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大学改革

 大学・短大側としては質の良い学生が欲しいと思い、学生側はできるだけ質の良い大学・短大に入りたいと思います。少子化に伴い、大学・短大側が危機感をもつのは当然で、今までどおりのことをやっていれば、同年齢の人口が減った分だけ質が低下することになるからです。そこで、学部の新設や改組ということになります。
 一方、受験生側としては、むしろ好都合で、同年齢人口が減れば、その分だけ競争相手が減ることになり、従来なら望むべくもない「高嶺の花」の大学が入学可能になってきます。これが前項で述べた二極化の一要因でもあります。従来なら、もう少し偏差値の低い大学にを受験するはずの学生が難関校に殺到した結果、競争率は加熱することになります。今年度の入試では「全入時代の到来」とはやされ、私立大学はかなり易化するものと予想されたものが、いざ、蓋を開けてみると、4%も増加し、特に関西圏では8%と全国でも最も増加率が高く、中でも都会に集中する私立総合大学で、いわゆる関関同立、産近甲龍と呼ばれる有名校・伝統校は依然として人気があります。特に今春は関西大学が政策創造学部の新設、工学部の改組を、更に、新方式の入試を行ったためか人気が集中しました。
 このように、積極的に学部の新設、改組を行っている大学は、定員割れに苦慮している大学だけではなく、難関私大も例外ではありません。現に、来年度には同志社大学が生命医科学部、スポーツ健康科学部の新設とともに理工学部の改組を予定しており、立命館大学はびわこ・くさつキャンパスに薬学部を新設予定、関西学院大学でも人間福祉学部の新設を予定しており、09年度には聖和大学と合併の予定です。甲南大学は知能情報学部を新設、京都産業大学はコンピュータ理工学部と外国語学部に国際関係学科を、近畿大学は文芸学部に英語多文化コミュニケーション学科と文芸学部文学科に2つのコース新設予定です。まさに、大学改革花盛りといった感じですが、こういう新設学部・改組の加熱は難関大の危機感の反映で、その改革の意図は成功していると言えます。危機感といえば、慶応大学と共立薬科大学が合併が話題を呼んでいますが、これも両大学当局の危機感の強さを物語るものでしょう。関西圏では大阪大学と大阪外国語大学の合併という大型の大学改革があります。二極化の要因を先ほど受験生側の心理から考えましたが、大学側のこういう姿勢が受験生を呼び込み、二極化を加速させる要因になっています。
 今年4月末までに届け出のあった学部増設は28大学40学部、学科増設が30大学32学部41学科となっています。5月以降の届出分は、最終的には11月末に正式に認可されますが、その数は学部増設が14大学14学部、学科増設が13大学14学部14学科で、これに加えて大学そのものの新設もあり、私立大学全体の定員は3千人増加ということになります。新年度の増設分だけでこの数ですから、総体的にみて、少子化の最中にこんなに数を増やしてどうなるのだろうと、余所事ながら心配になります。25日の項で「あだ花の狂い咲きの奇観を呈している」などと皮肉めいた表現をしましたが、受験生にとっては好都合なことに違いありません。新設学部・新設学科の中には名称だけでは見当のつかないものがあるので、よく確かめる必要があります。その内容は大学の発行している案内などで検討してください。
 大学改革の中で、組織改革以外に大学は様々な入試改革を行っています。キャンパス移転もその一つです。入試方式は年々複雑さを増しています。試験日自由選択制、地方試験、全学統一試験、大学入試センター利用入試など様々でこれも受験生にとって好都合です。受験の際はいろいろ工夫を凝らして併願作戦を立ててください。
 ともあれ、従来の難関校が易化していると単純に考えるのは禁物ですが、新設学部を考慮に加えれば、全体としては定員増加になるわけで、以前より少しは入り易くなっているのは事実です。果敢に挑戦してみてください。併願作戦,、「滑り止め」作戦など工夫をして、なにしろ頑張ってください。

文責 山本正彦