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2013年03月26日

新着図書紹介 8

神様からの宿題/山本育海・山本智子 (ポプラ社)

 進行性骨化性線維異形成症(FOP) 筋肉がだんだん骨に変わっていき、手足や首、身体全体が動かなくなってしまう200万人に1人といわれる難病です。その治療法はまだ見つかっていません。
 明石に住む15歳の山本育海くんは、8歳の時にこの難病だと診断されす。それ以来、走り回って遊ぶことができなくなりました。転んだりぶつかったりして筋肉に負担がかかると、骨化の進行が早まるからです
でも、総合学習の授業でFOPを取り上げ勉強したり、友人達や先生が山本君をバックアップして、学校生活を送ってきています。
 そして発病から数年、iPS細胞の研究者・山中伸弥さんと出会います。研究次第でFOPの治療薬が見つかるかもしれない。筋肉への負担を心配しながら、山本君は自らの皮膚細胞を山中さんに託します。
 進行性の難病に苦しむ山本君と自分達の1日の長さのちがいはわかっている。何年かかるかわからないけれど、研究に取り組んでいく。そう話してくれた山中さんの、昨年のノーベル賞受賞は、患者さんたちにも大きな夢と希望を与えてくれました。これまでの歩みを綴った、山本君とお母さんの手記です


「空腹」と「お腹がすく」は違うんですって!
食欲の科学/櫻井武 (講談社)
 「成功のカギはハングリー精神だ」と言われることがあります。空腹(=hungry)な時は、食べたいという欲求、食べるために努力するというモチベーションが生まれるからです。
 食欲はそもそも身体の栄養状態を維持する機能です。脳が今、自分の身体がどのくらいのエネルギーを欲しているかを計り、必要なだけ食欲を作り出すのだそうです。ちょっと厄介なのはエネルギーが必要な時だけでなく、美味しそうなものをみたり、いい匂いを嗅いだ時はもちろん、話を聞いたり文章を読んだだけで食欲がわいてくること。困りますね・・・。

 ただ体重に関しては本来、多少の変動があってもだいたい一定に保たれる性質があるそうです。それを実現するためにコントロールするのも脳。つまり体重の情報を感知するメカニズムが脳にはあるんだそうです。『脳』の立場から食欲について考えた1冊

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2013年03月23日

新着図書紹介 7

 「カワイイ」「モッタイナイ」など世界共通(世界語)と言われている日本語があります。そこに最近「ウマミ」という日本語も加わわりました
 和食の出汁に用いられる昆布やカツオ節から生まれる「umami=旨味」が、新しい味として世界の料理人の間で国際的に認められ、使われるようになったそうです


なぜ和食は世界一なのか/永山久夫(朝日新聞出版)
 そんな旨味をふんだんに使った和食は美味しいのはもちろん、見た目が美しく、健康にもいいということで世界的にも人気があります。そんな和食を世界無形文化遺産に!と提言する食文化史研究家の永山さんが多角的に和食の魅力を紹介しています。
 納豆やとろろ芋などの粘々食(ねばねばしょく)、出汁を取った後のカツオ節や昆布の佃煮や豆腐の搾りかすのおから料理など、本来の役目を果たした後の食物の再利用であるリサイクルフードは「食のもったいない」とも言えるし、ぬか漬けなどは作ることによって手まで美しくなる!など、外国人にとってはどれもサプライズなんだそうです


移民の宴/高野秀行 (講談社)
 こちらはアジアを中心に世界のあちこちを旅するノンフィクション作家の高野さんによる、突撃!隣の外国人の食卓です。
 日本に移り住んだ外国の方たちの食事ぶりをレポート。千葉にあるタイ寺院(本国にあるお寺の分院、そういうのもあるんですね・・・)でお坊さんたちの食事に加わったり、東京の中華学校(中国語に日本語を中心としたインターナショナルスクール)へ行ってお弁当を見せてもらったり、ロシア人のコミュニティへ行ってロシアン・クリスマスを楽しんだり
 日本なのに日本じゃない、そんな場所でごはんの比較文化論レポートです

2013年03月22日

しだれ桜が見ごろです

中央棟前のしだれ桜がたくさんの花をつけました!

