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選特化学 授業の補足29 センター試験分析

 化学は易しかったと思います。基礎知識を問う問題がほとんどでした。平均点も数点上がりそうですね。計算問題のレベルはあまり変わらなかったので,ここで差がつきそうです。大問4問,マーク数28は昨年度と同じでした。

第1問 物質の構成
 問1,2の知識問題は簡単です。問3は1.62-1.30(g)が酸素の質量です。M 1.30gも酸素も物質量は同じですから,0.32:16=1.30:MからMの原子量が出ます。問4は1molのCO2が44gですから,密度1.6g/cm3で割れば固体の体積(cm3)が出ます。1molの気体を22.4Lと考えると体積が何倍になるかが求められます。問5,6の知識問題は易しいですね。
第2問 物質の変化
 問1はFe2O3,CO,CO2の生成熱の熱化学方程式を立て,与えられた式に代入すると求められます。計算ミスに注意すれば大丈夫でしょう。問2は燃焼熱からメタンとエチレンの物質量を求め,その物質量からそれぞれで消費された酸素の物質量を出し,合計する必要があります。問4ではグラフから酸・塩基の強弱の組合せと価数を推定する必要があります。中和点のpHから強酸と弱塩基の組合せですし,物質量×体積が等しいことから酸と塩基の価数は同じ1価であることもわかります。問5の酸化還元反応の判定は単体が含まれる①③を除き,典型的な酸化剤・還元剤が出てくる②④を除くと⑤が選べると思います。すべての酸化数を書き出す必要はないでしょう。問6は基本的な計算問題でした。
第3問 無機物質
 冬休みの宿題の意味が分かったのではないでしょうか。コツコツと覚えることで知識問題は着実に得点源になります。問4は質量%濃度からH2O2の質量を出し,物質量に換算するだけです。問7はアンモニアソーダ法(ソルベー法)の5つの反応を1つの図にまとめています。化合物AはNH3,化合物BはCO2であることから①②は除かれます。③も正しいので,答は④か⑤だと絞り込んで考えます。選択肢の文章が分かりにくいのですが,CO2はCaCO3の熱分解から取り出す以外にNaHCO3の熱分解からも得られるので,NaClと物質量が一致しません。
第4問 有機化合物
 問1,2の知識問題は簡単です。問3はヨードホルム反応が起こる構造CH3CO-, CH3CH(OH)-と二重結合を持つ構造を探します。問4はベンゼン環へは付加反応よりも置換反応の方が起こりやすいので,Cl2が光でラジカルになった場合しか付加反応は起こりません。問5は塩基性のアニリンは塩酸塩にして水層に移動させ,強塩基で遊離させます。NaHCO3を加えるのはフェノールとカルボン酸の分離のためでしたね。問6はアルケンの付加反応です。エチレンに水を付加するとエタノールが生成し,酸化するとアセトアルデヒドになります。エチレンを酸化してアセトアルデヒドを生成するのは工業的製法です。問7は易しいでしょう。