こんな本を読んでみませんか22
今回は池間哲郎の「あなたの夢はなんですか? 私の夢は大人になるまで生きることです」を紹介します。タイトルだけでもずいぶん衝撃的ですが、内容はさらに深刻です。物の豊かな先進国日本に住んでいる私たちにとってごく当たり前の生活が夢にしかならない地域があることを知るのですから。
著者はゴミの山「スモーキーマウンテン」でゴミを拾って生活しているフィリピンの子どもを写真やビデオに撮って日本に紹介するとともに、苛酷な状況でも逞しく生きている子どもたちを支援する活動をおこなっています。その中でボランティア活動には大切なことが3つあるといいます。1つめは「世界の現状を理解すること」、2つめは「優しい心を少しだけ分けること」、3つめは「自分自身がまず一生懸命に生きること」だと言っています。人のため、社会のために何かする前に、まず自分のためにしっかりと生きることが大切なのですね。
物が豊かな先進国に住んでいて、豊かさゆえに「命の尊さ」や「生きることの大切さ」といった心の豊かさを失っているのかもしれません。貧しさの中で一生懸命生きている子どもたちに心の豊かさを教えてもらうことと交換に自分たちができることを考えることをボランティア活動というのではないでしょうか。そんなことを考えさせられる本です。続編に「あなたの夢は何ですか? part2僕の夢は人間になることです」が出ています。A.M.