« 2012年11月 | メイン | 2013年01月 »

2012年12月21日

冬休みは閉室です

 冬休み中は閉室しています  

       closed1.jpg


 冬休みがスタートしました。休み中は、棚おろし作業や書架の本の移動作業等のため図書室は閉室です。休み中に本を返却する人は、出入り口横のブックポストへ入れてください
 たっぷり8冊抱えて帰った人もいました。休み明けには「おもしろかった~!」という元気な声が聞けるのを楽しみにしています

2012年12月20日

図書室で授業中

 今週は、中2A、B、C組の社会科の授業が図書室で行われました

 中学生には普段あまりなじみのない『新書』を手に取る授業です。自分の勉強したい分野や興味を持った書名から、1冊選びます。まずは著者の情報や目次をチェック、本文の中からおもしろいと思った部分、興味を持った部分を抜粋、書き写し、最後に選んだ理由などをコメントするという流れ

J2shakai7.jpg J2shakai2.jpg 
 いっせいに選び始め、15分後にはコツコツというペンの音だけしか聞こえません  

J2shakai3.jpg  
  岩波書店発行の岩波新書
  通称 “岩波の赤” と言われるもの
  (表紙の色です。黄色や緑もあります)

  がんと人間/杉村隆 他
  を選んでいました
  どんな文章に、目が留まるかな


 
 今回いう『新書』とは出版形態のことです。新書版という大きさの名称があるように18㎝ほどのサイズで、各出版社がそれぞれ出しています
同じくコンパクトサイズ(15㎝ほど)の『文庫』が、当初、古典作品などを手軽に読めるようにと出版されたのに対して(現在は変わってきていますが)  『新書』は出版される時点に即した知識の解説や評論。その分野の識者や研究者、評論家による書下ろしの作品です
 どちらも最初に出版したのは岩波書店という出版社。と、授業の導入部分を聞いて一番「へえ・・」と思っていたのは、勉強不足の私かと思います・・・


J2shakai0.jpg 
 原稿は、さっそくクラス前の廊下に
 貼り出されました

 普段の会話に出てこないけれど
 こんなことに興味があるんだ
 こういうことが面白いと思うんだ
 と思いながら見てみては?


 友達が書いたものを読んで、その新書を読みたくなる人がいるかもしれません
授業中に選んだ本をじっくり読もうと、さっそくかりていった人もいました。皆、存在を知らなかっただけで、これが『新書』へのきっかけになったかもしれませんね

 「これで書きあがったみんなのプリントを読ませてもらったら、僕がそれだけの新書を読んだってことになるな」 最後に先生はずっこいことを言ってました
 


2012年12月18日

思考の整理学

 2009年に東大、京大それぞれの大学内にある書店で一番売れた本が 思考の整理学/外山滋比古(筑摩書房) だからといって難解な内容ではありません

        nobelprize0.jpg

 25年以上前に出版された本ですが、ある書店員さんの書いた「もっと若い時に読んでいれば」という書き出しのPOPも話題になり、たくさんの人たちが手に取ったようです。物事を考える時、思いついた考えやアイデアをどんな風に、扱えばいいかのヒントがたくさん書かれています

 例えば、書くときは黙って書いて読み返すときは音読する。声は目だけで見つけることのできない文章の穴を発見するから
 感情的になって書いた夜の手紙は、朝読むとギョッとすることがある。朝と夜とでは、同じ人間でありながら人が違っている。勉強も同じで、前日の夜ちっとも解けなかった問題が、翌朝するする解けることもある
 「あとで~する」の「あとで」は、やってこない。忘れるわけではなく覚えているんだけれど、やってこない。なので、やらなければいけない事(思考ではなく、記事のスクラップなどの作業)は思いついた時にやってしまった方がいい
 授業中についつい脱線してしった先生の話、本来の目的からそれてしまっていても、その授業とは直接関係がない別の新しい何かを発見するかもしれない(先生も生徒も) それも、立派なセレンディピティである
 
 などなど。他にも具体的なメモの取り方も書かれています。中学生にはちょっと難しいかもしれませんが、これから論文やレポートを書く機会の増える高校生、大学生にはお勧めだと思います

 最後にセレンディピティのおもしろい由来。古いイギリスの童話「セイロンの三王子」からきています。この三王子、よく物を失くして探し物をするのですが、狙うものはいっこうに探し出さないのに全く予期していないものを掘り出す名人だったそうです。当時、セイロン(現・スリランカ)はセレンディップと呼ばれていて、そこからセレンディピティ(serendipity =セイロン性)という言葉がつくられ、目的としていなかった副次的に得られる研究結果の事をセレンディピティと呼ぶようになったそうです

2012年12月15日

セレンディピティを知っていますか?

