィリピン(79%)となっています。そして、日本のイメージとしては「自然の美しい国」「経済力・技術力の高い国」「きまりを守る国」「豊かな伝統と文化を持つ国」等が上げられています。
  また、平成21年に世界最大級のオンライン旅行会社のエクスペディアが、世界のホテルマネージャーに対して、各国観光客の国別の評判を調査した結果においても、ベストツーリストに選ばれたのは日本人で3年連続であったとのことです。
  この本では、続いて、「頂きます」「匠(たくみ)」「勿体ない」「和み(なごみ)」等のテーマで世界に誇れる日本の文化や伝統の叙述がなされています。我々は日常生活において、数々の問題点を指摘し、批判を続け、不平不満を口にしていますが、今一度、足元をしっかりと見つめることによって、日本の良さを認識しておきたいものです。

2011年11月03日

読書のすすめ~わが子に語りたい日本人の物語~

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  今、日本はまさに正念場を迎えています。世界各国の競争力のランクを見ても、日本は1989年~1903年の5年間はトップでした。その後、゛`94年(3位)、‘95年(4位)、‘96(4位)、‘97(9位)となり、‘98年以降はベストテンにも入れず、ついに2010年には27位ということになりました。更に、本年3月には大震災とこれに伴う原発事故に見舞われました。現在、総力を結集して復興に向けての取り組みを行なっていますが、恐らく来年以降は更にランクは低下することが予想されます。
  しかし、第二次世界大戦後の悲惨な状況の中から、日本は世界中から〝奇跡〟と言われる経済復興を遂げたのです。この原動力になったのは取りも直さず、われわれ日本人の中に脈々と流れる素晴らしい精神力ではないかと思います。従って、大震災以降は意識して日本の伝統や日本人の心といった内容の書物を紐解くことにしています。その中で、最近私が感銘を受けた本を何冊か紹介します。
  まず、最初に取り上げるのは『別冊 正論』~幕末維新、大戦、大震災…苦難の中で光り輝く 《わが子に語りたい 知られざる 日本人の物語》ー産経新聞社発行ーです。
  この本の冒頭には〝苦難を乗り越える力は歴史の中にある〟ということで、今こそ、どんな時代、どんな立場にあっても、それぞれの本分や人を尽くした日本人の物語を胸に刻みたい・・・と記されています。そして、歴史上のさまざまな出来事や人物が24人の著者によって紹介されています。恥ずかしい話ですが、この中で私が知っているのは約半数しかなく、わが子に語るより前に自分自身が、もっと勉強しなければならないと感じました。
  これからグローバル化がますます進展することになり、異なる価値観や文化、宗教を持つ人達との交流が増えてきますが、真の国際人とは日本や日本人について誇りを持って語ることができる人であると思っています。今は読書週間です。是非、暇を見つけて、本書を読んでいただきたいものです。   

2011年11月02日

中学校全校朝礼~智恵が凝縮されたコンビニ経営

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  11月2日(水)、校庭で中学校の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。
 〝今の世の中を見ていると、うまくいっている所とそうでない所の格差が大きくなってきています。これは会社でも病院でもお店でも同じです。私は随分前から、さまざまな会社の経営については色々と調べてきました。この中には、皆さんに馴染みのない会社もありますので、前回に続いて身近なコンビニの話をします。実はコンビニの経営には多くの人の知恵が集まっているのです。皆さんがいつも利用しているコンビニを思い浮かべてください。
◆入口は大体向って店の左側にある店が多いようです。
◆そして、店に入ると右側に雑誌コーナーがあリ、その奥には飲み物、次いで デザート、弁当・サンドウィチのコーナーがあり、壁面に買いやすいものを配置する等商品展示に工夫がされています。
◆この理由は 店がはやっているように見せるのと一旦店に入って雑誌コーナーに向うと引き返せないという人間の習性を利用しており、店を一周させることによって、買う予定のなかったものまでついでに購入させるようになっています。
◆独自の(オリジナル商品)戦略として、おにぎり・弁当の材料にはとことんこだわり、厳選すると共に御節料理・丸かじりの太巻き・バレンタインチョコレート、おでん、から揚げ等の新機軸の商品を取り扱うようになってきています。
◆店の経営で大切なことは欠品をなくし、売れ残りを少なくすることです。何時どういうものが売れるかを把握するため、レジには性別、年齢別のボタンがついています。このデータを集計し、店にフィードバックすることによって発注ロスを少なくする工夫がとり入れられています。(POSシステムの活用)
◆この他にも宅急便、公共料金の振り込み、コピーサービス、銀行ATMの設置等のサービスを次々に導入してきています。
◆そして、最近は新たな需要を求めて海外展開をはかると共に買い物弱者である高齢者や被災地対応としての移動販売や宅配サービスに相次いで参入しています。
  
  皆さんは、日常あまり色々なことに関心を持たずに生活していますが、社会で活躍するためには、基礎的な学力と課題を発見して解決していく力の2つが必要です。これからは、どのようなことにも疑問を持ち、気づくようになって欲しいと思っています。〟

  このようにコンビニは、年中無休、長時間営業、日用品の定価販売、フランチャイズ制の導入などスーパー等との差別化をはかりつつ、常に新たなものを取り入れてきています。さまざまな業界や企業の経営を知ることは、学校経営にとっても大いに役立つことになります。これからの経営においては、世の中のトレンドをしっかり押さえて、他との差別化をはかっていくことが何よりも大切であると思っています。

2011年11月01日

読書の秋を迎えて

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  月日の経つのは早いもので、すっかり秋も深まり、本日から11月に入りました。秋は一年の内で最も過ごしやすい季節であり、「食欲の秋」「スポーツの秋」と並んで「読書の秋」と言われています。
  昨今、日本では活字離れが顕著になってきており、先日のY新聞の読書に関する全国世論調査結果を見ても、1ヶ月間に本を1冊も読まなかった人は2009年の調査以来3年連続で50%台となったようです。読書以外の娯楽が溢れていることも一因であると思いますが、この傾向は決して満足すべきものではありません。
  ところで、11月3日(文化の日)を挟んだ2週間(10月27日~11月9日)は『読書週間』ということになっています。この運動が始まったのは、日本が第2次世界大戦で敗戦した後の昭和22年です。現在、この運動を主催しているのは「社団法人 読書推進運動協議会」で毎年、世相を反映した標語を決めています。
  参考までに、第1回の標語は 《楽しく読んで明るく生きよう》 でした。当時、敗戦後の辛く厳しい状況から立ち直るために、本の力を借りてきたのです。そして、東日本大震災のあった今年の標語は 《信じよう、本の力》 であり、これにも復興の願いや思いが込められているように感じます。
  これまで日本は国民一人ひとりの不屈の意志を結集して困難を克服してきました。現在、日本は第二の戦後と言われるくらい厳しい状況にありますが、日本の良き伝統や文化、先人達の生き様を胸に刻み込み、後の世代に伝えていかなければならないと思っています。
  私もこの読書週間に、日本や日本人に関する本を集中して読んでいますが、心に残る内容のものが数多くありますので、順次、これらを紹介していきたいと考えています。