新中1の皆さんへ
今春大リーグ・レッドソックスに移籍した松坂大輔投手の注目度は相当なものらしい。地元新聞の「ボストン・グローブ」電子版では,「「1969年のアームストロングの人類初の月面着陸以上のインパクト」と報じている。まして松井秀喜と対戦する際には,「国際的には69年にアームストロングが人類史上初めて月面を歩いた瞬間よりも更に大々的に報道されるであろう」と伝えている。少々大袈裟に過ぎるように思うが,とにかく,歴史的大事件に匹敵するほど,地元では関心が高いことを言いたかったのだろう。
確かに,あのとき,世界の人々はじっと待っていた。今から38年前,1969年7月21日(月)午前5時17分39秒(日本時間),モノクロの薄暗い画面の中,タラップをゆっくり降りていった足が,止まった。人類が初めて地球外の大地に立った瞬間だった。しかし,それは,見ていて,あっけないほどに自然に通り過ぎたように思う。アームストロングは,このとき,有名な言葉を残したが,その後,感傷に浸ることなく淡々と任務をこなした。なぜか今でも,その姿が妙に記憶に残っている。あれだけの偉業を果たしたにもかかわらず,なぜ・・・・・。
「はじめの一歩」。――― 誰も経験したことのない世界に,ひとり先頭に立って踏み込む瞬間(とき),アームストロングは,どんなに不安を憶えたか,想像に難くありません。でも,マイクを通して聞く彼の声は冷静でした。あの瞬間,彼は気持ちを決め,任務を遂行することだけを考えたのでしょう。
だから,消えるまでに100万年はかかるだろうと言われるあの足跡は,「勇気」の象徴だと私は思っています。「はじめの一歩」は,心が身体を動かしているんですね。