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探究プロジェクト「文学模擬裁判」4日目
『羅生門』に登場する、老婆から着物を奪った「下人」に、どのような量刑を与えるべきかを、様々な視点から考える「文学模擬裁判」。
4日目、本番です。昨年度の最終日の様子はこちらです。
参加者たちも、被告人や証人が『羅生門』の時代をできるだけ再現した服装をしたり、弁護士や検察官がスーツを着たり、裁判官が法服を着たり、などと、「役になりきる」意識で、本番に臨んでくれました。
裁判は、札埜先生が作成して下さったシナリオを元に進みますが、被告人・弁護士は「無罪(および刑の減軽)」を勝ち取るため、検察官は「強盗罪」を求刑するため、時としてアドリブを交えながら、活発な審理を行いました。
今回は、昨年度の経験者がタッグを組んだ「被告人・弁護人」チームが、シナリオを大胆に削り(札埜先生の言葉を借りると、「必要なことだけを言うスマートな関東スタイル」)効果的な弁護を行いました。検察官も、次々と繰り出されるシナリオにない展開に対して、一歩も動じることなく対応していました。
論戦のあと、裁判官グループは別室に移り、判決を決めます。
30分間、悩みに悩んで、判決を考えました。
時間はあっという間に過ぎ去り、判決の時を迎えました。
今回、裁判官の2人が下した判決は、「過剰避難」を適用し、懲役2年・執行猶予5年、というもの。
裁判官側は、昨日までの準備段階では、最も重い実刑判決が適当だ、と思っていたそうです。しかし、今日行われたやりとり全てを総合的に考えた結果、執行猶予なしの実刑とするのは良くない、という結論に達した、とのことでした。
終わってから、ゆっくり振り返りの時間を取りました。
被告人役(中3女子)「昨年度は証人として、被告人の罪を認めさせる側だったので、被告人の気持ちを深く考えることはなかった。だが今回、被告人の立場に立ってみると、裁かれることの恐怖を強く感じた。異なる立場を経験したことで、多面的な見方ができたことは、とても良かった。」
裁判官役(高1男子)「裁判官は他のグループに比べてヒマだなと思っていたけれど、最後は他人を裁くことの重圧を感じ、裁判官がいちばん大変なんじゃないかと思った。最後の最後に、『知的ゲームではない』という言葉の意味が分かった気がする。」
証人役(中1男子)「人間が、対等の立場である同じ人間に裁かれることの怖さ、不条理さを身近に実感した。」
もう何百回と全国で文学模擬裁判をされてきた札埜先生も、中学生をメインに実施するのは初めてのことだったそうです。しかし、「中学生で、ここまでできるとは、と思わせるほど、素晴らしい文学模擬裁判だった」とお褒めの言葉を頂きました。
4日間、お疲れ様でした。またやりましょう。
弁護士の先生も、ブログで紹介して下さいました。