探究的な授業〔 日常的に思考力を育む 〕
探究的授業
中3社会総合 新聞出前授業 取材「サントリーホール」
中3社会総合の授業として、新聞出前授業を行っています。NIEの取り組みとして、新聞記者が月1回講義に来校し、夏に全生徒が取材して新聞記事を制作します。今年は取材先がサントリーとなり、11の部署のどれか1つを取材することになりました。
今日はその第11弾最終回、東京のサントリーホールからオンラインで話をしてくださいました。300名のスタッフが年間600公演のコンサートを開催、2006席あるホールです。
サントリーは利益三分主義、社会貢献の一環として、「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造する営み」という考えで音楽事業を展開しています。2代目社長佐治敬三が、物質の豊かさの次に心の豊かさが求められると考え、美術館・音楽財団を設立し、さらに「クラシック音楽を日本の生活文化として根付かせたい」という考えで東京発のコンサート専用ホールとして、世界一美しい響きをめざして建設し、1986年に完成したのがサントリーホールです。来年で40周年、累計2100万人が来場しています。
世界で有名なホールとして、カーネギーホール、ベルリンフィル、コンセルトヘボウ、ウィーン楽友ホールなどがあり、まだ40歳のこのホールは若いですが、世界の音楽家が喜んでここで演奏し、ウィーンフィルも、ここを第二の本拠地と高く評価しています。
ホールには3つの重要な要素、①「世界一美しい響きをめざして」、②「創造的で質の高い自主企画公演」、③「ホスピタリティ」があります。
①について、日本初の「客席がぐるっと囲む『ヴィンヤード(ブドウ畑)型』」で建設しました。指揮者カラヤンから演奏家と聴衆が一体となって創り共に歓び楽しむため、この形となりました。また、オルガンの重要性もカラヤンからアドバイスを受けました。
②について、従来のホールは貸しホールがほとんどでしたが、このホールは年間100近い自主企画を行っています。大晦日クラシックを聴き年を越すジルヴェスターコンサートなど、さまざまな企画をしています。
③「おもてなし」として、非日常の空間つくりに心を配っています。日本初のレセプショニスト・自販機をおかず酒も用意するドリンクコーナー・オリジナルグッズを扱うギフトショップ(オンラインもあり)・クロークなどが聴衆のため、演奏家のためのステージマネージャーなど専門スタッフを配置しています。
良いコンサートとは、演奏に満足でき、主催者は収入を確保し、聴衆が満足できる「三方よし」です。
サントリーホールアカデミーとして、オペラや室内楽のレッスンを受け、公演の機会も提供しています。このような未来を開く取り組みも行っています。
最後に、「ホールも、最後は人やで」という佐治さんの言葉を大切にしているとのことでした。
演奏家の後ろの座席の理由、ホールで働く「毎日が文化祭みたい」な気持ち、新しい試みとして新たなジャンルの開拓、一番工夫した点として響きの実験、ヴィンヤード型の音の特徴として演奏家も聴衆も音がわかる良さ、担当者として大切にしている点など鋭い質問がありました。
ご来校いただき、生徒の質疑応答にも丁寧にお答えいただいたサントリーホールの皆さま、この場をお借りしてお礼申し上げます。