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Hibari 探究プロジェクト - 雲雀丘学園中学校・高等学校
SDGs(エス・ディー・ジーズ)

探究ゼミ・プロジェクト〔 学内外と連携し、自由に学ぶ 〕

探究プロジェクト

【東京科学大学~生命科学の最先端に触れる3日間~】

8月4日から3日間にわたり、高校生を対象とした東京科学大学(旧 東京工業大学)による「ひばり探究プロジェクト 夏休み特別講習会」が開催されました。今回プロジェクトをすすめていただく、上野研究室では化学をベースに、構造生物学、細胞生物学と多岐にわたる融合研究を多くの共同研究によってすすめています。今企画では「タンパク質のカゴの中に金をつくる」というユニークなテーマを通して、参加者は生命科学の最先端を肌で感じる研究体験に挑みました。

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<大学での研究ってどんな感じ?>

初日は、大学での学びや研究の仕組みについてガイダンスが行われました。

高校までとは違い、大学はただ授業を受ける場所ではありません。先生や大学院生、学部生がチームを組み、世界をリードする研究を進める場所でもあります。参加した高校生たちは、今回、その一員として3日間を過ごすことになります。

ガイダンスでは、「タンパク質とは何か?」というテーマで講義が行われました。 タンパク質は筋肉や臓器、皮膚など、私たちの体の大部分を構成する重要な栄養素ですが、その正体は「アミノ酸がたくさん連なった鎖状の分子」です。この分子が複雑に折りたたまれることで、さまざまな機能を発揮するのです。

この難しい仕組みを理解するため、セントラルドグマという生命科学の基本原則が、高校生にも分かりやすい例えで説明されました。 遺伝情報の設計図であるDNAを「持ち出し禁止の図書館の本」に、それをコピーするRNAを「コピーした紙」に、そして実際にタンパク質を組み立てるリボソームを「組み立て工場」に例えることで、遺伝情報がタンパク質になるまでの流れを楽しく学ぶことができました。

<ワクワクが止まらない!最先端の研究室を見学>

講義の後は、4つの異なる研究室を巡る見学ツアーへ出発しました。

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普段は立ち入ることのできない研究室の内部では、最先端の実験機器や研究風景を間近で見ることができました。各研究室のテーマは以下の通りです。

  • 越川研究室:がん診断法の開発 がん細胞が正常な組織に浸潤・転移する仕組みを分子レベルで解明し、新しい診断法や治療薬の開発を目指す研究です。実際にがん細胞を培養している様子や、特殊な分析機器を見学しました。

  • 加納研究室:細胞をデザインする 遺伝子やタンパク質の働きを人工的に制御し、細胞に新しい機能を与える研究です。生命現象を数学的にモデル化する試みにも触れ、生物学と数学の融合を垣間見ることができました。

  • 中村・岡田研究室:新薬創薬 有機合成化学を基盤に、新しいがん治療を目指した創薬研究、ケミカルバイオロジー研究分野での技術革新を目指して研究を展開しています。

  • 瀧ノ上研究室:DNAをコンピューターに DNAの情報をコンピューターのように読み書きする技術を開発する研究です。未来の記録媒体や計算技術への応用が期待される、最先端の技術開発について学びました。

<2日目は実験!>

見学ツアーを通して、大学の研究の多様性や奥深さを感じた参加者たち。2日目からは、いよいよ今回のメインテーマである「タンパク質のカゴの中に金をつくる」実験が行われました。

使用するのは、鉄を蓄える性質を持つカゴ型タンパク質「フェリチン」有機合成化学を基盤に、新しいがん治療を目指した創薬研究、ケミカルバイオロジー研究分野での技術革新を目指して研究を展開金イオン(Au³⁺)有機合成化学を基盤に、新しいがん治療を目指した創薬研究、ケミカルバイオロジー研究分野での技術革新を目指して研究を展開金の微粒子が合成できるのです。

以下は本校生徒の感想です。

「今日はたくさん実験しました!ピペットを使うにも、学校で使うピペットとは全然ちがくて、勝手が聞かず、いろいろ試行錯誤しながら頑張りました。また、3000万の顕微鏡でフェリチンを見せてもらいました。学校の顕微鏡みたいにいろいろな倍率のレンズで覗くのではなく、ものすごい針を上下に動かして形を読み取るらしいです。菊池さんが仰ってたんですが、科学大の学生でもこの顕微鏡を使ってる所を見ることは滅多にできないらしく、すごい貴重な体験をさせて頂きました!!他にもフェリチンの模型を組み立てたりものすごい楽しかったです!!一日中新しいことの発見でずっとワクワクしっぱなしで本当に楽しかったです。」

今日は、たくさん実験をさせてもらってとてもいい経験になりました。私はスポイトを使うのが下手すぎたのですが皆さん優しくて助けてもらって何とかできました!!明日も実験したいなと思いました。

「今日は実験と入試説明会と学生さんとの座談会をしました。座談会は入試の話や学校生活のことを聞くことができて楽しかったです。講義では、フェリチンの模型を組み立てたり、実験室を詳しく教えてもらえたり、実験以外のこともできて勉強になりました。今日1日も充実した楽しい1日になりました。」

今日はフェリチンに金イオンを入れて反応を見る実験をしました。高校にはない機械をたくさん使ったのですが、その中でも原子間力顕微鏡でフェリチンを実際に見たことが一番記憶に残りました。分子レベルの小さいものを実際に見たのが初めてで、とても驚きました。面白かったです。

最終日には、この3日間の活動を振り返り、研究成果や学び、感想などを発表するプレゼンテーションも行われます。

<最終日はプレゼンテーション>

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2つのチームに分かれ、それぞれが独自の実験と考察を発表しました。生徒からは「生物系の研究は実験だけでなく、シミュレーションや異分野との連携も重要だとわかった」「大学での研究の面白さを実感した」といった声が聞かれました。

また、現役の大学生や教授との座談会でリアルな大学生活や進路選択について話を聞くことができ、参加者たちは将来の選択肢を広げる良い機会になったようです。

この3日間を通して、生徒たちは研究の楽しさだけでなく、論理的な思考力やプレゼン能力の重要性も学びました。

<謝辞>

本企画の実施にあたり、お忙しい中ご協力いただきましたひばり探究プロジェクトの皆様、ならびに東京科学大学の上野先生、菊池先生をはじめ、快く研究室見学にご対応いただいた各研究室の先生方、TA(ティーチングアシスタント)として熱心にサポートしてくれた学生の皆様に、心より感謝申し上げます。

この夏、大学でのリアルな研究体験を通じて、参加した高校生たちが自身の将来について新たな一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。

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