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探究ゼミ「法律を学ぶ」第14回囚人のジレンマⅡ
今日、探究ゼミ「法律を学ぶ」第14回を開催し、中1~高2の24名が60ホールに集まりました。
前回、「囚人のジレンマ」を取り上げました。これは、ゲーム理論におけるゲームの1つで、お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマです。各個人が合理的に選択した結果が社会全体にとって望ましい結果にならないという状況で、囚人の黙秘や自白にたとえたため、この名がつきました。
囚人のジレンマは、自己の利益を追求する個人の間でいかに協力が可能となるかという社会科学の基本問題で、経済学、政治学、社会学、社会心理学、倫理学、哲学などの幅広い分野で研究されているほか、自然科学である生物学においても、生物の協力行動を説明するモデルとして活発に研究されています。
今回、更に深めます。2016年のセンター試験「政治経済」で以下の問題が出ました。
国際社会の平和と安全のためには国家間の協調が重要となる。国家間協調の実現について考えるために、次の表で表されるゲームを考える。このゲームでは、A国とB国の代表が、互いに相談できない状況で、「協調」か「非協調」のいずれか一方の戦略を1回のみ同時に選択する。その結果として、両国は表中に示された点数を得る。ここで両国は、自国の得る得点の最大化だけをめざすものとする。このゲームの表から読み取れる内容として最も適当なものを、下の(1)~(4)のうちから一つ選べ。
(1)A国にとって、最も高い得点を得るには、「協調」を選択する必要があるが、それにはB国が「非協調」を選択するという条件が必要である。
(2)A国が「協調」を選択する場合、B国がより高い点数を得るには「協調」を選択する必要がある。
(3)A国とB国がともに「協調」を選択すれば、両国の点数の合計は最大化されるが、相手の行動が読めない以上、「協調」を選択できない。
(4)A国とB国がともに「非協調」を選択すれば、両国の点数の合計は最大化されるため、「協調」に踏み切ることはできない。
正解は、「相手の行動が読めない以上、『協調』を選択できない。」従って(3)です。
本来合理的なのは「協調」ですが、相手が読めないばかりに選択できないというジレンマです。
しかし、協調できる場をつくる、その取り組みが必要です。中東・ウクライナだけでなく、友人間の人間関係でも同様です。
生徒の感想として、「絶対的中立の存在が必要」「話し合いの大切さが分かった」「『みんな違ってみんないい』がなぜできないのか」「解決は時間がかかり難しい」「まずは自分の問題として考えたい」などがありました。
次回は11/24に60ホールで開催するので、多くの方の参加を期待しています。