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2006年06月05日

教員研修会

 例年のこの時期に開催されている教員研修において、“新しい視点に立った学校づくり~高志・自律・努力~”というテーマで約1時間お話ししました。
 丁度、雲雀丘学園に赴任して2ヶ月になりますが、この間内外問わず実に数多くの方にお会いし、忌憚のないご意見をいただきました。そこから、ようやく全体の輪郭と課題が明確になりつつありますが、正直申し上げて細部についてはまだ十分に把握できていないのが実情です。この段階で、具体的な取り組み計画を発表するには現実とはかなりのギャップが生じる恐れもあるため、今回は学校経営に対する基本的な考え方を説明いたしました。
 具体的には
①これからの社会がどうかわっていくのか 
②社会で役立つためには何が必要なのか
③教育界をとりまく環境はどうなっているのか
④新しい学校づくりをどう進めていくのか
⑤家庭と地域との連携の必要性
について、パワーポイントを使って説明しました。少し盛りだくさんの内容になりましたが、中心となるのは勿論これからどのような学校をつくっていくのかということです。
 これまで学校は単年度で運営していくというやり方が多かったようですが、人・物・金・情報・時間といった資源を有効に活用することにより、“生徒をいかに育てていくか”言い換えると社会に役立つ力をどれだけ伸ばすことができるか、という「学校経営」視点が不可欠です。
 そのためには経営の枠組みをしっかりと構築していかなければなりません。
1.どういう学校にするのかというビジョン
2.将来のあるべき姿  
3.現状とのギャップを埋める戦略
4.中期スパンでの計画
5.誰が何をいつまでにどうするといった具体的な行動プログラム
といったものが必要です。その上でP-D-C-Aのサイクルをまわしていかなければなりません。本校のビジョンは“人間教育の充実”と“学力の向上”を両立させた関西を代表する学園です。目下、将来あるべき姿に向けた戦略づくりに取り組んでおり、近日中に骨子を固めていく予定です。
 学校づくりが成功するかどうかは、全員のベクトルが一致するかどうかにかかっています。今後ともこのような研修会の実施やコミュニケーションをはかり、教職員が一枚岩になって新しい学校づくりを目指していきたいと思っています。

2006年06月04日

増え続ける世界の人口

 元気な挨拶の後、合同朝礼で先週予告していた世界の人口というテーマで話をしました。
 今地球上では政治・経済・領土・防衛・宗教・環境等さまざまな問題が起こっていますが、これらのベースにあるのは人口問題なのです。
 私はこれまで色々なところで話をする機会がありましたが、驚くべきことに「世界の人口がどれくらいか」という質問に対し的確な答えが返ってこないというのが実情です。また、今後世界の人口が増えるのか減るのかという質問に対しても「減る」という答えが相当数返ってきます。今回も同じ質問をしてみましたが、生徒の中にも世界の人口が減ると思っていた人が非常に多いということがわかりました。
 現在世界の人口は65億人ですが、推計ではBC0年(約2000年前)にはわずか2億人、それから1000年後には約3億人だったと考えられています。ところが1800年には10億人、1900年には20億人、そして2000年には60億人というように急増してきているのです。しかも,この100年間では実に3倍になっています。今後更に毎年7~8000万人の人口増が見込まれますので,10年後には72~73億人になり、20年後には80億人に達すると予想されています。
 20世紀は工業化が飛躍的に進展しましたが、その反面,酸性雨や地球の温暖化、オゾン層の破壊・異常気象といった自然環境の破壊や食料、水、エネルギー不足といった問題が生じてきています。生徒達が社会に出る時には、これらがますます深刻な状況になっているのは間違いありません。しかし、これらをすべて悲観的に考えるのではなくプラス思考で捕まえるなら、世の中に世界規模で貢献できる仕事は無数にある筈です。幸いなことに、今日本でこのような課題に真正面から取り組んでいこうという動きが活発化してきました。そして、多くの分野でさまざまな芽が育ち始めているのです。このように考えていくと、世界の未来は明るいのではないかと思います。
 合同朝礼は原則として毎週(雨天を除く)開かれることになっていますが、生徒達には“校長の10分間の授業”と伝えています。次回は、以前勤務していた“インドネシアと水”というテーマで話をする予定です。

