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Hibari 探究プロジェクト - 雲雀丘学園中学校・高等学校
SDGs(エス・ディー・ジーズ)

探究ゼミ・プロジェクト〔 学内外と連携し、自由に学ぶ 〕

探究プロジェクト

京都大学工学部によるオンラインミニ講義フェス Vol.2

 924日(土)に第2回として沼田圭司先生と中尾佳亮先生に講義をしていただきました。

 まず,沼田圭司先生には『クモの糸を調べる・つくる』という講義をしていただきました。生分解性プラスチックは現在数多く合成されていますが,石油由来でない生分解性プラスチックとうのはPHA(ポリヒドロキシアルカン酸)と呼ばれる高分子だけであることに驚くとともに,逆にそこまで技術が進歩しているんだということにも驚きました。クモの糸は強靭かつ軽量で他の高分子材料と良く混ざり合う性質があるという大きなメリットを持ちながら,水分量による物性変化,成形加工性の低さ,構造物性の相関が未だ解明されていないというデメリットがあるそうです。そこで,クモの糸に匹敵する材料を作るために,蜘蛛の糸をよく知る必要があるということで,X線による構造解析などからクモが糸を生成する過程が判明したそうです。

 次に,中尾佳亮先生には『触媒を使ったものづくり』というタイトルで講義をしていただきました。特に触媒を用いた有機合成についてのお話で,現代有機合成の課題として,工程を減らすこと,副生成物を減らすこと,触媒化による反応の促進が挙げられます。炭素数を増加させる反応としてグリニャール反応やウィッティヒ反応などはノーベル賞を受賞しています。炭素鎖伸長反応を金属触媒で行えればノーベル賞だとも言われているそうです。講義の中でも興味深かったのは,人体を形成する生体高分子はそれぞれ一方の鏡像異性体のみを有しており,有効な薬物が一方の鏡像異性体であるのは当然であるということです。その昔,サリドマイドによる事故が発生し,原因はこの鏡像異性体でした。このため,不斉触媒を用いて反応を制御し選択的に鏡像異性体合成する必要があるとのことでした。現在では不斉合成による選択的合成がばっちり行われているようです。

今回も非常に興味深い内容の講義をお二方にしていただき,工業化学の凄さを知ることができました。

沼田先生,中尾先生,貴重なお話ありがとうございました。

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