« ひばりの図書室9月号 | メイン | 「ひよっこ」のミニチュア »

大阪ほんま本大賞

 この夏、大阪ほんま本大賞に選ばれた、幻坂/有栖川有栖 (KADOKAWA)
大阪の問屋と本屋が「ほんまに読んで欲しい1冊」を選び、その本の売り上げの一部を大阪府下の児童福祉施設への図書寄贈するというプロジェクトも今年で5回目です。

       ooskhnmm.jpg
 

 大阪で生まれ育った有栖川さんが「ないなら自分で書いたろ」と思い書きあげた怪談です。
大阪の街の中央を背骨の様に南北に貫く天王寺区上町台地。坂の多いこのエリアのなかでも、最も大阪らしいと選んだのが西側の<天王寺七坂>付近。その7つの坂を舞台にした作品集。
 逢坂や愛染坂といった実在の坂のタイトルがついた7編と大阪で亡くなったと言われる松尾芭蕉の最期の数日間を怪談風に描いたものなど2編からなります。
 坂に棲みついている猫たちの写真を撮るために訪れた女子高生に起こる奇妙な出来事(口縄坂) や小さいときから生きていないものが視える青年の話(逢坂)、心霊探偵が登場するものもあります。

 身の毛もよだつ恐い話ではなく、秋に似合うちょっと幻想的な怪談です。