« 2014年03月 | メイン | 2014年05月 »

2014年04月24日

こんな本を読んだ ②

 本日、登場してくれたのは岩瀬亮介先生。
中学1年C組担任で、担当は国語。演劇部の顧問です。そして、先生のなかの図書係でもあります。さて、岩瀬先生、どんな本、読んだんですか?

こんな本を読んだ。
わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か/平田オリザ (講談社)

        iwaR.jpg

 昔から人とわかりあえないと思って生きてきた。でも、わかりあいたいと思って生きてきた。そのために傷ついたこともあるし、相手を傷つけたことももちろんある。
 他人は他人であって自分ではないのだから、わからないのが当然。でもわかりたいと思うのも当然だろう。人とわかりあいたくないという人はいないはず。
 では、どうすればわかるようになるのだろう。

 人とわかりあおうとするときに、大切なのはコミュニケーションである。でもそもそも、コミュニケーションって何なのだろう。どうすれば人とうまくコミュニケーションがとれるのだろう。
 そして、企業が新入社員に最も強く求めるというコミュニケーション能力とはどうすれば得られるのか。本書は、そうしたことを考えている人に是非読んでほしい。
 内容は、タイトルの「わかりあえないことから」の一言に集約される。他人は他人、絶対にわかりあえない。だからこそ、そこからわかりあおうとする努力が生まれる。それがコミュニケーション能力を養う第一歩である。

 本書で最も強く印象に残ったトピックは「冗長率」である。
 冗長率とは会話や文章の中にどれくらい意味伝達とは関係のない言葉(具体的には「まぁ」「えー」などの間投詞)が含まれているかという数値であり、筆者は人と人とがわかりあうための「対話」にこそ冗長率が高いという。
 さらに、コミュニケーション能力の高い人は、この冗長率を時と場合によって操作できる人だという。これを読んだ時、目から鱗が落ちた。自分の意見をはっきり言うとか、はきはきと目を見て話すことがコミュニケーション能力の高さではなかったのだと気づいた。
 そして、若い時分に好きだった歌の歌詞につながった。「とまどいながらす言葉は何よりもきれいさ」(BLANKY JET CITY「水色」)

 筆者の平田オリザさんは劇作家・演出家でもある。劇団「青年団」を主宰していて、一年に一度くらい、伊丹のアイホールに公演にやってきます。そちらもおすすめです。また、オリザさんは各地で中高生向けの演劇ワークショップをやってらっしゃいます。そちらは、さらにおすすめです。

2014年04月22日

図書委員、始動。

 昨日の昼休みに今年度・前期の各委員会が開かれました。

 図書と文化の合同で行われた委員会では、委員長は図書委員の高2女子に
決まり、中・高それぞれに副委員長、書記。5名とも立候補でさっくり決定。
前期は行事も多いです、がんばっていきましょう。
 
 そして、今日の昼休みには高2の図書委員に再び集まってもらい、週1回のカウンター当番のシフトを組んでもらいました。中1~高2まで30名。1回3名まで、縦割りでという私からのリクエストと、各自時間割やクラブの都合もあるので出来るだけ希望を聞いて・・・。それを踏まえたシフト調整は、なかなかややこしい作業です。

 でも、連日の召集にもかかわらず、全員が参加してくれて時間内に作業完了。
おかげで私はカウンター業務を滞りなくこなせました。ありがとう!
 さあ、図書委員、始動します。
 

           tosho14.jpg
    昨日の委員会で記入した各自の希望調査票を見ながら、格闘中

2014年04月19日

大賞だけでなく・・・

 先日、取り上げた本屋大賞ですが、日本の小説10作品がノミネートされていました。その他の作品もいくつかそろっているので紹介します。


昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉 (河出書房新社)
 若くして結婚した徹子は、数年後、病気で夫・一樹を失います。以降、義理の父である連太郎さんと二人暮らしを始めて7年。いまだに一樹の死をうまく受けとめきれずにいます。
 大切な人がいなくなっても、世の中は変わらず動いていく。自分も前を向いて生きていかなくちゃならない。でもそのためにその人を忘れてしまったら、どうしよう。
 でも人は変わっていくものなんだ、周りの人達がかけてくれる様々な言葉。そして、パンだったり、車や傘、そんな平凡な物がふとしたきっかけで悲しみ以外のものに目を向けさせてくれる。
 人気脚本家でもある木皿さんの「コトバの力」がたっぷり詰まっています。


