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毒のないジャガイモ

 マリー・アントワネットがこよなく愛した花はなんだと思いますか?それはバラでも百合でもなくジャガイモ。舞踏会の髪飾りにもジャガイモの花をつけたと言われています。

 ジャガイモは世界4位の生産量を誇る食用作物。普段口にする地下の茎部分は無毒ですが、植物体にはソラニンという有毒物質が含まれていて、口にするとめまいや中毒症状を引き起こします。なので芽の部分は食べてはいけないといいますよね。
 ジャガイモには収穫後数か月間、成長や発生が一時的に停止する「休眠期間」があり、その後、萌芽が始まるそうです。萌芽を防ぎ、安心・安全なジャガイモを消費者に届けるには、多くの課程で相応のコストがかかります。萌芽の制御は大きな課題。
 そんななか昨日、狙った遺伝子を改変する「ゲノム編集」技術を活用し、芽などに毒を含まないジャガイモを作る手法が開発されたニュースが届きました。→理化学研究所
 ただ、ゲノム編集による品種改良は作物の遺伝子を改変することになり、生物の多様性が失われると言われ商品化は簡単ではないそうです。いつか毒のないジャガイモがお店に並ぶ日が来るのでしょうか。

 ところでマリー・アントワネットとジャガイモののエピソードには、ルイ16世のある策略だったそうです。そのエピソードが読めるのが
 キャベツにだって花が咲く/稲垣栄洋(光文社)
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 大根おろしはなぜ辛いのか?野菜で試薬を作ろうなど、植物愛あふれる農学博士・稲垣さんが野菜たちの知られざる姿を解き明かした1冊。