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本を読もう-進路実現のために- 1

人間は遺伝か環境か
 3年生の助走期間として春休みを迎えていると思います。無理をしては長続きしませんから、習慣にしてしまうことが良いと思います。読書も同じです。読む習慣を身につけていないと、なかなか取り組めません。授業のない春休みはチャンスだと思います。時間をかけてじっくりと…というスタンスではなく、テーマ設定をして短期間に何冊かを読むと良いでしょう。量的には新書が読み切りやすいので、手頃かと思います。

 今日紹介するのは日高敏隆先生の「人間は遺伝か環境か?-遺伝的プログラム論」です。日高先生は動物行動学の研究者で、ローレンツやティンバーゲン(生物の教科書に載っているので知っていますね),ドーキンスなど海外の研究者の著書を紹介してきた人でもあります。私自身が印象に残っているのはデズモンド・モリスの「裸のサル 動物学的人間像」でした。残念ながら日高先生は2009年にお亡くなりになっています。

 「人間は遺伝か環境か」というテーマは、私たちの人生が遺伝子によって決められているのか、それともその後の環境によって左右されるのかを扱うわけですが、対立軸がはっきりしているので小論文のテーマにもしやすいんでしょうね。よく取り上げられています。生物には「遺伝的プログラム」とでもいうべき、種に固有な成長の流れを定めた生まれつきの段取り表・工程表があるけれども、プログラムを具体化するには、各成長時期に必要な環境、栄養や教育を与える必要があるというのが、大きな流れだと思います。その点で、生命科学系よりも教育系を考えている人に読んで欲しい1冊です。