年末年始の風景⑤
今日は「七草」です。
古来中国では五節句の一つである「人日の節句」に7種類の野菜(七草)を入れた羹(あつもの)を食べる習慣があり、これが日本に伝わって「七草粥」となりました。日本では平安時代から始められ、江戸時代より一般に定着したと言われています。七種の行事は「子(ね)の日の遊び」とも呼ばれ、正月最初の子の日に野原に出て若菜を摘む風習がありました。
さて、春の七草を全部知っているでしょうか。芹(せり),薺(なずな),御形(ごぎょう),繁縷(はこべら),仏の座(ほとけのざ),菘(すずな),蘿蔔(すずしろ)の7つです。ほとんどが普段口にしない野草なので、あまり見慣れないかもしれませんね。芹はセリ,薺はぺんぺん草とも言われるナズナ,御形はハハコグサ,繁縷はハコベ,仏の座はコオニタビラコ,菘はカブ,蘿蔔はダイコンのことです。どんな植物かは図鑑をみてください。
邪気を払い万病を除くといった呪術的な意味ばかりでなく、御節料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効能もあるとされています。今でこそ野菜が年中出回るようになっていますが、寒い季節に野草の新芽を摘みながら近づいてくる春の訪れを待ちわびている人々の心情を想像しながら、「七草粥」をいただいてみませんか。A.M.