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ホーキング博士のこと

 「車いすの天才物理学者」として知られた英国のスティーブン・ホーキンス博士が先日、亡くなりました。76歳でした。博士は宇宙はどんな過程を経て現在の姿になったのかを生涯をかけて研究、宇宙の見方をかえる仮説を次々と発表しました。代表的なものが「宇宙には始まりがある」という理論です。

 博士は21歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病と診断されます。ALSとは筋力が徐々に衰え運動したり発声する能力が失われていく病気です。30代で車いす生活が始まり、40代で声を失い人工音声装置を使うようになります。しかし持ち前のユーモア、好奇心と行動力(熱気球で空を跳び、潜水艦で海にも潜り、無重力実験にも挑んだ!)は持ち続け、多くの人に物理や科学に興味を持ってもらいたいと晩年まで世界の人々に宇宙の魅力を伝え続けました。

 1988年に宇宙の成り立ちについて初めて一般向けに書かれたホーキング、宇宙を語る(早川書房)が世界中で大ベストセラーに。
 2008年からは、娘のルーシーさんと共に児童など幅広い層にむけた 「スペースアドベンチャー」シリーズ/ルーシー&スティーブン・ホーキング(岩崎書店)を刊行しています。

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 知りたがり屋の小学生・ジョージは、ペットの豚・フレディの後を追いかけて隣に住む不思議な科学者・エリックと出会います。エリックは宙空間への扉を開くことができるスーパーコンピューター・コスモス(会話ができる!)を開発していて、ジョージに宇宙について様々な講義をしてくれました。
 ある日、ジョージはエリックの娘アニーと一緒にコスモスの力を借りて書斎から宇宙空間へ飛び出すことに成功。彗星の群れを見たり、土星を旅したり、広大な宇宙の中で地球が、どんな星なのかを知っていきます。
 博士は作中に多くの解説を盛り込んでいます。この冒険物語を通じて若い人に宇宙の神秘を伝え、わかりやすく理論物理学の考え方を説明したかったのだそうです。