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ふみの日

 毎月23日は「ふみの日」です。手紙を書くことを普及・啓発する運動として40年あまり前に始まりましたが、最近は郵便を利用するのは年賀状くらいで、ほとんどがメールですませることが多くなっていますね。

 そんなふみの日に、すべて書簡の往来のみで展開されるちょっとかわった1冊を紹介します。
  終業式/姫野カオルコ (KADOKAWA)
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 「体育祭の後に謹慎処分になったっんだって」そんな同級生の噂話が書かれた手紙から始まります。それは授業中に先生の目を盗みこっそり書かれた手紙の様で、仲の良い女子二人の間で1日に何度もやり取りされています。
 進路のこと、好きな人のこと、先生のこと、悪口に噂話、すぐ近くにいて毎日会っているのに綴られる手紙の数々。
 物語は、同じ高校に通う男女4人が進学、就職、結婚、と時を重ねながらやり取りする手紙やはがき、FAXを中心に描かれます(間に色々な人の手紙がはさまれています)
 若い時はストレートな感情を書き綴っていたのに、大人になるにつれて書いたけれど出せない手紙が増えていったり、書きかけの手紙と書き直した手紙との対比で、その人の気持ちの揺れ具合も感じられたり。そして、はっきりと書かれていないのに、手紙を通じて彼らの出会いや別れが見えてきます。
 相手を思ったり行き違いがあったりしながらも、お互いずっと気にかけていた4人の20年にわたる友情を描いた作品です。