「大人版PISA」二分野で日本1位
日本の子どもたちの学力低下が論じられています。そのときのデータとして、OECD(経済協力開発機構)が行った国際学力調査(各国の15歳対象)が取り上げられます。この調査(PISA)は、子どもの「知識量」をはかるのではなく、「実生活で役立つ能力」をどれだけそなえているかを 調べる目的で行われ、読解力・数学的応用力・科学的応用力の3項目が調査されます。2000年、03年、06年、09年、12年と5回調査は行われ(12年の結果はまだ)、読解力(8→14→15→8位)、数学的応用力(1→6→10→9位)、 科学的応用力(2→2→6→5位)と全体的に下降傾向になっているところから問題視されています。
一方、つい先日OECDは、2011〜2012年に初めて実施した国際成人力調査(16〜65歳を対象)の結果を発表しました。「大人版PISA」と呼ばれるものです。これによりますと日本は、3分野のうち読解力・数的思考力の2分野で1位と好成績でした。なお、ITを活用した問題解決能力は10位です。ただ、16〜24歳に限った結果をみると、読解力は1位、数的思考力は3位、IT能力は14位と少し下がります。ここにもPISAの2000年以降の下降傾向が反映していると言えるかも知れません。反面、25歳以上の成績は非常に良いことになります。
日本人の学力の高さを、学生時代の知識の「詰め込み」の賜物だと紹介している海外メディアもあるようですが、義務教育の長さや高い高校進学率と高校での幅広い必修科目、日本独特の教育システムの反映の結果だということは間違いありません。古いもののなかに、引き継がなければいけない大切なものがあることを教えていると思います。