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人権映画会 『あん』

 先日の人権映画会で河瀬直美・監督「あん」が上映されました。原作はドリアン助川さんの同名小説です。

 桜通り商店にあるどら焼き屋「どら春」 つぶれはしないけれど儲かりもしない小さなその店のやとわれ店長として働く千太郎は無気力な日々を過ごしています。桜の季節、そんな千太郎の前に現れたのは指先の不自由な一人の老女・徳江さん。店先にある「アルバイト募集・年齢不問」の張り紙を見て雇ってほしいと言います。
 最初のうちは、のらりくらりと断っていた千太郎でしたが、彼女の持参した手づくりの粒あんを食べ、その美味しさに魅かれ粒あんづくりを任せることを決めます。
 「もてなさないとね。せっかく来てくれたんだから、畑から」と語りながら丁寧に愛しげに小豆を煮る2人の姿は映画でも印象的なシーンです。美味しくなったどら焼きのおかげでお店は繁盛していくのですが・・・。

 子どもの頃に患った病と、世間から受けたその病に対する偏見や差別。すべてを受けとめた上で生きる意味を持ち続ける徳江さんとの出会いが、過去をひきずり生きる気力を失っている千太郎の心を動かします。

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            「やり残したことは、ありませんか。」

 「あん」の原作本はフランス語訳もされていて、昨年はフランスの読者が投票で選んで決める「読者が選ぶ文庫本大賞」を受賞しました。