こんな本を読んでみませんか18
芸術の秋は、物思いの季節、読書の秋でもあります。試験が近づいてきてなかなか本を読む気にはなりにくいかも知れませんが、勉強に疲れたときに手にして欲しい本もあります。今回はそんな本を1冊紹介します。中学生を対象に書かれた文章ですが、中学1年生は精神年齢に幅がありますから、全員が読めるわけではありません。どちらかというと前もって親御さんに読んでいただきたいと考えています。
今回紹介する本は池田晶子さんの「14歳の君へ-どう考えどう生きるか」(毎日新聞社)です。「14歳からの哲学-考えるための教科書」の著者でもある池田晶子さんは慶應義塾大学文学部哲学科卒業。専門用語を使わずに日常の言葉を用いて「哲学するとはどういうことか」を語る気鋭の哲学者です。残念ながら、今年2月にがんで亡くなられてしまいましたが、短い人生の間に書かれたこれらの作品は中学生にとって、「自身の存在や生きていくことの意味」を考えるきっかけになるのではないでしょうか。
「友愛」「個性」「性別」「意見」「勉学」「歴史」「社会」「道徳」「戦争」「自然」「宇宙」「宗教」「言葉」「お金」「幸福」「人生」の16のテーマについて、エッセイ風に読みやすく書かれています。自らが考える力に目覚めることで、不幸な時代を生き抜く意味に気づいて欲しいという著者の言葉に、考えさせられるのは子どもだけではないような気がします。A.M.