選特化学 授業の補足23
先日はアルケンの反応を扱いました。大きく分けると、酸化・付加・付加重合の3つになります。アルカン(ナフサ)のクラッキングによって得られるエチレンやプロピレンからは付加重合でさまざまな化成品(合成繊維やプラスチック)が得られることを押さえておきましょう。
エチレンやプロピレンを付加重合してポリエチレンPEやポリプロピレンPPを生成するときに用いられる触媒が、チーグラー・ナッタ触媒です。1953年にドイツのカール・チーグラー Karl Zieglerは四塩化チタンを用いてエチレンの常圧重合に成功しました。これを参考にして、イタリアのジュリオ・ナッタ Giulio Nattaは三塩化チタンを用いてプロピレンの重合に成功しました。二人はこの業績によって1963年にノーベル化学賞を受賞しました。チーグラー触媒を用いて得られるポリエチレンは分岐がほとんど生じず直鎖状に結合する高密度ポリエチレンPE-HDで、高圧法で得られる低密度ポリエチレンPE-LDとは性質が異なるため、用途も異なります。
エチレンから水素を1つ取り去ったビニル基を持つ化合物は重合して高分子化合物となるモノマーとなります。例えば、塩化ビニル(クロロエチレン)は、エチレンに塩素を付加して得られる1,2-ジクロロエタンを500℃、15-30気圧に加熱圧縮して分解すると得られます。これが付加重合すると、ポリ塩化ビニルPVCになります。ポリ塩化ビニルは水道管や消しゴムなどに用いられています。