ランチのアッコちゃん/柚木麻子(双葉社)
 OLの三智子は、あることがきっかけで職場の上司・アッコさんから「1週間あなたの作ったお弁当と私のランチを交換しよう」と提案されます。それから毎朝おふくろの味的な三智子のお弁当と交換にアッコさんからはランチの代金とお店の地図が手渡されます。(交換は周りに知られないようこっそりと)
 月曜ははちょっと怪しげなカレー屋さん、火曜は屋台のハワイアン・カフェ、行く先々で三智子の全く知らないアッコさんの一面を聞くにつれ、最初はおっかなびっくり過ごしていた昼休みが、いつの間にか三智子の心に変化を起こします。
そして週末には・・・。 美味しいものを食べると人は元気になる!


島はぼくらと/辻村深月(講談社) 以前、紹介したのでこちらをどうぞ

 他にも、想像ラジオ/いとうせいこう(河出書房新社)、 とっぴんぱらりの風太郎/万城目学(文藝春秋)、聖なる怠け者の冒険/森見登美彦(朝日新聞出版)

          honyat3.jpg
       貸出中のものもありますが、本屋大賞コーナーでどうぞ

2014年04月17日

2014年 本屋大賞

本屋さんが今一番売りたい本を決める「本屋大賞」 
今年は、村上海賊の娘 上・下/和田竜 (新潮社)に決定しました。
 本屋大賞は今年11回目を迎え、受賞はニュースや新聞でも取り上げられます。早速、受賞を聞きつけた人達で、たちまち予約待ちになりました。この作品は昨秋に購入したものの、ほとんど動かなかったのに・・・、メディアの力でしょうか。でも、話題になった本を読もう!とアクションを起こしてくれるのはうれしいことです。

さて、村上海賊の娘。 なかなか男前な娘さんの物語です。 
       kaizoku1.jpg       kaizoku2.jpg

 時は戦国乱世。織田信長が頭角をあらわしてはいるものの天下はとれず混沌としていた頃の、瀬戸内海の島々と大坂、難波湾(大阪湾)を舞台にした戦国エンタテイメント小説です。

 信長から攻め立てられた大坂・本願寺から助けを求められた毛利家が頼ったのが、瀬戸内海で最も恐れられている海賊・村上水軍。

 主人公はその海賊たちを束ね「海賊王」と称された村上武吉の娘、景(きょう)。
大変な醜女で男まさりの暴れん坊、20歳にして海賊働きにあけくれていた景は、嫁の貰い手がありません。しかし泉州(大阪南部)では、自らの容姿が「美女」とされモテるということを偶然知り、まさしくこれから戦が行われようとしている大坂へ向かうのです。
 そんな彼女の容姿はというと、小顔でくっきりとした目鼻立ちにスタイル抜群。現代なら美人といわれるでしょうが、残念ながら戦国のトレンドではありません。
 そんなエピソードや登場人物たちのやりとりなど笑える部分あり、瀬戸内海と難波の海賊達との臨場感あふれる戦いの場面ありで、ユーモアと緊張感が両方楽しめます。

 そして、非情な戦、自家存続のためにだけに戦う男たち、他人の為に戦う門徒たちを目の当たりにした景が自分の甘さを思い知り成長していく様子が描かれます。

 特殊な技を持った職能集団である忍びや海賊は、武器が多彩になり、考えや生き方が武士とは違っているようだと話す和田さん。この作品も、海賊たちが、特有の武器を駆使し、知恵と肉体の限りを尽くして、毛利や織田の単なる先兵としてでなく、自分の戦いをする様子を楽しんでほしいそうです。

2014年04月11日

準備完了

 先日、中井先生から紹介のあったDVD「GLOBAL VISION」の登録が完了。貸出を始めました。
 10枚組のセットですが1枚ずつの貸出になります。内容紹介をした冊子を参考に選んで、展示してある空ケースを持ってカウンターで手続してください。


         gobal2.jpg

 一緒に取り上げてあった写真集も少し紹介しましょう。
地球家族/マテリアルワールド・プロジェクト(TOTO出版)
 国連の協力を得て30の国から、その国の中流家庭と言われるお宅を訪問し、カメラに収めたものです。
 貴重な所有物を家の前に広げ、世界の人々に見せてもらえませんか?そんな無茶なお願いを聞いてくれる家族を探すのは大変だったそうです。
(実際にみなさん、ベッドや本棚、ぬいぐるみから台所のシンク!などを戸外へ持ち出して家族で記念撮影しています)
 そして1週間、対象の家族と生活を共にして、大切にしているものは何か、いつもどんな朝食をとっているか、子ども達のためにどんな未来を期待するか、などのアンケートをとり、併せて紹介してあります。

