探究ゼミ・プロジェクト〔 学内外と連携し、自由に学ぶ 〕
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探究ゼミ「法律を学ぶ」第13回囚人のジレンマ
今日、探究ゼミ「法律を学ぶ」第13回を開催し、中1~高2の25名が60ホールに集まりました。
今日のテーマは、「囚人のジレンマ」です。ゲーム理論におけるゲームの1つで、お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマです。各個人が合理的に選択した結果が社会全体にとって望ましい結果にならないという状況で、囚人の黙秘や自白にたとえたため、この名がつきました。
共同で犯罪を行ったと思われる2人の囚人A・Bを自白させるため、検事は囚人A・Bに次のような司法取引をもちかけたとします。
「お前たちは懲役5年なんだが、もし2人とも黙秘したら、証拠不十分として減刑し、2人とも懲役3年だ。
もし片方だけが自白したら、そいつはその場で釈放してやろう(つまり懲役0年)。この場合黙秘してた方は懲役10年だ。
ただし、2人とも自白したら、判決どおり2人とも懲役5年だ。」
このとき、「2人の囚人A・Bはそれぞれ黙秘すべきかそれとも自白すべきか」という問題です。なお2人の囚人A・Bは別室に隔離されており、相談することはできない状況に置かれているものとします。
囚人のジレンマは、自己の利益を追求する個人の間でいかに協力が可能となるかという社会科学の基本問題で、経済学、政治学、社会学、社会心理学、倫理学、哲学などの幅広い分野で研究されているほか、自然科学である生物学においても、生物の協力行動を説明するモデルとして活発に研究されています。
この問の答えは「利益が最大なのは『強調して黙秘』だが、裏切りのリスク(懲役10年)を回避するためには自白(懲役0年又は5年)が合理的」となります。
一番魅力的な選択肢を選んだ結果、協力したときより悪い結果を招いてしまいます。これが、軍拡の「恐怖の均衡」にもつながることを学習しました。
生徒の感想として、「人を信頼するのは難しい」「世界が少し見えた気がする」「人間の深い部分をついた問題と思った」「最適解でなく納得解を構築する必要あり」「世の中がよくなるためには信用しあうことが大切」などがありました。
次回、この問題をもう少し深めていく予定です。11/17に60ホールで開催するので、多くの方の参加を期待しています。