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 今年は例年にない速さで、大阪に続き神戸でも桜の開花宣言が出ましたね。観測史上2番目の速さだそうです。下から見上げると、枝が風に揺られてとてもきれいです。明日の修了式にはぜひ、垂れ下がった枝の中に入って見上げてみてください

 今年はお花見もいつもより早めになりそうです。春休みを利用して京都や奈良へ、桜を愛でに出かけてみるのもいいですね。図書室にはガイドブックや関連本もそろっています

 季節別に関西の花の見どころを紹介した 花の旅 関西 (山と渓谷社) 
作家・森見登美彦さんが、小説にも登場する場所や学生時代のなじみの場所を案内する森見登美彦の京都ぐるぐる案内 (新潮社) やかわいいイラストで1年の行事と伝統文化や美味しいお店を紹介した京都ご案内手帖/平澤まりこ (ソニーマガジンズ)
他にも、関西の国宝めぐり  (京阪神エルマガジン社) なんと愉快な奈良の本 (京阪神エルマガジン社) などなど

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春休み前にどうぞ!

2013年03月18日

新着図書紹介 6

逃げない ~13人のプロの生き方 /小松成美 (産経新聞出版)
 時代を懸命に走っている人たちに話を聞きたかった」そんな小松さんが選んだのは、年齢もジャンルもバラバラな、横綱・白鵬、サッカーの香川真司選手、渡辺謙さん、中村勘九郎さんなど13人
 東日本大震災後に「心が折れない人たちの思いに迫まるノンフィクションを書きたい」と始めたものです
 宇宙飛行士の野口聡一さんは正式に出発が決まった時、遺書を書いたそうです
 プロデューサーの秋元康さんは「壁は無理に乗り越えなくていい、右か左に行けば低くなっていたり、途切れているかもしれない」そんなふうに発想の転換をしてきたといいます
 困難に立ち向かうとき、言い訳したり、開き直ったりせず、自分の居場所から決して逃げない。諦めずに前を向いている。そんな生き方だからこそプロフェッショナルといわれるのでしょうか


値段から世界が見える! ~日本よりこんなに安い国、高い国/柳沢有紀夫 編 (朝日新聞出版)
 イギリス:210円 イタリア:120円 ケニア:20円 インド:8円 オーストラリア:360円 韓国:78円。そして日本130円(JR) これらは、すべて電車(バス)の初乗り運賃です
 他にもアメリカ、中国、スペイン、ペルーなど20か国に長期滞在している20名の日本人が生活にかかるお金や、その国ならではのお金の使い方をレポート。共通基準としてビックマックや牛乳、トイレットペーパー1ロール等を比較しています
 たとえば、25歳以下の若者の2人に1人は失業中など深刻な社会問題を抱えるスペイン。食料自給率80%で食べるのに困らないし、仕事はほどほどでいいよ。国民性もあるのか日々の生活に退廃感は感じないと話します。イタリアやオランダなどのEU諸国はポジティブ思考な国が多い?

 たとえば、豊かとは言えない国の人々ほど見栄えを気にする「そんな豪華な結婚式!?見栄えを気にしてる場合じゃないだろう!」と思うけれど、見栄え(プライド)を気にしなくなったらおしまいなのかな、と編者の柳沢さんは思います
 物の価格を比較しながら、その国の税金システムや福祉、医療、国民性なども見えてくる1冊

2013年03月16日

新着図書紹介 5

 今日は新書2冊の紹介です

まねが育むヒトの心/明和政子 (岩波書店)
 心って一体なんでしょう?自分でコントロールできる部分とできない部分があったり、他人と似ていると思ったり、理解できないと思ったり。そもそも、心っていつ生まれるのでしょう?ここ20年、比較認知科学によって、ヒトの心の働きや行動の特性がだんだん明らかになってきています
 他者に依存し依存される社会的環境で生きている私達。それを可能にする心の働きは、ヒトが進化の過程で得られたもののひとつです
 血縁関係にない者へはたらきかけをするのはヒト特有のもの。相手の心の状態(感情)をモニターして自分の行動を調整したり、他者に教育したり、協力したりと利他的な行動をとることは、すでに生後1~2歳で言葉より先に身についていくのだそうです。「おせっかい」に他者に関わろうとするのはヒトだけなんですって


私とは何か~「個人」から「分人」へ /平野啓一郎 (講談社)
 私たちは、日常生活の中で多くの場合、相手や場所によっていろんな自分を出して生きています。たとえば先生の前と友達の前では同じじゃなかったり、その場の空気を読んで「キャラ」を演じたり・・・。
 その時々、おもてに出てくる自分の事を平野さんは「分人」とよびます。個人よりさらに細かい単位で、各自が持っている多様な個性のこと。
 そんなふうに臨機応変いろんな顔は持っているけれど、本当の自分はちゃんとある。でもじゃあ、本当の自分って何?どれが本当の自分なんだろう? そんな風に思い悩んでいる人に、「自分」はひとつじゃない!と平野さんは言います。自分はいくつかの分人でできていて、個性とはその分人の割合によって決定されている。そして、その割合は他人と関わる事で変化していく、個性も唯一不変ではないのですよ、という新しい人間観を書いた1冊


