16歳の小説家
昨年、皆さんと同世代の作家が誕生しました。
現在、愛知県の学校に通う高校2年生・青羽悠さんです。昨年の『小説すばる新人賞』という文学賞を史上最年少で受賞しました。この文学賞は、「桐島、部活やめるってよ」で当時20歳の朝井リョウさんも受賞しています。
星に願いを、そして手を。/青羽悠 (集英社)
幼なじみの祐人、薫、理奈、春樹は、中学時代、宇宙への熱い思いを語り合い、将来を夢見ていました。でも、高校卒業後、それぞれが現実を受け入れ社会人となり、いつしか疎遠になっていきます。
ただ一人理奈だけは、共に宇宙を目指すと約束したのに公務員となった祐人への意地と、宇宙への思いを胸に大学院へ進学しています。
そんな彼らが、幼いころ親しくしていた図書館長の急逝の知らせを受け再会します。 それを期に再び集まる機会が増えた4人は、館長が残した謎のファイルの読解に取り組むことになります。あの頃、皆でいれば最強だと思っていた、そんな4人が導きだす答えとは。
青羽さんはこれまで、「何かになりたい」という漠然とした欲だけがあった、と言います。科学館に来たら科学者になるぞと思うし、音楽聞いたら楽器をやろうと思うし、小説を読んだら小説を書きたくなる。
でもこのままだと夢見がちなだけで絶対に何も起きないから、これはもう書かなくてはと思って1年かけて書き上げたのがこの作品です。
今回、自分の少し上の世代を書いたのは、不安に思っている少し先の未来を考えてみたい、そしてその未来を肯定したいという思いがあったからだそうです。