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探究ゼミ「日本の交通網」第7回「西九州新幹線」
探究ゼミ「日本の交通網」第7回を昼休みに開催し、中1~高1の9名が会議室に集まりました。
今日のテーマは「西九州新幹線開業」です。記事を読んだうえで、意見交換しました。
日本で最も短い新幹線が9/23開業します。武雄温泉と長崎を走る全長66キロの九州新幹線長崎ルート(西九州新幹線)です。国が1973年に策定した整備計画では博多と長崎を結ぶ予定でしたが、半世紀の時を経て一部は未着工のままの発車となります。博多―長崎間は特急列車で最短1時間50分でしたが、新幹線を使えば武雄温泉駅で特急「リレーかもめ」から乗り換える3分を含めても最短1時間20分となり、最大30分の時間短縮となります。福岡市と長崎市を移動する場合はマイカーやバスでも2時間以上かかるので、新幹線により両市の間はさらに近く感じるようになります。
73年の政府の整備計画では、博多―長崎間(143キロ程度)を結ぶ計画で、長崎―武雄温泉に新幹線を新設し、武雄温泉から新鳥栖(佐賀県)間は従来の在来線の線路を活用し、新鳥栖―博多間は既に開業している九州新幹線の新幹線レールを走る案でした。そのため、車輪間隔が違う新幹線と在来線双方のレールを走れる「フリーゲージトレイン」(FGT)を導入する方法で事業を進めてきましたが、国は「技術的に困難」とFGTの開発を断念し、武雄温泉―新鳥栖間にも新幹線を新設する方法を提案したことで、佐賀県が反発しています。
長崎県は、交通の便の悪さから企業誘致が難しく人口流出が課題でしたから、新幹線整備が悲願でした。一方の佐賀県は福岡県に近く、新幹線による移動時間短縮の効果は大きくありません。佐賀県は新幹線開業で在来線の列車が減って住民が不便になることを心配しています。さらに、武雄温泉―新鳥栖間に新幹線を建設した場合の事業費は国の試算で約6200億円。そのうち佐賀県の実質負担は約660億円となり、県の財政悪化も心配されます。佐賀県はFGTを前提に新幹線整備に合意した経緯があるため、国の方針変更に対し「筋が違う」と不信感を募らせていて、国との話し合いは平行線のままです。
佐賀は建設費の負担軽減や在来線の利便性維持も求めており、双方が妥協点を見いだせるかが鍵となりそうです。当面は、在来線とのリレー方式が続きますが、新幹線で地域を元気にできるかどうかも問われそうです。
意見交換したうえで、感想を書いてもらいました。
「例えば特急用の線路をつくり、しばらくすると新幹線を走らせるのはどうか」「リニアも開通が遅れている。互いが譲歩していかないといけない」「長崎まで合宿で乗車したが、在来線は海が見えてきれいだったが新幹線だと見えないので残念」「全線開通の見通しがたっていないので効果が見込めるか疑問」「高速道路や新幹線発達で利便性は高まっているのと同時にストロー現象の進行が懸念される」「30分しか短できないのだから新幹線を通す必要があるか疑問」「ゆっくり電車で走りながら知らない土地を見ることも好きなので、ほどほどが一番」「コスパの悪い結果となっている」「新幹線自体が難しい」の意見がありました。
高度成長の時全国の新幹線網が計画されました。長所・短所双方考えていく必要があるようです。
次回は文化祭明け9月8日に開催します。多くの方の参加をお待ちしています。