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選特化学 授業の補足33

Isoprene-3d.png
 選択領域の学習は合成樹脂で一応終了です。残っている医薬品や肥料などは夏季講習で扱う予定にしています。合成樹脂(plastic)とともに説明したゴムについて補足しておきます。

 中南米ではゴムが古く(おそらく紀元前)から利用されてきました。ヨーロッパに持ち帰ったのはコロンブスです。ゴム樹液(ラテックス)は多くの熱帯樹木や灌木から採取されます。身近なところではタンポポの白い液もゴム性樹液です。この天然ゴムはイソプレン分子がつながったポリマーです。イソプレンC5H8は二重結合を2つ含むため,ポリマーにはシス型とトランス型ができます。ゴムの弾性はシス型二重結合によって得られる性質で,トランス型ではグッタペルカのように異なる性質を示します。

 このゴムは温度が高いとネバネバして臭くなり,冬は硬くなるので消しゴムくらいにしか利用されませんでした。rubberの語源は擦るrubからきています。これに硫黄を加えて弾力性を安定させたのはグッドイヤーでした。トランス体では分子どうしがぴったりと付着するので分子間力がはたらき,分子は滑ることもなく伸びません。一方,シス体は分子どうしが滑るために変形はするものの切れてしまいます。硫黄を加えることでS-S結合の架橋がされ,柔軟性を保ったまま滑らなくなるのです。加硫ゴムが発明されて,ゴムはッ利用範囲が大きく拡がりました。ゴムバンドは1~3%,タイヤは3~10%の硫黄を含みます。25~30%含むのが絶縁体に利用されるエボナイトです。