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2013年03月12日

人権映画上映 「ブタがいた教室」

今日は人権映画会として 「ブタがいた教室」 (2008年「ブタがいた教室」製作委員会) が上映されました

この作品は 豚のPちゃんと32人の小学生~命の授業900日/黒田恭史 (ミネルヴァ書房) が原案になっています
 お隣の大阪府豊能町にある東豊能小学校で実際にあった取り組みです。新任教員として赴任した黒田先生と4年2組の子どもたちとブタのPちゃんの2年間の記録です
 子どもたちに命の大切さ、動物を育てることの難しさや楽しさを、身体ごと学んでほしいという黒田さんの思いから始まりました。皆でエサを調達したり、成長に合わせて飼育小屋を作ったり、成長記録の絵本を作ったり、何もかも初めての事にクラスで取り組んでいきます
 そして、卒業を迎えた春、大きく成長したPちゃんをどうするのか? 食べる? 名前を付けた動物を食べることは出来ない、下級生に引きけ継ぐ?Pちゃんは、ペットなの?家畜なの?
 映画同様、クラスでは何度も話し合いが繰り返され、答えを出すことができないまま卒業の日が近づいてきます。

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2013年03月11日

新着図書紹介 4

 今年も3月11日がめぐってきました。今日は震災に関連した本の紹介です

波 蒼佑、17歳のあの日からの物語 /リシャール・コラス (集英社)

 著者はファッションブランド・シャネルの日本法人代表取締役社長で、作家としても活躍するリシャール氏。震災直後から社内ボランティアチームと一緒に被災地に向かい、肌の手入れどころではない避難所の女性たちにマッサージやメイクを行い、少しでも気持ちが紛れるようにと活動していたそうです。
 何度も通い、話を聞くうちにある女性がつぶやいた「時がたてば、なにもかも忘れられてしまう」という一言を聞いたとき、ここで起こったことを、風化させてはいけないと思い書き上げたのが本書です。フランスで出版されたものが、昨年日本で翻訳されました
 3世代の大家族で気仙沼に暮らす蒼佑は、小さい頃から、ひいおばあちゃんに三陸地震の話を聞いて育ちます。3月11日、17回目の誕生日を迎えたその日、経験したことのない激しい揺れと話に聞かされていた大津波に襲われます。家族も故郷も、初恋もすべて奪われ絶望する蒼佑の前に現れたのは、東京にいるいとこの瑛太。
 リシャール氏は、訪ねた先で聞いた話を作品の中の人物に語らせています。そして震災後、激しく心を揺さぶられたという被災地と東京の間にあるギャップや温度差を、蒼佑と瑛太、2人の視点で描いたのだそうです


震災が教えてくれたこと /今野公美子 (朝日学生新聞社)
 図書室でもおなじみの朝日中学生ウィークリーの記者である今野さん、震災による津波で仙台に住むご両親と妹さんを亡くされました。仙台に知り合いもなく情報も少ない中、東京から仙台へ向いご家族を探す様子を記録された1冊です
 報道で津波の様子を目の当たりして、それでも望みを捨てず被災地に向かい、避難所をまわり、同じ境遇の方たちと出会い、自分を奮い立たせて家族を探します。そして、身元確認
 親戚、近所の人、警察、自衛隊、立ち寄った避難所の方たち、いろいろな方と出会い、助けられてきたそうです。そして「がんばって!」じゃなくて「がんばってるね」「がんばったね」という言葉に元気をもらってきたそうです
 
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 忘れずにいることは、とても大事なことです


2013年03月08日

新着図書紹介 3

凸凹サバンナ/玖村まゆみ (講談社)
 法律事務所を開業したばかりの田中貞夫弁護士のもとに持ち込まれるのは厄介な依頼ばかり。ちょっと頼りなくかなりお人好しな主人公は、それでも奮闘、依頼を解決していく。
 玖村さん自身も法律事務所に勤務しながら作品を描いているそうで「ドラマのようなカッコいい弁護士さんは一握り、カッコ悪い普通の弁護士さんを書きたかった」とのこと。一生懸命でひたむきな主人公にも、なにか秘密があるようです 


