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2016年03月16日

人工知能にできないこと

 スーパーコンピュータ『京』は、理化学研究所が運用する世界最高水準のスーパーコンピュータの一つ。 1秒間に1京回もの計算を正確にこなすというスーパーさです。
 先日、米国でそんなスーパーコンピュータを使い開発した囲碁のAI(人工知能)『アルファ碁』が、世界で最も強い棋士の1人と対決して勝利をおさめました。

 これまでAIは、多数計算によって先を読み勝率の高い手を選んで戦うという力技で、チェスの世界王者、将棋のプロ棋士と対戦し勝利してきました。
 しかし囲碁は碁石を置く点が多く、手順も多すぎて計算が追いつかない上に、直感も必要とされるゲーム。盤上競技の中でも唯一コンピュータが人間に太刀打ちできないとされてきました。それだけに今回の完敗に人間の棋士たちは大きなショックを受けています。

 そんなAIだったら、東大にだって入れるのでは・・・と思いませんか?

ロボットは東大に入れるか/新井紀子(イースト・プレス)
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 新井さんは「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトに関わる数学者です。しかしロボットといっても体はなくて、東ロボ君と名付けられた頭脳(AI)だけで東大受験にチャレンジしています。

 前半では新井さんが全国の中学高校で行った講義の様子が紹介されています。
犬猫見分けシステムを例にあげます。私達は写真を見ただけで、だいたいそれが猫か犬か、あるいはそれ以外か判断できますよね。たとえ初めてみる種類であっても。なぜ人間が簡単に犬猫の区別が出来るのか、その仕組みは未だに謎なんだそうです。
 しかしコンピュータにはそれが出来ません。たとえ、豚やパソコンの写真でも犬か猫か必死にどちらかに分類しようとするのだそうです。
 後半では東ロボ君が代ゼミの「全国センター摸試」や「東大入試プレ」に挑戦。その結果は?

 新井さんが中高生と一緒に、人工知能に出来ることはなんなのか、出来ない事はなんなのかを考えます。はたして東ロボ君が東大に入れる日は来るのか?!
 

2016年03月11日

震災から5年

 今年も3/11がめぐってきました。東日本大震災から5年たちますが、現在も2561名の方が行方不明で(3/7現在)、捜査活動が続けられています。

 仙台在住で震災を体験した直木賞作家の熊谷達也さんは、震災以降、宮城県気仙沼市をモデルに仙河海(せんがうみ)市を舞台にした一連のシリーズを手掛けてきました。

 出版社の人から言われた「震災前の風景を知っているのは熊谷さんだけ」という言葉に背中を押され、毎回時代も主人公も違う物語で、東日本大震災以前の日常を描いてきました。今回は高校生を主人公に大好きな音楽と故郷、恋を描いた青春小説です。そして初めて震災時の様子を描いたシーンが登場します。

 ティーンズ・エッジ・ロックンロール/熊谷達也(実業之日本社)

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 友人と組んでいたバンドが解散してしまった高校2年生の匠は、ギターを続けるため、それまで馬鹿にしていた高校の軽音楽部の扉をたたきます。そこで出会ったのが、思ったことをはっきり口にするけれど魅力的な先輩・遥。

 あっという間に遥に恋をした匠は、彼女の考えに刺激され、今、自分のやりたいことは何か思い巡らせます。そして、この町に高校生が練習したり、気軽にライブをやれる場所をつくるという目標を見つけます。
 「この町に足りないものを自分たちで創る」ことを決めた2人は、地元の仲間や先輩を巻き込み、周りの大人たちからも見守られ、夢は実現されるのですが・・・。

 ラストシーン、大津波に襲われ大切な場所や思い出の場所を失い、現実を目の当たりにしながらも未来を思い描く2人の姿が力強いです。

2016年03月10日

ひばりの図書室 3月号を配布します

  ひばりの図書室 3月号が出来上がりました。
明日、人権映画会で登校日なので、先生方に配布をお願いしています。

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   春休みの長期貸出を始めます。

       返却期限 : 4月 13日 (水) 
       貸出冊数 :  8 冊   

 ただし、中学3年生は春休み貸出が出来ません。現在かりている本は、卒業式までに必ず返却してください。

 昨日は一部を除いた国公立大学の合格発表。図書室にも報告に来てくれました。入試対策に読んだ本を「役に立ちました!」と返却する人も。 
 引き続き、入試は続きます。さあ、もうひとがんばり。

2016年03月03日

桃の節句です

 今日はひなまつり。桃の節句です。梨木香歩さんの作品でひな人形が印象的に登場する作品があります。

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 りかさん(偕成社) 
 小学生のようこは、ひな祭りに欲しいものはないか、と尋ねたおばあちゃんに「リカちゃん」人形が欲しいと答えます。しかし、後日、届いたのは、真っ直ぐな黒髪のおかっぱ頭に振袖を着た市松人形。半紙に筆で「りかちゃん」と書かれています。
 あまりに想像とかけ離れた「りかちゃん」に落胆したようこでしたが、翌朝、りかちゃんから漂う心地の良い気配に気づき、思わず抱きしめて名前を呼んだ途端、何か不思議な力に包まれます。
  以降、ようこは「りかさん」と話が出来るようになり(その際、少し言いにくそうに「りかさん」と呼んでほしいと言われます) 「りかさん」といることで、色々なモノや人形の気配を感じる身体のセンサーのようなものが発達していく気がします。

 もちろん、おばあちゃんはそれを知っていて「りかさん」をようこに譲ったのです。
ようこは飾られているひな人形や抱き人形たちが持つ、それぞれの持ち主の思いを(楽しい記憶だけでなくつらい記憶も)、りかさんの力をかりて鎮めていきます。
 「いつくしむ」とでも言うその力は、大人になるにつれ、ようこの持つ独特の雰囲気を醸し出すことになります。

 成長したようこの物語は からくりからくさ(新潮社) で読むことが出来ます。
なくなったおばあちゃんの家をアトリエに、染色作家としての道を歩き始めたようこと、友人たちの共同生活をえがいた作品です。もちろん、りかさんも一緒です。

 梨木さんは「西の魔女が死んだ」でも、主人公とおばあちゃんの絆を描いていましたが、この物語でもようことおばあちゃんのつながりをとても大切に描いています。