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感性は感動から、PTA文化講演会

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 9月17日(土)、PTA主催の文化講演会が開催されました。講師は現在、兵庫県立美術館長をされている 蓑 豊 さんでした。「先生」とお呼びするのがいいのでしょうが「さん」がぴったしの大変気さくな方でした。我々教育に携わる者にとっても有意義な話をいくつもしていただきました。

 兵庫県立美術館長の前は「金沢21世紀美術館」の初代館長を引き受けられました。同館は毎年150万人もの来館者があるそうです。人口45万人の金沢市の3倍以上ですからすごいことです。美術館の開設のとき蓑さんは、市から「目玉になるような、モネ、ルノワール、誰もが知っている作品を1点買え、お金はいくらでも出す」と言われたそうです。しかし蓑さんはそうしませんでした。大反対を押し切り、有名絵画を買う代わりに、金沢の子供たち全員を美術館に招待したのです。全員招待するのに3か月もかかりました。

 蓑さんはそれが今の来館者150万人につながったと言います。子供たちのリピートがなければこの来館者数は考えられないのです。そしてふつうは親が子供を美術館に連れていきますが、金沢では子供が親を美術館に連れていく、と半ば冗談交じりにお話でした。蓑さんの行われたことはまさに子供の心に火をつけました。子供のころ覚えた感動は一生忘れません。私自身、田舎で育ちましたが美術の先生がバスで遠く美術展に連れていってくれました。その時の感動というか驚きは今でもよく覚えています。

 スポーツでもなんでも努力すれば一定の水準には到達できます。しかしその上にいけるかは感性だと思います。美術館では「本物」にたくさん触れられ、感性を高める。そこで得た感動は、医者になるにせよ、ビジネスマンになるにせよ、どの世界でも必ず役立ちます。このようなこともお話でした。

 蓑さんはアメリカ、カナダで30年余り生活されていましたが、教育についても興味ある話がありました。自身のお子様のことを振り返りながら、アメリカでは勉強ができるだけでは絶対に入学できない。大切なことはスポーツ競技の経験があって、それも勝つことではなく成長していること、もう一つはボランティア活動の経験があることだと。日本の入試制度も大きく変わっていくだろうと予測されていました。

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 日曜日(9月18日)は中学校の今年2回目のオープンスクールでした。残念ながら朝から雨が降りましたがそれでも昨年以上の保護者、小学生がお見えになりました。有り難いことです。初めて参加の方が多いと思いますが2回目という方もいらっしゃいます。中には声をかけていただく方もいらっしゃいました。説明会の冒頭私は次の話をしました。「宝塚音楽学校を作った小林一三は、『学校の教育方針として、女優を作るという考えは少しもなく、ただ一人前の女性を作りたいとばかり考えている』と語っていますが、雲雀丘学園も受験生を作るのではなく人間力ある生徒を育てたいと思う」。しかしこのことが現在できているかと問えば否で、目指すところです。