選特生物 授業の補足23
神経系を扱い始めたので、ニワトリGallus gallusを材料に脳の観察をおこないました。始める前にホルマリン標本などを見せて、解剖をおこなう意味について話をしましたので、生徒それぞれが生命について考える機会にもなったようです。水煮になっている鶏頭をぬるま湯で洗い、アルコールで脂を除いたものを材料にしました。生々しさはありませんが、姿はそのままなので、心理的な抵抗がある生徒もいたようですが、全員が脳を取り出し、観察・スケッチまでおこなうことができました。終了後に手を合わせている生徒が印象的でした。
鳥類は哺乳類と同じように脳が発達した動物です。脳重量を体重比で比較すると、魚類・両生類・爬虫類は低いのに対し、鳥類や哺乳類は高いことが知られています。ただ、鳥類は爬虫類の脳構造を維持しながら脳を大きく発達させたのに対し、哺乳類は大脳新皮質が発達しました。(分子マーカーを使った研究で鳥類には大脳皮質がないというのは誤りであるといわれています。)特にヒトを含めた霊長目では脳溝Sulcusとよばれる大小の溝とそれに挟まれた脳回Gyrusの区別がある有回脳を持ちます。