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選特化学 授業の補足 15

 無機化学に入りました。メンデレーエフの周期表から始まり、周期律に沿って、同族元素をまとめながら物性を語っています。今年は国際化学年 IYC2011でもあり、もっと化学に関心を持ってほしいと思います。単純に暗記項目と捉えてしまうとつまらない範囲かもしれませんが、化学が社会の中で果たす役割を知ってもらえればなぁと思いながら授業をしています。

 アルカリ金属のところでは、ソーダ工業を扱いました。ソーダ工業は海水を原料に、幅広い産業分野の原料・副原料、反応剤などに使われる化学薬品を製造する工業で、基礎素材産業の一つです。NaOH(苛性ソーダ)を製造する電解ソーダ工業とNa2CO3(ソーダ灰)を製造するソーダ灰工業の2つを扱いました。

 材料のNaCl(塩)は海水を濃縮して作ります。輸入されている塩のほとんどは塩田で濃縮・結晶化させた天日塩で、ソーダ工業の材料となります。一方、国内で製造されている塩は、イオン交換膜で濃縮したものがほとんどです。電解ソーダ工業ではNaCl水溶液を電気分解して、NaOH, Cl2, H2を得ています。NaOHそのものは最終製品になるのではなく、さまざまな物質の製造に利用されています。Cl2は塩化ビニル樹脂など塩素系製品の原材料になります。また、ソーダ灰工業で得られるNa2CO3の半分はガラス工業で用いられます。授業では1783年に発明されたルブラン法や1863年に発明されたソルベー法についても説明しました。1891年に作られたルブラン法炭酸ソーダ製造装置国産第一号機の一部(塩酸吸収塔)が山口県山陽小野田市に現存しています。