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Hibari 探究プロジェクト - 雲雀丘学園中学校・高等学校
SDGs(エス・ディー・ジーズ)

グローバル教育〔 地球的規模で考える 〕

アイルランド語学研修

【アイルランド研修2024】㉘帰国8/4

2週間のアイルランド語学研修が終わりました。誰も大きな怪我や病気をすることなく楽しく研修を終えられたことに感謝です。

引率教師の立場からこの研修を見たとき、生徒たちの成長は目覚ましいものがありました。事前学習では目の下までマスクで顔を隠して無言だったり、無表情や硬い表情で口数が少なかったり、自分に自信がなさそうでビクビクしていたり、ヤンチャそうで少し皆に怖がられていたり、いろいろな生徒がいました。参加者同士、学年もクラスも違うのでまとまりがなく、なんだか引率するのが心配だなあと思ったのが正直なところでした。

しかし、そんな生徒たちが研修中の様々な出来事を通して強く、優しく変わりました。全員が顔を隠すことをやめ、大きく口を開けて笑い、時には怒り、時には号泣していました。ヤンチャそうな人たちはとても優しい表情になり、皆を守って助けてくれる頼りになる仲間に変わりました。びくびくとしていた人たちは自分から「話しかけてきます!」と言ってバス停や学校でいろいろな人に声をかけていました。イタリア人やロシア人やスペイン人など、英語圏ではない人たちともジェスチャーや挨拶やスポーツを通して仲良くなり素晴らしいコミュニケーション能力の高さを見せてくれました。そして何より25人全員が本当に仲良くなりました。仲間同士励まいあい声を掛け合い助け合って、時には肩を組んで歩いたり抱き合って喜んだりしていました。「この人たち、本当に同じ人なの?」と思うくらい全員が素晴らしく変化しました。

世界は美しいこと、優しいことばかりではありません。研修中はもちろん楽しいことだけではありませんでした。アジア人であることを中傷されることもあり、地元の不良に絡まれてしまったり、差別的な態度をとられて傷ついたことや、理想と現実の違いに苦しむこともありました。ですが、困難から逃げたり隠れたりするのではなく、仲間と気持ちを共有し、大人と話し、状況を冷静に理解しようとしていたことが印象的でした。そして悲しみや怒りや恐れを持ちながらも立ち向かい、自分の限界を超えよう、自分の力を見せつけてやろう、負けたりなんかしない!と、人としての尊厳をもって対応していた姿に感動させられました。思い通りにならないことや、日本とは違う考え方や教育に触れることで「あれ、私はなんで日本ではこんなささいなことをずっと気に病んでいたんだろう。周りのことなんて、気にしなくていいんだ!自分の気持ちが大切なんだ!」と完璧を求められる日本の若者特有の苦しみから解放される様子もありました。

留学の目的は語学の習得だけではありません。日本という優しくて清潔で守られた環境をでて生活し、世界の厳しさ、異文化の生活、差別の現実、日本との格差などを知ることでもあります。無知から生まれるヘイトや差別を超えて、同じ世界に住む仲間同士として互いの文化を認め合って共存する「体験」を積むことも大切な目的です。そして今回の研修では生徒の皆さん全員がそれを見事に成し遂げたと思います。

思春期の多感な時期に海外で生活できたことは、生徒の皆さんの一生の宝になります。

一歩を踏み出した生徒たちの勇気に拍手すると同時に、その思いを後押しして見守ってくださった保護者の皆様、日本と現地で心を砕いて対応してくださったスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

来年度のアイルランド語学研修も実りの多いものになるだろうと確信し、最後のブログとさせていただきます。ありがとうございました。

(引率教員 H)

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