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2016年10月29日

靴をそろえる大切さ

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過日、雲雀丘学園高等学校のオープンスクールが開催されました。そこで少しいい話に出会いましたので紹介したいと思います。オープンスクールは記念講堂での説明会から始まりましたが大変多くに方がお見えになり、講堂の後ろにいすを用意するほどでした。そのあと学園内で各セクションに分かれて教育相談、校内の案内、体験授業、体験クラブ活動などがあります。

大勢の方のお越しで、十分な対応ができていないと思われたので、私はお客様に「何かお伺いすることはございませんか」とお尋ねしておりました。場所は高校棟の玄関でした。たまたまお帰りになるところのご夫妻に声をおかけしたところ、話がはずみ学園の色々なことでしばらくの談笑となりました。ちょうどその時、野球部の二人が急ぎ足で玄関にやってきました。一人の生徒が右目にイレギュラーのボールを受け保健室に行くとのことです。

ご夫妻との話は中断しましたが、続く言葉は奥様からでした。「雲雀丘学園は素晴らしい教育をされていますね」そした「二人の靴はちゃんとそろえられています。それも出口の方に向いています。急いでいるのに立派です」と。私も気が付きませんでした。有難いお言葉ですが全員ができるわけではありませんと申し上げました。

日経の夕刊「心の玉手箱」(2016.9.13)に出ていました。いささか話は古くなりますが、「潮来笠」や「いつでも夢を」の曲で知られる橋幸夫のデヴュー前の話です。ある事情で作曲家の遠藤実と一緒に作曲家吉田正の自宅に、弟子にしてもらえるようお願いに行きました。あっけなく橋幸夫は合格、歌ったわけではありません。遠藤がわけを尋ねると、吉田は「橋君は玄関で遠藤さんと自分の靴をそろえて置いた」と。高校生だがなかなか礼儀をわきまえていると大作曲家吉田正は見ていたのです。

説明会では「雲雀丘学園は人間力ある生徒を育てたい」と申し上げました。口では言えますが、実は大変な目標で簡単に達成できるものではありません。まず我々教職員が人間力を高めていかねばなりません。人間力はたやすく登れる頂上とは思いませんが一歩一歩着実に、小さなことから一つひとつ積み上げていきたいと思います。

2016年10月28日

和気あいあいのPTA研修旅行

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昨日10月26日(水)は中高PTA・丘友会の研修バスツアーがありました。今年のテーマは「正倉院展とならまち散策と奈良ホテルでの昼食」です。123名の参加がありました。正倉院展は話題の「漆胡瓶」が展示されており、平日にもかかわらず長い行列ができていました。「ならまち」では、世界遺産の日本最古の寺「元興寺」で、飛鳥時代の日本最初の瓦を見ました。奈良ホテルでの昼食は、ホテルのご好意で雲雀丘学園のための特別メニューが提供され、格式と伝統のホテルでおいしく頂戴しました。

研修・バスツアーも今年で38回を数えますが、毎回大勢の参加があり、皆さん和気あいあいとツアーを楽しんでおられます。また、すでにお子様が卒業された方々(丘友会)も参加されるなど、いかにも雲雀丘学園らしいPTA活動に、楽しくまたうれしい気持ちになります。昼食時には多くの保護者とお話をさせていただきました。すべての方とお話しする時間はありませんでしたが、いつもとはちょっと違った気楽な雰囲気でお子様の話ができてよかったと思います。生徒の成長にはPTAと学校の協力が欠かせません。言わば車の両輪、保護者と先生方がこうした催しからもコミニュケーションを深めればと思っています。

今日明日と2日間、高校3年生を対象とした「全統模試」が校内で行われています。この成績で来年度の進学先を絞り込んでいく大事な試験です。センター試験まであと2か月半、いよいよ胸突き八丁にさしかかります。ご家族の皆様にもしばらくは気が休まらない時期となりますが、車の両輪でこの難関を乗り切りたいと思います。(2016.10.26)

