ピカソとマティス
20世紀美術の巨匠と言われるスペインの画家パブロ・ピカソ。彼の描いた「アルジェの女たち」の連作の一つが、先日、ニューヨークで開かれたオークションに出品され、芸術作品としては史上最高の1億7936万5000ドル(約215億円)で落札、話題になりました。
ピカソ本人や彼の描いた絵は美術の教科書などに取り上げられています。でも「何を描いているのかわからない・・・」と言う人も多いですよね。
ピカソの生み出した代表的なスタイルの一つ、キュピスム(立体主義)は、上、横、正面と多数の視点から見えるものを1つの画面の中に描く技法です。「アルジェの女たち」もその手法で描かれた作品です。
ピカソが友人でライバルでもあったフランスの印象派画家アンリ・マティスの追悼のために描いた作品だそうです。
マティスとビカソは、同時代を生きた宿命のライバルにして唯一無二の友人同士。憎まれ口をたたきあっていても、同じ方向を見つめながら、でもあくまでも違うものを描き続けていたそうです。
そんな2人の巨匠の展覧会開催に関わった学芸員同士の友情と別れを描いた物語が新しい出口/原田マハ
米国のニューヨーク近代美術館(通称:「MoMA」)は、20世紀以降の美術の発展と普及に多大な貢献をしてきたモダンアートの殿堂。その美術館を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた短編集 The Modern モダン(文藝春秋) のなかの一つです。
左:表紙の絵は、ピカソの『鏡の前の少女』 この作品も「MoMA」所蔵です。
右:ピカソの伝記もあります。ボーダーTシャツがトレードマークでした。
美術館のキュレーターだった頃、「MoMA」に半年間ほど派遣された経験を持つ原田さん。その時、得た知識をもりこみ、芸術の面白さと「MoMA」の歴史や所蔵作品の魅力あふれる「美術館」小説です。読んでいると、作中に出てくる絵画がどんなものなのか確かめたくなります。