 20年前に出版されたものなので、当時と現在ではそれぞれの国の情勢や人々の暮らしの様子は違っているところもあります。それでも、とても興味深い写真集です。そして、やっぱり「違うから・・・、似ているから・・・」と思えるかもしれません。グローバルな視野を持つきっかけに。


2014年04月09日

さあ、新学期!

 今日は始業式、と、昨日、入学式を終えた新入生と在校生との対面式。
そして中学1年生の学内オリエンテーションも行われました。図書室内に貼られたクイズを探して入れ代わり立ち代わりやって来る新入生。早速、書架に並んだ本に興味津々の人達もいました。

 ようこそ、新入生のみなさん。今日から仮の学生証で貸出利用もできます。
みなさんが利用してくれるのを、たくさんの本と一緒に待っています。ここが好奇心との出会いの場所になるように!

          wellib.jpg

 

2014年04月04日

似ているからウレシイ。違うからタノシイ。

 教頭の中井です。新年度になり、先生方とともにみなさんと出会えることにワクワクし、新学期の準備をしています。図書室の本もみなさんとの出会いを心待ちにしていることだと思います。今日は、図書でなくDVDの紹介です。
 このDVDは『GLOBAL VISION-生き方いろいろ、世界の日常ドキュメンタリー』で三井物産株式会社よりを寄贈していただきました。

               globaL1.jpg

 「世界の~」として世界80か国・250都市を超える地域に制作のスタッフが赴き、登場人物の日常に密着した取材が実施されたようです。観光や短期の滞在ではわからない、そこで暮らす人々のさまざまな生き方・考え方、その地域特有の文化や慣習に触れることができます。授業で学ぶ地理の範囲はもとより、文化人類学的なアプローチにもたどり着くことができます。何よりも「へぇー」が増えることでしょう。
 映像は、毎回異なるテーマを取り上げ、3つの国・地域からそのテーマにかかわる3人の1日にを朝から夜まで追いかけます。過度な演出を避けるため、BGMやナレーションが最小限になっています。したがって、時間の流れを意識でき、その地域の人々の息遣いまで聞こえてきそうで、私は現地に飛んでいきたい気分になりました。
 日本には日本の常識や文化があるように、世界各地にもそれぞれの慣習や考え方があります。そういうものに触れた時、私たちは時として違和感を感じたり、また共通点に驚いたりすることがありますが、「世界のさまざまな”違い”や”共通点”を感じ、楽しみ、共有する」ことができれば、素晴らしいと思います。

【収録テーマ50「世界の~」】
 タクシー、育児、酒、ダンス、働く女性、食堂、大学生、動物、ガイド、ファッション、職人、17歳、市場、7歳、牧場、鉄道、見習い、60歳、夫婦、城、結婚式、漁師、葬儀、デビュー、コーヒー、伝統芸能、屋台、紅茶、美容師、20歳、日本文化、仕立て屋、ナイトライフ、ギャラリー、シニアライフ、婚活、お菓子、レース、修理人、化粧、寮、就活、ジャーナリスト、楽器

 上のテーマを見て、自分の興味のあるものがあったでしょう?
世界ではどうなっているのだろう?とワクワクした気持ちになったと思います。
 みなさんには異文化を感じ、その理解をする姿勢をもってほしいので、その一助としてこのDVDを貸出ができるように図書室で準備をお願いしました。わたしも順番に視聴していきます。是非借りてご覧ください。
今年度もワクワクする気持ちを求めて図書室に足を運んで見てください。 
globaL2.jpg
 【関連参考図書】 この写真集も見てください

  地球家族 世界30か国のふつうの暮らし

  続地球家族 世界20か国の女性の暮らし
 
 共に、マテリアルワールド・プロジェクト/著
    (TOTO出版)

 
 GLOBAL VISIONのホームページは→ http://www.globalvision-tv.com/