2016年10月21日

学園の躍進に歓声、学園東京支部同窓会に出席

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数日前ですが記念講堂の隣で、金木犀の甘い香りをやっと感じることができました。昨年の校長通信では10月6日に金木犀のことを記しています。今年は開花が10日ほど遅くなったようです。

先週の土曜日、10月15日に雲雀丘学園同窓会(告天子の会)東京支部の総会が東京一ツ橋の如水会館で開催されました。3年に1度の開催、今年で10回目を数えます。90名余りの卒業生が出席され、退職された恩師も4人がお見えになりました。80歳を超えられた先生もおられ、いまだ張りのある大きな声で挨拶されることをうれしく思いました。学園草創期の何もないころですべて手作り、苦労したがそれが大変楽しかったことを話されました。また当時みんなで合唱した「初恋」という歌を、実につやのある声で朗々とお歌いになるのには出席者全員が、大きな拍手を寄せていました。

私は学園の現況をお伝えしました。小学校、中高の様子をスライドを使って説明しました。体育大会、文化祭、授業風景、卒業式など学園の様子、そして大きな変化に皆さんが食い入るようにご覧になっていました。強調したわけではないのですが、昨今の進学実績が画面に出た時には大きな歓声と拍手が沸き上がりました。これにはこちらが驚きでした。直前に発売された週刊「東洋経済」に雲雀丘学園の名が出ていますがそれをかざされる方もおられました。東京にあっても、母校を思っていただいているのだの感を強くしました。心強くうれしい限りです。

「諸先輩に作っていただいた、大らかで伸び伸びとした良き校風はぜひ守り育てたい、生徒には人間力を求める」の言葉で締めくくりましたが、多くの方から講演やクラブ活動への支援の話をいただき、ありがたいことだと思っています。私の高校の母校も年一回の支部同窓会が東京でありますが、雲雀丘学園は年齢層も幅広く女性の参加者が多い大変華やかなものでした。なお今回で支部長が松野様から星野様にお代りになりました。

2016年10月13日

「ありがとう 親孝行の料理一品」

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先週土曜日、10月8日は忙しい1日となりました。雲雀丘幼稚園と中山台幼稚園の運動会があります。重なっています。私は学園の常務理事も兼ねていますので両方の運動会を見に行きます。幸い中山台幼稚園は学園小学校のグラウンドを使いますので移動に時間はかかりません。心配されていた雨も降らず、初秋の日射しは暑いくらいでした。「伝統の雲雀丘」、そして「元気の中山台」の両幼稚園とも観客席からご家族の声援をいっぱい受け、素晴らしい演技を見せてくれました。

午後からは宝塚大学で開催された「雲雀丘100年フェスイティバル」に出席しました。雲雀丘の地が1915年に開発され今年で100年を迎えます。記念の式典、講演、コンサートなどが催されました。主催者が話された中で興味深い話がありましたので紹介します。ここ雲雀丘は長尾山麓の南側の傾斜地にあります。長尾山麓には古墳が多いことでも有名です。古墳が多いというのは、一般に地盤が強固であり一帯がパワースポットの地ともいわれるそうです。事実、阪神大震災の時は、周り地域が建物の倒壊など大きな被害があったのもかかわらず、ここ雲雀丘は極めて少なかったということでした。この雲雀丘の開発には阿部元太郎氏が当たったのですが、ここまで考えてこの地を選んだことには驚きでした。有難いことだと思っています。

さて過日の校長通信で「60ホール」の前に「親孝行の木(気)」が10本誕生したと書きました。うち4本は、生徒が料理一品を家族に提供し、ご家族から感想の言葉をいただき、木の葉に書いて木の幹に貼り付けたものです。1500枚の葉が繁り私は時々、折を見ては読みに行きます。何度見ても飽きないのです。お母さんが書かれたものが多いと思いますが、どの葉も実に正直な思いが綴られています。慣れない手つきで料理を作る子供に微笑み、作ってくれた料理に感謝し、子供の成長を歓び、子供の将来を夢見るうれしさが感情いっぱいに描かれています。