君と過ごす季節 春から夏へ編、 秋から冬編 (ポプラ社) 
 立春、雨水、啓蟄、春分・・・二十四節気、24の暦ひとつひとつをテーマに書かれた24人の作家によるアンソロジー。柚木麻子、小川糸、東直子、西加奈子など、人気の作家さんが集っています。2冊読んだら1年の季節の流れが味わえますね


少年弁護士セオの事件簿 1~3/ジョン・グリシャム (岩崎書店)
 「法律事務所」「ペリカン文書」など大人の法廷ミステリーで人気のジョン・グリシャムが初めて書いたジュニア向けの法廷ミステリー
 両親を弁護士に持つ13歳の少年・セオは、自分も将来弁護士か裁判官になることを夢見ています。そんなセオが見聞きして得た法律知識を使って、夜中に寝室から姿を消した友人の行方を探したり、両親の離婚裁判で困っているクラスメートを気遣ったり、正式な資格はないけれど「弁護士」として活躍しながら事件を解決していくシリーズ
 難しい法律用語もセオが友達に説明する形で表現したり、日本とは違ったアメリカの司法制度、そこに取り上げられる現在の社会問題などが、わかりやすく織り込まれています


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2013年03月06日

新着図書紹介 2

大きな音が聞こえるか/坂木司 (角川書店)
 ほどほど楽しい友達や 学校生活に繰り返されるゆる~い日々、このままぼんやりと大人になるのは嫌だ・・と思っている高1の泳。唯一の趣味はサーフィン。
 そんな泳はブラジルへ行くおじさんから、月の引力によって起こるアマゾン河の逆流現象=「ポロロッカ」の話を聞きます。そこで起こるその大きな波にのってみたい!アマゾン行きの資金のため、次々とアルバイトを始める泳。旅の手続きも自分でしなきゃ誰もしてくれない。
 今までとは違う環境、人間関係(バイト先はゆるくなんかない!) ポロロッカに乗るという目標が泳の身体と心にいろんな変化を起こしていきます


旅猫リポート/有川浩 (文藝春秋)
 事情があって相棒猫・ナナを飼うことができなくなったサトル。ナナの引き取り手を求め、子どもの頃に過ごしてきた日本各地の友人たちのところを訪ねて回わる一人と一匹。尋ねた先でサトルと友人がかわすやり取りを隣で聞くナナの視線から、これまでのサトルの人生を振り返るロードノベル。この春、舞台化されるそうです


幕が上がる/平田オリザ (講談社) 
 部長のさおり率いる演劇部には、お姫様キャラの看板女優、独特なダンスが持ち味のムードメーカー、天性の才能を持つ男子部員、クールな転入生、元気と根性だけはある新入部員など、ユニークなキャラクター揃い。そこに現れたの新しい顧問の先生は「元学生演劇の女王」 
 地区予選突破をめざすさおり達に「行こうよ、全国」 その一言で高校最後の大会へ向けて、さおり達演劇部の幕が上がります
 劇作家でもあり、演出家でもある平田さんが描く、高校演劇部を舞台にした作品。

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         人気の有川作品は予約受付中 

2013年03月05日

新着図書紹介 1

新着図書の紹介です。

ふたつの月の物語/富安陽子 (講談社)
 中学2年の夏休み、あるお金持ちの老婦人の別荘に養子候補として招かれ、出会ったみづきとあかり。二人には不思議な共通点があった。夜目がきく、暗闇の中で瞳が青く光る、14年前の4月に生まれたけれどそれぞれ出生に関することが不明で、現在天涯孤独
 なぜ自分たちが選ばれたのか?どうも湖底に沈んだ村とその村の伝説に関係あるらしい。嗅覚がするどく人の感情を読み取ることができる美少女・みづきと、空間を移動する能力があるちょっとお調子者のあかりが力を合わせて、2人を取り巻く謎にせまっていく


スタンダップダブル/少路幸也 (角川春樹事務所)
 北海道の無名高校の弱小野球部が舞台。弱小チームだった野球部に双子の兄弟・康一と健一、友人の信司らが入部してから、予選を勝ち抜いていきます
 物凄いピッチャーやホームランバッターがいるわけでもないけれど、なんだかすごい「守備力」があるらしい。不思議な強さに興味をもったスポーツ記者の絵理は取材をしていくうちに、その強さの秘密と、チームの強い絆、彼らが甲子園を目指す「特別な理由」を知ることになります。念願の甲子園出場となるのか?!

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