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探究ゼミ「法律を学ぶ」第13回アリとキリギリス
今日、探究ゼミ「法律を学ぶ」第13回を開催し、中1~高3の36名が60ホールに集まりました。
今日のテーマは、「昔話法廷『アリとキリギリス』」です。NHKのEテレで放送していた昔話を裁判したらどうなるかという番組を視聴したうえで、感想を書いてもらいました。
被告人はアリです。冬になり食べるものがなくなって、食糧を分けほしいと頼んできたキリギリスを見殺しにしました。アリは、保護責任者遺棄致死罪で有罪か?それとも無罪か?
兄弟同然の深い関係にあったにもかかわらず、キリギリスを見殺しにし、食料を分けてほしいと頼みにきたキリギリスに対して、アリは、無情にもその申し出を断り追い返した結果、翌日、キリギリスは、自宅で餓死しているところを発見された。アリの犯した罪は、刑法第219条の保護責任者遺棄致死罪にあたると検察官は陳述します。親友であるキリギリスに食料を分けなかったことは、アリも認めます。しかし、「仕方がなかった」と言います。弁護人も「事件当時の状況を考えると、アリにキリギリスを助ける義務はなかった。」と無罪を主張します。保護責任者遺棄致死罪。法律上、親や兄弟だけでなく、親友でも保護責任を問われることがありますが、アリの場合は、どうなのか。「保護責任者」の構成要件に該当するかが論点となります。
視聴後、結論を聞くと、有罪派6名対無罪派30名でした。有罪派は「アリしか頼れるのはいないのでキリギリスを守る義務がある」「家族分の食料はあるのに見捨てるのはひどい」「他の人のことを考えるべし」「少なからず悪意があった」「たった一人の友達」、一方、無罪派は「検察は憶測で判断しすぎ」「大人なのだから自分のことは自分ですべし」「友人より大家族を取るのは当たり前」「家族を守る義務がある」「酷い言葉をかけたのに頼るのはどうか」「自業自得。自分もアリと同じだ」「検察は誘導尋問しすぎ」などの意見がありました。
親による子への虐待、ネグレクトで、保護責任者遺棄致死罪は、今日問題になっています。プライバシーや民事不介入という反面、DVや児童虐待防止法で、近隣や教員など関係者は通報義務があります。誰が、どこまで介入し、しない場合は、どこまで犯罪となるか、難しい問題です。
生徒の感想として、「検察官のコメントで意見が変わりそうになった」「初めて無罪と判断した」「法律は難しい」「保護責任者遺棄致死罪で、これまでの裁判の意味がわかった」「友達同士でも罪に問われることがあると知り驚いた」などの意見がありました。
次回は11/1に60ホールで開催します。多くの方の参加を期待しています。来週、中2・中3は宿泊行事で参加できませんが、気を付けて行ってきてください。