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探究ゼミ「法律を学ぶ」第9回違憲
本日の昼休みに探究ゼミ「法律を学ぶ」第9回を開催し、中1~高3の14名が社会科教室に集まりました。
今日のテーマは、「尊属殺重罰規定違憲判決」です。
NHKの朝ドラ「虎に翼」も今週で最終回ですが、最後で「尊属殺」が取り上げられています。1968年に起こった「性虐待された娘が父親を殺した」事件 で、被告人の女性Aは14歳ころから実父Xより性的暴行を受け5人の子どもまで産み、うち2児は死亡し、3児は成長。実母はその事情に耐えられなくなり家を出ていました。殺害の直接のきっかけは、Aに恋人ができたことです。AはXに家を出て結婚すると伝えると激怒してAをなじりました。そしてXが飛びかかってきたのを逆に押し倒し、絞殺しました。
焦点は「刑法200条を憲法14条違反で訴える」ことにあり、Aは普通殺人(刑法199条)と尊属殺人(200条)で訴えられました。200条は「無期懲役または死刑」で、有罪の場合、酌量減軽しても、執行猶予がつきません。人の命はみな平等なのに、「普通殺」「尊属殺」で刑罰の重さを変えるのは平等に反する、というのが弁護側の論理です。
この事件は初めて法令違憲を勝ち取り、1973年、最高裁は判例を変更して、刑法200条は憲法14条に違反して無効、と判決し、刑法199条のもと情状酌量して懲役2年6月、執行猶予3年の刑をくだしました。
この裁判をどう考えるか、皆で意見交換しました。
「父が優位性を利用して性虐待に及ぶのは相手が抗えない点で悪質」「尊属殺は平等と矛盾するので違憲は当然」「父と娘の間に生まれた子はどうなったのか」「自分の娘にそんなことをするのがわからない」「教科書に味気なく書いている裁判にもそれぞれストーリーがあることを知った」などの意見がありた。法律で裁きますが、被害者・被告人・検察官・裁判官すべて人間です。人間にはさまざまなドラマがあります。その中で初めての違憲判決が出されましたが、そこまでの背景を皆で考えました。
次回は10/1に60ホールで開催します。多くの参加を期待しています。