中学生に読ませておきたい本 10
「天平の甍」は鑒真来朝という天平時代の史実を元にして、極限に挑み木の葉のように翻弄される若き留学僧たちの運命を描いた歴史小説です。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい状況の中で在唐二十年の放浪の果てに、高僧「鑒真」を伴って故国の土を踏むことができたのは主人公の「普照」ただ一人でした。しかし彼は、東の果ての島国に仏法を伝えるために不帰の覚悟で海を渡った「鑒真」,「鑒真」招来のために命を賭けた「栄叡」,人生の全てを日本に送るための経典の書写に捧げた「業行」など多くの人々の理想や意志を受け継いでいたのです。 |