こんな本を読んでみませんか17
一昨日は日本神話や古事記を紹介しました。今日はもう少しなじみのある「昔話」を取り上げます。「一寸法師」「浦島太郎」「物ぐさ太郎」などの昔話は、親御さんに語ってもらったり、絵本を読んだり、あるいはテレビを見たりして、みんなの共通認識としてストーリーやテーマが理解されています。これらの昔話の多くは、室町時代から江戸時代の初期にかけてつくられた「御伽草子(おとぎぞうし)」とよばれる本から生まれてきました。
今日紹介する本は大岡信が現代語に訳した「おとぎ草子」です。岩波少年文庫から出ています。大岡信は「折々のうた」などで知られる現在も活躍中の詩人です。細部まで生き生きと描かれているので、中学生の君たちでも十分に楽しめると思います。また、講談社からは清水 義範やねじめ 正一が語る「おとぎ草子」が出ていて、同じ話なのに少しずつストーリーが異なっています。もちろん、語り口調はずいぶん違ったものになっていますから、比べてみるといいかもしれません。
親から子へ語り継がれる「昔話」は文化の継承の一つです。あなたたちが幼いときに、親御さんから寝物語として聞かされていた民話や昔話を、将来あなたたちが自分の子どもに伝えていかなくてはなりません。そのときに「御伽草子」を読んだ経験があれば、幼いときの記憶が曖昧でも、自分が語り手になったときに話が頭の中から湧いてくるように出てくると思いますよ。A.M.