第54回中学校卒業式を終えて
3月19日(木)、奈良東大寺二月堂のお水取りも済み、本格的な春の訪れを感じさせる暖かな天候の下、第54回目となる中学校の卒業式を行ない、159名に卒業証書をお渡ししました。
私は式辞の中で二つのテーマを取り上げました。
一つ目は「命の大切さを知る」ということです。先週『おくりびと』の映画鑑賞を行ないましたが、この作品は人間の死や命の大切さについて、我々に多くのことを語りかけてくれました。生徒達もそれぞれ自分なりに色々な思いを持ったと思います。人はこの世の中に生まれてきたことに対して、あまり深くは考えていないかも知れません。しかし、生を受けることができたのは、お父さんとお母さんがいたからです。そして、お父さんとお母さんにも両親がいます。このようにして、一世代遡るごとに2人、4人、8人、16人と倍々になり、仮に十世代遡ると実に1024人ということになります。十世代と言えば、ほぼ300年前ということになりますが、更に遡ると膨大な数字になってきます。これらのすべての人がいなければ、今地球上にいる人は生まれてこなかったということになるのです。
次に、この度高校校舎建て替えのために、移植したメタセコイヤのルーツに触れ、この木は実に数百万年もの命を受け継いでいること、また、人間は毎日肉、魚、野菜、米といったものを食べているが、すべてこれらの命をいただいていることを是非認識しておいて欲しいという話をしました。
二つ目は「意識を切り替える」ということです。特に本校のような中高一貫校については学習環境が大きく変わらないということもあって、高校に進学しても中学生の気分が抜けきらないということになりがちです。そうなると、高校に進学しても高校1年生ではなく、中学4年生ということになってしまいます。言うまでもなく高校は中学とは異なり、義務教育ではありません。中学卒業を大きな節目づくりの機会ととらまえ、意識を切り替えることが何よりも大切です。
高校の入学式は4月8日ですが、それまでの20日をしっかりと高校生活に向けての準備期間にして欲しいと思っています。