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Hibari 探究プロジェクト - 雲雀丘学園中学校・高等学校
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探究ゼミ・プロジェクト〔 学内外と連携し、自由に学ぶ 〕

探究ゼミ

探究ゼミ「法律を学ぶ」第7回ICC

本日、探究ゼミ「法律を学ぶ」第7回を開催し、中1~高3の22名が60ホールに集まりました。

今日のテーマは、「国際刑事裁判所(ICC)」です。

先日、ロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問しました。ウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪の容疑で昨年3月に国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されて以降、加盟国を訪れたのは初めてです。モンゴル政府はプーチン氏を逮捕せず大統領らが歓待したため、ウクライナ外務省報道官は「モンゴルも戦争犯罪の責任を負うことになった」と非難しました。
 ICCは重大な犯罪を犯した個人を訴追・処罰する国際法廷で、124カ国・地域が加盟する。集団殺害、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の四つが対象だ。
 容疑者の身柄を拘束する独自の組織を持たないため、加盟国の協力が不可欠となるが、米国や中国、ロシアといった大国は、自国民が訴追されれば国家主権が侵害されかねないなどとして不参加です。
 逮捕状が出ていた国家元首が加盟国を訪問したのは初めてではなく、スーダンのバシル大統領(当時)が2015年に南アフリカを訪れたとき、元首が他国による訴追を免れるという国際慣習を根拠に逮捕されませんでした。
 しかし、ICCは元首であっても刑事責任からの免除は認められないと規定しています。
 モンゴルは1990年代に民主化されるまでソ連の強い影響下にあり、今もエネルギー輸入でロシアに大きく依存おり、プーチン氏が逮捕されなかった背景には、こうした力関係があったのではないかと推察されます。
 プーチン氏は米欧に対抗するため、通算5期目に入った今年5月から首脳外交を活発化させており、今回の訪問を通じ、逮捕状の効力に限界があることを示す思惑があったとみられます。
 今後もプーチン氏が加盟国訪問を続ければ、ICCの威信は一段と損なわれる危険性があります。
 日本はICC分担金の最大の拠出国で、今春には赤根智子氏が日本人初の所長に就任しました。「法の支配」を外交の柱に掲げる以上、ICCが機能するような国際環境づくりに尽力すべきだという社説を読み、意見交換しました。

感想は「加盟国は責任を果たすべき」「ICCに逮捕する独自組織ができたらいい」「ICCの権威が薄れる」「逮捕への支援プロセスが必要」「モンゴルに罰はないのか」というモンゴルへの批判が多かったですが、他方、「ロシアの支援を受けているモンゴルの立場に立つと逮捕できない」という擁護論もありました。国際法の限界が露呈されましたが、なんとか良い方法がないものか、皆で考えていきたいものです。

次回は9/17に社会科教室で開催します。多くの参加を期待しています。

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