2006年06月02日

ビーンズツリー研修会に参加して

 大阪府立高校の現職・退職校長と教頭が中心となって開催しているビーンズツリー研修会に参加しました。この会は2ヶ月に1回のペースで教育界の動向を勉強したり、情報交換することを目的として開催されています。通常は校長会と教頭会が別々に運営されていますが、今回は本年度初めてということで合同で実施されました。
 できるだけ視野を広げるために外部の方のお話を聞くことにしていますが、今回は九州大学大学院の八尾坂修教授に“今後の学校改善と学校評価のあり方”というテーマで講演いただきました。
 八尾坂教授は前任の奈良教育大学時代に、現在大阪府で施行されている“評価育成システム”の骨子づくりにあたって中心的な立場でご指導いただいた方であり、これまで個人的にも何回か学校経営について意見交換させていただいています。
 昨今、学校の自己点検や自己評価を各小・中・高・幼稚園が実施し、その結果を公表するような動きが出はじめていますが、恐らく近い将来制度化されることになるのではないかと思っています。しかしこれらを実施するのにあたって大切なことは、“指示されたからやる”とか“やらされているという気持ち”ではなく、“学校を良くするために何をすべきか”という視点が必要です。
 学校がその機能をどの程度果たしているのかを総合的・客観的に評価し、その結果が好ましいと判断できる事項については継続させ、改善すべきと判断される事項については全教員が一丸となって方策を講じていくという考え方が大切です。
 アラ探しをするような気持ちが評価する側にあったり、被害者意識が評価される側にあるようでは到底学校評価はうまく機能しないでしょう。学校を良くし、生徒を育てるという一点に両者の気持ちが結集しなければなりません。
 本校も目下新しい学校づくりを目指してさまざまな検討を重ねていますが、自らが実践してきたことを客観的に評価し、建設的な取り組みに反映させていくという仕組みを作り上げていきたいと思っています。

2006年06月01日

慶應義塾大学SFC連携講座の開催

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 慶應義塾大学総合政策学部ならびに環境情報学部との第一回連携講座を開催しました。本校では2004年度から本講座を開設していますが、毎回学部長をはじめ大学の教授が直接講義を担当していただき本校の生徒に大学学部で学ぶ「学問の概要」と「学ぶことの意義」を伝え、学問に対する関心や探求心の高揚に資することを目指しています。今回は総合政策学部の小島学部長様と河添教授様にお越しいただき、「両学部の概要・理念および入試について」というテーマでお話しいただきました。

 両学部と高大連携を行っている学校は全国(附属高校は除く)でも本校のみで、公開講座を開講している高等学校は他にはありません。また両学部は全国で初めてA・O入試を導入したことでも知られていますが、この高大連携講座は両学部が行う一般AO入試に候補者を推薦する「推薦AO入試」も兼ねています。因みに昨年までに4名の生徒がこの講座を受講して入学しました。


 冒頭、小島学部長のお話で「同大学は2008年に創立150周年を迎える長い歴史と伝統を有している。毎年の卒業式には卒業後25年経た方を、入学式には卒業後50年の方を招待しているが、時間の許す方はほとんどご出席いただいている。このように愛校心を持ち全国的に社会で活躍されている素晴らしい方が数多くおられる。」ということを紹介されました。


 河添教授からは学部の詳しい内容や学生達の取り組みについての説明がなされましたが、その中で“社会においては課題を発見しその解決のために情報を集め企画する。そしてその企画について相手を説得していくというプレゼンテーション能力が極めて大切である。皆さんはこういった力を是非育てて欲しい。”ということをお話していただきました。生徒38名・保護者29名の出席者全員がお二人のお話しに引き込まれ、1時間半はあっという間に過ぎてしまいました。お話の後には生徒達から活発な質問が出されましたが、通常の学校の授業では得られない貴重な経験をしたのではないかと思っています。これから7月まで更に2回本講座が開かれることになっていますが、“自らの進路は自ら切り拓く”という思いで積極的に取り組んで欲しいと思っています。


 ご多忙中にもかかわらず、本連携講座のために遠路お越しいただきました小島学部長様、河添教授様に心より感謝申し上げます。