中学生に読ませておきたい本 1
最初に紹介する作品は、明治から大正時代に活躍した文豪、森鷗外の短編集です。「山椒大夫」「高瀬舟」「阿部一族」「最後の一句」などはどこかで耳にしたことのある作品だと思います。短編ですから、比較的短時間で読み切りやすいです。鷗外が晩年期に書いた作品はどれも簡潔で力強い文体です。ライトノベルのように簡単にハッピーエンドにはなりません。「高瀬舟」では弟殺しの罪に処せられた男の心情を綴り安楽死の問題を投げかけてきますし、安寿と厨子王で有名な「山椒大夫」は家族愛や兄弟愛を描いた作品です。「最後の一句」で少女が投げかける「お上の事には間違いはございますまいから」という一言にはドキリとさせられることでしょう。鷗外の作品に興味が持てれば「舞姫」も井上靖の現代語訳でいいですから、ぜひ読んで欲しい作品です。A.M. |