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『沈黙の春』 という本

 現在パリでは、地球温暖化対策に向けて国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開かれています。地球環境の劣化は、今、私たちが抱えている大きな問題です。

 環境問題について書かれた本はたくさんありますが、世界が環境問題に取り組むきっかけになったともいわれるのが、1962年米国の生物学者・レイチェル・カーソンによって書かれた 沈黙の春(Silent Spring)です。
  化学薬品による環境汚染にいち早く警鐘を鳴らしたこの本は、半世紀以上たった今も、読み継がれています。先生から薦められた人もいるのではないでしょうか。

 豊かな自然と一体になって、四季折々の恵みを受け人々が幸せに暮らす町に、ある時、暗い影が射す。まず家畜が、そして人々が次々と病気になり命をおとす。春を告げる鳥たちの声は聞こえず、リンゴの木はあふれるばかりの花をつけたのに、その花粉を運ぶミツバチの羽音が聞こえない。小川からも命の気配が消えた。春が来た、けれど沈黙の春だった。  そんな寓話から始まります。
 
 執筆のきっかけとなったのは、殺虫剤撒布による鳥への被害を訴えた友人からの手紙でした。カーソンは自然を破壊し人体を蝕む化学薬品の乱用の恐ろしさを訴えます。
 それに反発する化学業界や産業界から中傷をうけながらも書き上げた1冊の本は、結果、瞬く間にアメリカ全土に環境保護運動を広め、当時のケネディ大統領やアメリカ政府さえも動かしました。
 
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甥っ子と過ごした日々を描いたセンス・オブ・ワンダーレイチェル・カーソンはこう考えた/多田満 自伝など、関連書籍もあります。 

 先の寓話の最後に、沈黙に支配されたのは、魔法にかけられたのでも、敵におそわれたわけれでもなく、人間が自らまねいたわざわいだ、と書いています。
 半世紀前に、カーソンが提起した問題の有効な解決方法は今も見つけられていません。そしてCOP21では、地球温暖化対策の新たな枠組みがどうなるのか、世界中が注目しています。