 前回のブログを書くために記事を読んでいたら、偶然2人のノーベル賞受賞者が同じ言葉を発していました。それが『セレンディピティ』です
日本語でぴったり当てはまる言葉はなく 、探し求めていたものではないけれど、目的を達成する途中に偶然がきっかけですばらしい発明や発見をする能力、というような意味のことです。

 「偶然に物事を発見する能力」とはいえ、何もやらない人はセレンディピティに接する機会はありません。一生懸命、真剣に新しいものを見つけようとやっている人には顔を出すものです、2010年のノーベル化学賞受賞者・鈴木章さんは話します

 2000年のノーベル化学賞受賞者・白川秀樹さんも
「私の場合も失敗や偶然がきっかけで、目的のものよりもっと重要な発見ができた。でもいくら失敗してもその失敗の意味を見つける知性がなければ発見にはつながらない。それは化学の研究にだけ言われることではない、いろんな場面でセレンディピティはあり得るのです

ノーベル賞受賞者との対話~中高生の君たちへ /読売新聞社調査研究本部編(中央公論新社)
 白川さんや大江健三郎さん、小柴昌俊さんら5名の受賞者が学校へ出向き、中高生に向けておこなった講演会や質疑応答の様子をまとめたものです。次の世代へ向けてバトンを渡すように、進路や生き方、気持ちの持ちようなど語りかけています

          nobelprize3.jpg


 以前、東大・京大で一番多く読まれた本といわれたものの中にも『セレンディピティ』は出てきました。その本は・・・・


2012年12月13日

ノーベル賞授賞式

 今年のノーベル賞の授賞式がストックホルムで10日に行われました。先日、医学・生理学賞を受賞した山中伸弥さんも出席、授賞式や晩さん会の様子がニュースになっていました
 式典では、賞状、賞金と一緒にメダルを受け取ります(リボンはついていないのでオリンピックのように首からはかけられないそうです)
 このメダル、表はノーベルの横顔、裏はそれぞれデザインが少しずつ異なっていて、医学・生理学賞は『医学の神が病んだ乙女の渇きを癒す泉の水を器にくんでいる』デザイン。
 化学賞は『科学の女神・スキエンツィア(ラテン語で科学の意味、英語でサイエンス)が、自然の女神・ナトゥーラ(ラテン語で自然の意味、英語のネイチャー)のまとっている薄いベールのすきまから様子を知ろうと覗き込んでいる』デザイン。つまり、自然を良く理解することが科学の一番大切な面であることを表現しているのだそうです
 賞状の方は、一人ひとり受賞理由を象徴したデザイン。2008年にオワンクラゲの研究で受賞した下村脩さんが受け取ったのは青々とした海のデザイン「クラゲの絵がなくがっかりした」そうです
 研究内容の詳しい説明だけでなく、そのような受賞者のユニークなエピソードや人物像などを中心にあつめたのは
日本の歴代ノーベル賞/高橋繁行(アスキーメディアワークス) 
1949年の日本人初の受賞者・湯川秀樹さんから2008年まで、自然科学部門13名の受賞者の紹介

 ダイナマイトの発明者であるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って始まったノーベル賞も2010年に110年目を迎えました。キュリー夫人やアインシュタインなど世界のこれまでの受賞者やノーベル賞の科学分野の歴史を系統だてて紹介したのは ノーベル賞 110年の全記録 (ニュートンプレス)
 普段の生活に直接かかわってこない研究内容がほとんどですが、どこかの国で誰かの長年やってきたことが世界的に認められる大きな祭典ですね

nobelprize1.jpg nobelprize9.jpg
                            山中伸弥さんの著書もあります     

2012年12月11日

長期貸出、始めました

 期末考査も終わり、2学期もあと残すところ10日ほどですね
本日より冬休みの長期貸出を始めました

  返却日   1月10日 (木)
  貸出冊数   8 冊

期間中は何度でも貸出・返却ができます。どんどん利用してください!

      yelow2.jpg

2012年12月06日

校庭の銀杏は

 期末考査も折り返し。放課後、残って図書室で自習する人はちらほら。でも、たまたま本を見に来た先生を見つけて、さっそく質問する姿も見られます
(先生が図書室で本をかりる事にびっくりする中学生もいました。先生方も同じように貸出利用しているのですよ) 

 先週、掲載した窓から見える校庭の銀杏。この2,3日気温の低い日が続き、あんなにこんもりと葉をつけていたのにこんな姿に・・・


ochiba1.jpg  ochiba2.jpg

 図書室は南側が全面窓なので、お天気が良いと午後早い時間までは温室のようです。陽が落ちてくると暖房を効かせますが、あんまり暖かいと今度はぼうっとするのでほどほどに調整。これから自習利用の高3生も多いと思いますが、ひざ掛けなど自分でも調節できるものがあった方がいいかもしれません


ochiba3.jpg 

 
 北側のメタセコイヤも散リ始めました
 開放していると、廊下が落ち葉だらけに
 扉は閉めています、開閉は気を付けて!

