学力の向上について⑨
今月は公開授業旬間ということで、教員間で授業を公開し合い、授業の質を向上させる取り組みをおこなっています。私は今日、A組の英語1の授業を見せていただきました。クラスの半分しか生徒がいない上に、担任が見に来たということで緊張したのか、担当の先生も驚くほどとてもおとなしい様子でした。落ち着いた雰囲気の中で授業を聴けているから良さそうにも見えるのですが、一つだけ気になったのが復唱するときの声が出ていないということでした。
何かを覚えるときには次のようなステップを踏むと効果的といわれています。
1 情報を「意識的に」脳に入力する。
2 情報を脳の中で保持し、入力した情報を解釈する。
3 脳の中にある情報を出力する。
まず、意識的に入力するためには、その情報を出力するという前提が必要です。ただ聞くのではなく、それを誰かに伝えなければならないという前提で聞くならば、要点を意識的に捉えようとします。その要点を断片として、話全体も思い出しやすくなります。ご家庭であれば、授業でどんな話をしていたかを聞き出していただくのもよいかと思います。
次に、その情報を長く脳に留めておくことが必要です。長くといっても数秒のことです。口ずさんだり、書き写したりする。すると黙読とは違い、ある程度の言葉のまとまりを一時的に脳の中に保持する必要がでてきます。また、音読するためには、意味の分からない単語はできるだけ無くさなければなりません。意味がつかめていない文はスムーズには読めないのです。授業で気になったのはこの部分です。話したり、書いたりするという出力の練習が弱いと、学力は向上しません。
英語はお子さまにとって不安要素の多い教科です。中学校で初めて授業を受ける、聞き慣れない文法,覚える単語の数が多いなどを考えると仕方がないと思います。できるようにならなければその不安は解消されません。そのためには、文章を音読させながら、書かせること。それが正しいかをチェックしてあげることが重要です。ご家庭で毎日20~30分見ていただけると、お子さまがこの先、英語を苦手にしないで済みますよ。