この木はしばらくの間は掲示されると思いますが、ご覧になれない方もあると思いますのでここでほんの一部ですが紹介したいと思います。

「家族みんなが好きなポテトサラダを作ってくれました。ピーラーも包丁も扱う手がぎこちなく、けがをしないかハラハラしましたが、一生懸命作ってくれて家族も大喜び、美味しかったです。私が作るより主人も妹も喜んで食べ、本人も嬉しそうでした」(中1女子保護者)

「息子が作った豚のしょうが焼きは二つの理由で最高でした。一つは、皆で競い合うほどおいしく仕上がったこと、もう一つは我々家族5人だけでなく、近くの母屋に住む祖父母にも届け喜んでもらえたことです。稲刈りや栗の収穫で忙しく疲れた祖父母の活力になりました。料理の腕前と優しい心がこれからも育ってくれますように。母より。」

「普段、あまり料理をしない娘ですが、今回は楽しそうに野菜を切ったりしていました。不器用なのでつい口出しをしたくなりましたが、「自分一人でやる!」と申しましたので、見守ることにしました。出来上がって家族みんなでおいしくいただきました。「親孝行の日だけでなくこれからは時々、ご飯を作ってね。」と言ったら、「うん!」と言ってくれました。今日食べたビーフシチュウーの味は忘れられないと思います。(高1女子保護者)

「親孝行の日」に向けて、「何か作ってくれるの?」と聞いてみると「卵焼き作るわ!!」と言って、ササッと菜ばしを取り、素晴らしい手際の良さに驚かされました。母と息子、並んで台所に立つ機会がなくなり、久しぶりの親子クッキングでした。あっという間に作ってくれた卵焼き、卵焼きをお皿に移すとき、まさかの落下。キッチンマットの上に着地するハプニング。また、これも笑いが出て、楽しくそして、美味しくいただきました。(高2保護者)

さて、保護者の皆様に感想を書いて提出をお願いした数日後だと思いますが、学園で何かの会合があった時と思います。数名で歩いておられたお母さま方から「校長先生、感想文の宿題をいただきありがとうございます。大変ですょ」とご忠告を受けました。もちろん笑顔でしたが。「そうかなあ、大変なのかなあ」と案じていましたが、ほとんどの方から感想をいただきました。有難いことです。うれしい限りです。

ご家庭では1500通りの「料理一品」ドラマがありました。家族のふれあいがありました。あらためて保護者の皆様にお礼を申し上げます。また一生懸命料理一品を作った生徒も誉めたいと思います。良くやった。あっぱれ!

この大切な感想文をどのようにしようか家庭科の先生方と検討中です。どの感想も素晴らしい心のこもったものです。珠玉です。何か形にして残しておきたいと考えています。
親孝行・・・。雲雀丘学園は親子、ご家族のコミニュケーションを通して人間性豊かな生徒を育てていきたいと思います。

2016年10月05日

H28.10.5 ヘルバルト高校来校

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ドイツ北西部、オルデンブルグ市からヘルバルト校の生徒15名と引率の先生2名が一昨日から3日間の予定で来校されています。この学校との交流は1995年から始まり、以前は相互に訪問しておりましたが近年は本校からの訪問は休んでおり、ヘルバルト校からの2年に1度の訪問となっています。ヘルバルト校の高校生は本校の授業を生徒と一緒に受け、クラブ活動にも参加します。また近くの企業にも見学する予定です。夜は本校生宅にホームステイして24時間の日本の学校生活を送ることになります。