国際ボランティアデー

 今日12月5日は、国際ボランティアデーです
世界中のあらゆるボランティアを推進するため、国連によって定められました
日本では日常的にボランティアに参加している人の割合がまだまだ少ないそうですが、東日本大震災をきっかけにだんだん増加しつつあるようです。ボランティアというと災害時の支援というイメージがありますが、もっと様々な活動があります。現地で直接かかわるのはもちろん、国際NGOなどの活動を支えるもの意義あるボランティア活動の一つです

 そうはいっても、ボランティア活動って実際どうなんだろう?私たちの善意とお金はきちんと相手に届いているんだろうか?その仕組みを考えてみようというのが
幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア/田中優(河出書房新社)
 最初は「ほめられたい」という気持ちからはじまってもいい、でも「自分の都合」だけで行うのではなく、あくまでも「相手のため」だということを忘れないでほしい。今すぐ具体的に動けなくても、意志を持ち続けていよう、中高生向けに書かれた1冊です。巻末には取り組みやすい活動ガイドとして、具体的に様々なボランティアが紹介されています(本当に様々な種類があるんです)

inter1.jpg  inter2.jpg

 もう1冊は、皆さんと同世代、兵庫県の高校生たちが経験したボランティア

高校生、災害と向き合う/諏訪清二(岩波書店)
 兵庫県立舞子高等学校には、阪神・淡路大震災以降新たな防災教育の拠点として、全国唯一の「環境防災科」があります。18名の生徒と2名の先生が、東日本大震災1か月後の石巻市へ向かったのが始まり、その後長期間にわたる活動の記録を通して災害ボランティアや防災教育の実践も紹介

2012年12月04日

2012年のベストセラー

今年もトーハンから年間ベストセラーの発表がありました
 総合で第1位になったのは 聞く力/阿川佐和子 (文藝春秋)
週刊文春という雑誌で長年にわたり(900回を超える!)対談の連載をしている阿川さんならではの、人の話を聞く極意をまとめたもの
 「事前に用意する質問は3つまで」「楽しそうに聞く」「『わかります』は禁句」などなど、これまでの経験から得た項目が続きます
 インタビューいという改まった状況の時だけでなく、「聞く」ことは誰もが日々自然に行っていること。友達の悩みを聞いたり、意見を交わしたりすることもそう。読んだ人が周囲の人達とより良い関係になるヒントがみつかればうれしい、と阿川さんは話しています

   best1.jpg         P1050292.jpg 
    ただいま貸出中    こちらもよく動いています、表紙カバーの裏にはイラストが 
     
 文芸部門で1位になったのは、舟を編む/三浦しをん(光文社)
書店員さんが一番売りたい本を選ぶコンテスト「本屋大賞」でも第1位に輝きました。ある大手出版社の辞書編集部(立派な本社ビルの裏手にひっそりたたずむ旧社屋にある地味なセクション)を舞台に、言葉オタク?の主人公馬締(まじめ)くんを中心に国語辞書を完成させるまでの物語です
 それは気の遠くなるような作業。現在は使われていない言葉(死語)、新しく生まれた言葉をどれだけ掲載するかというソフト面、さわり心地、めくり心地をふまえた究極の紙選びや表紙のデザインというハード面。時間とお金のかかる辞書の出版。だからこそ!と編集部の面々は、どこまでもこだわりを見せ奮闘するのです
 来春には松田龍平さん、宮崎あおいさんで映画化が決定しています

以下、文芸部門では
 謎解きはディナーの後で①②/東川篤哉(小学館)、 恋物語/西尾維新(講談社) 共食い/田中慎弥(集英社) ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾(角川書店) ガリレオ⑦⑧/東野圭吾(文藝春秋) 神様のカルテ③/夏川草介(小学館) と続きます。 図書室でも人気のある作品がエントリされていました
  * 詳しいランキングはトーハンHPへ

2012年12月01日

1年はあっという間?

 師走です。今年も残すところあと1か月。年末になってくると大人たちは「今年もあっという間やったねー」とよく言いますよね
 私も以前、年上の方が「お正月を迎えて、春が来たなと思ったら、その後はあっという間にまた年末だ」と話されるのを聞いて「え"っ!? それは、また・・・」と思ったことがあります。15年生きてきた1年と50年生きてきた1年をそれぞれ振り返れば、1/15と1/50。1/50の方が小さい(=短い)に決まっている、という説を聞いてなんとなく納得したり・・・。本当に大人と子どもでは時間の感覚が違ってくるのでしょうか?

    jikan.jpg

大人になると、なぜ1年が短くなるのか?/一川誠・池上彰 (宝島社)
 時間学や認知科学の研究している一川さんとテレビでおなじみの池上さんが、認知科学、文化、心理学や生理学などを踏まえて、時間について語ります
 午前中の方が午後よりも時間を速く感じること、退屈な時間はなぜ長く感じるのか、先に書いた俗説も話題に上がっています。どうやら時間感覚とは、「心理的時間」と「代謝」「イベント数」というのがキーワードのようですよ
 さて、あなたにとってこの1年は長かったですか?それともあっという間?