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「前途、洋々たれ!」

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~
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「雲雀丘学園の岡村校長先生ですね」と声をかけられたのは思いがけない場所でした。先週の日曜日、甲子園球場、阪神広島戦も中盤にさしかかり、今日も阪神は負けるのかという雰囲気が球場に漂い始めた頃でした。声の主は球場のスタンドの「売り子」さん(正式には立ち売りスタッフ)でした。

「どうして私を?」「雲雀丘学園の卒業生です」。
私が校長をしていたのは2年間でした。よく覚えていてくれたものです。声をかけてくれたものです。うれしくなって飲料やおつまみをたくさん買いました。
名前はFさん。今は外国語大学で英語の勉強をしているそうです。見るからに健康的、はつらつ、笑顔。一緒に観戦していた友人が「感じがいい、きれいだ、可愛い」を連発し何度も呼んでは注文するので周りも驚くほどの杯数となりました。

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私がサントリーにいたころ、東京ドームが大切なお取引先でしたので「売り子」さんのことも少しはわかるのですが、この仕事、なかなかの激務なのです。ビールの樽で販売するので20キロ近くを背負うことになります。そして急こう配のスタジアムを何度も昇り降りします。給料はほとんどが歩合で、「売り子」一人当たりの1日平均販売杯数は100杯ぐらいですが多い人になると300杯ぐらい売る人もいます。たくさん売るには驚くような秘密があります。

一樽を売り切ると1階にあるバックヤードの基地に駆け戻り、新しい樽を背負いなおしてただちに観客席に戻ります。東京ドームだとビールの4社が毎日の売り上げを競い合っているのでスタンドはまさに戦場の様相です。

「売り子」さんはここでの仕事を通していろいろなことを学びます。人間学、心理学、判断力、そして何よりも根性。人に好かれるコツのようなものも身につくのではないでしょうか。そんなわけで就職試験にも強いようです。「売り子」さんの中にはファンクラブができる人、やめるときにはお客様から花束のプレゼントをもらう人もいるとのことです。

声をかけてきてくれたFさん。あなたの前途、洋々たれ!と祈っています。

(2018.6.26)