一昨日は私と1時間ほど「日本とドイツ」について意見交換をしました。私は明治以降ドイツから学んだことが多かったことを話しました。私自身、大学は経済学部でしたが、経済学ではゼミでドイツ語も全く分からないいまま、マルクスの「資本論」の原書を読んで勉強したこと、寮歌を歌う時、始まりの号令は「1、2, 3」と言わず、「アインス、ツヴァイ、ドライ」と言ったこと、つい最近まで病院のカルテはドイツ語で書かれていたことなどを話しました。

授業を行っている最中にいくつか日本の生徒が学ばなければならない、と思うことがありました。私は生徒15人を前にして話していたのですが、全員が笑顔で私の顔を見つめ、話に反応しながらうなづくことです。ブロークンの英語の私ですから通訳をしてもらいますが、わかりにくいところもあったと思います。それでも人の話を聞く姿勢は大変気持ちの良いものでした。

いくつか質問をしました。「最近少し支持率を落としているメルケル首相をどう思うか」「イギリスのEU脱退をどう思うか」「ドイツの原子力政策について」などです。最後の質問にはフランスからは原子力で作った電力を買うことになるが、の意味合いも少し入れてみました。質問をするとほとんど全員がすぐに手を挙げ、指名されると堂々と自分の意見を述べます。一人が答え始めると、すぐに数人が自分とは意見が異なるようで、手を挙げ、発言を求めてきます。その熱意と反応には驚きでした。

いくつか質問も受けました。南シナ海や尖閣問題、「金正恩をどう思うか」の質問もありました。また「どうして日本は難民を受け入れないのか」の厳しい指摘もありました。ドイツは多くの難民を受け入れていますが、今回の生徒たちの中にクルド人の生徒もいて、以前に難民としてドイツの来たとのことでした。

本学園の生徒とのコミニュケーションも日を追うどころか時間の経過とともに進んでいます。体育の授業ではバレーボールの練習に加わりました。バレーボールの授業はドイツにはないようです。大人と違ってすぐに友達になれるのかコートのあちこちで楽しそうに話しています。交流は心を通わすことですが、一方では相手との違いを知ることでもあります。異なる存在を認め合うことです。こうした機会を通して生徒たちが広く海外に目を向け、挑戦の気概を持ってほしいと願っています。

余談になりますが、私との時間の中で手を挙げることが何度もありましたが、すべて手のひらは人差し指のみが立てられていました。テレビでこの話を以前聞いたことはありますが、初めての体験でした。こんなことも生徒には考えてもらったならばと思います

2016年10月01日

H28.10.1 創立記念日訓示「雲雀丘学園の誇りと自覚を胸に歩もう」

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本日10月1日は、雲雀丘学園の66回目の創立記念日です。昭和25年、1950年に創立されました。中学校は3年後の昭和28年、高校は更に3年後の昭和31年に開校しました。

雲雀丘学園は地元の方々がこの地に、自分たちの学校を作ろう、社会の貢献できる人間を育てようと資金を出し合い、土地を提供して、そしてみんなで汗を流して創りあげました。言わば熱意と希望の学校です。以来66年間、雲雀丘という恵まれた環境のもと、大らかで伸び伸びとした生徒たち、よい校風の学園として発展してまいりました。卒業生は現在中学校で8,037名、高校で10,249名をかぞえ、日本そして世界を舞台に活躍しています。

建学の精神は創立者の一人、鳥井信治郎が唱えた「孝道」(親孝行な人はどんなことでも立派にできます)です。創立記念日は中高では昨年から「親孝行の日」とし、今年は「60ホール」の前には「親孝行の木(気)」が、たくさんの親孝行の葉を繁らせ、大きな木に成長しました。

私たち在校生・教職員は雲雀丘学園の良き歴史と伝統を受け継ぎ、大きく変遷する現代社会において挑戦の気持ちを忘れず、更なる成長・発展を目指さなければなりません。

創立記念日の今日、私たちは、雲雀丘学園中高の生徒としての誇りと自覚を胸に、新たな歩みを進めようではありませんか。