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「マジックを教えてもらった」
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「不思議」と「マジック」をつなぐもの
  ~「ちょっとユニークな」社会学者E.ゴッフマンが考えたこと~

工藤宏司 先生 (大阪府立大学人間社会学部人間科学科 講師)

osakafuritsu.jpg アーヴィング・ゴッフマンという社会学者がいます。彼は,わたしたちが日常生活を送る中で,「他者」とどのようにやりとりをするのか,に常に関心を持って,人々の具体的なコミュニケーションの場をいつも観察していました。たとえばゴッフマンは,エレベーターに乗った人が必ず上を見上げて,エレベーターが今何階にあるかを示す表示板を見ているのはなぜか,に疑問を持ちました。その結果,彼らは「今何階にいるのか?」に関心をもっているからではなく,もっと別の理由がある,と考えました。そこには,個人的な関心や思いとして説明するには無理があるもっと別の次元の理由,つまり「社会的な理由」があると考えたのです。わたしの講義ではゴッフマンが考えたこの「社会的な理由」に焦点をあてます。彼によれば,わたしたちが社会の中でさまざまに振舞うことのほとんどすべてには上記のような「社会的な理由」があります。言い方を変えれば,わたしたちが他者と一緒にいる場にはわたしたちの個人的な思いから独立している規範(決まりごと)があるのです。今回の講義では,この「規範」の存在をわたしたちに教えてくれるものとしてゴッフマンが思いついた「フレイム」という考え方についてお話したいと思います。具体的に考える素材は「マジック(手品)」についてです。わたしたちは「マジック」を一つのエンターテインメントとして楽しみますが,ゴッフマンによれば,これも一つの「社会的なお約束」の中で成立していることになります。それはいったいどういうことなのかを,考えてみましょう。

大阪府立大学人間社会学部

〔生徒の感想〕

  • 先生もおもしろいし,楽しかった。今日,教えてもらったマジックは,今度やってみようと思いました。また,自分が不安になる理由が分かった。最近,自分の感情が分からなくなるのでとてもよかった。
  • マジックから”不思議”に,そして,そこから”予期”や”解釈”と話が広げられて,とてもわかりやすかったです。日頃から何気ない行動が決められているルールだと認識しないで行っていたことにすごく興味を持ちました。本当に人間の捉え方は不思議なことでいっぱいだと改めて感じました。