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相撲の歴史と伝統

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  わが国の国技と言われている相撲は、最近では残念なことに人気が低迷し、野球やサッカー、テニスゴルフ等に主役を奪われつつあります。更にこれに追い討ちをかけるように不祥事が相次ぎ、ついにNHKが大相撲名古屋場所のテレビの放映を取りやめることになりました。今場所は横綱白鵬が全勝優勝を遂げましたが、天皇賜杯の授与もなく寂しい千秋楽でした。このままの状態が続けば、存続するのも難しいのではないかという声も囁かれ始めています。
  相撲は実に古い歴史を持っています。このことは「日本書紀」の中に、紀元前23年7月7日、出雲の野見宿禰(のみのすくね)が、大和の暴れ者 当麻蹴速(たいまのけはや)と天皇の前で対戦して勝ったという記述があることからも分かります。「すもう」の語源は争うという意味の「すまひ」が「すまふ」となったと言われており、古代には格闘技としての意味合いが強いものでした。その後平安時代には力のある男性が神前で天下泰平、子孫繁栄、五穀豊穣、大漁を祈り、その力を捧げる神事として確立しました。続いて鎌倉時代以降の武家社会には武道として奨励されることになり、源頼朝や織田信長は度々上覧相撲を催したと伝えられています。更に江戸時代には芸能や職業スポーツとして位置づけら、「大相撲」という形での組織化がなされ、今日の大相撲の基礎が築かれることになったのです。
  世界には、さまざまな格闘技がありますが、相撲の特徴は〝丸い円の土俵〟〝着用するのはまわしのみ〟〝髷(まげ)を結う〟等は独特のものであり、土俵入り後に拍手を打って、両手を広げ、手の平を下に向ける意味は「私は武器を持っていません、素手で、正々堂々と勝負します。」 という意味なのです。
そして、それ以上に天皇や皇太子等のロイヤル・ファミリーとの結びつきが強いということがあげられます。かつて天皇が神事祈願される相撲節会(すまいのせちえ)では相撲が催されましたが、この際天皇は北側に座られることになっていました。東の横綱が最高位というのも天皇の左側に位置しているからであり、むこう正面が南というのもこの理由なのです。
  現在、外国人力士が増えたことにより、相撲界が大きく変わりつつあると言われていますが、このような相撲の歴史や伝統、マナーをしっかりと伝承していくことが大切であると思っています。