読書について
オリエンテーション期間中にお子さまたちに図書室の使い方を説明すると同時に、読書をすることの意味を少しだけ説明しました。自然学舎でも毎日1時間ずつ読書の時間をつくりました。4月中は朝の10分間を読書の時間にしました。小学校でも読書指導は熱心に行われています。お子さまに「なぜ本を読むのか」と問われたときの答えを用意できていますか。
今回は、斉藤孝さんの「読書力」を引用しながら説明します。5年くらい前に出た新書ですし、筆者は話題書をたくさん出しておられますから、お読みになった方も多いのではないでしょうか。
まず、読書は自己形成にとって強力な道であるということです。特にこれから自我が目覚めてくる中学生の時期にとって、人生の指針となるような書物に出会うということはとても大切なことだと思います。小学生でも読める楽しい読み物から、少しずつ「精神の緊張を伴う読書」へと移行していくことが必要です。中学生としてはまず文庫本で文学系の名作を読むのが良いかと思います。中学3年間に文庫本を100冊読むと、月に3冊のペースになります。
また、「一人になる」時間の楽しさを知ることも自己形成には大切です。一人きりで静かに本と向き合うことで、著者と向き合うことができ、優れた人の選び抜かれた言葉を、自分一人で味わうことができます。今の子どもは一人になることに耐えられなくてケイタイで誰かに常時つながろうとしているように思います。
そして、言葉を知ることも読書の中で身につきます。言葉の種類が少なければ思考も粗雑になります。考えるということを支えているのは言葉の豊かさなのです。しかし、日常生活で使っているのは話し言葉です。書き言葉のほうがヴァリエーションは豊富なので、感情や思考も複雑で緻密なものになっていきます。書き言葉を身につけるのにも読書は最良の方法です。
いかがでしょうか。お子さまに本を読ませたくなりませんか。そのためには、親御さん自身が楽しそうに本を読む習慣を身につけていただくのが、最短の方法だと思います。